地方へ移住して豊かな暮らしを実現するためには、自然や快適な住環境、新鮮な食材は欠かせない要素。さらに地域経済の発展も大切なポイントになります。
そこで今回は、自然に囲まれ、持ち家率が高く、北陸新幹線開業で経済効果が出ている富山県を紹介します。自然エネルギーを活用した新たな街づくりにも取り組んでいます。
立山連峰、新鮮な魚介類、おいしい水。富山県の恵まれた自然環境
富山県は豊かな自然に恵まれているため、四季折々の変化を楽しみながら暮らすことができます。
富山といえば立山連峰。立山や剱岳など標高3,000メートル級の山々が連なっています。日本三大渓谷のひとつである黒部峡谷や、世界遺産の合掌造り集落、五箇山も有名です。
名水も数多く存在し、環境省による「平成の名水百選」では、富山市の「いたち川の水辺と清水」、高岡市の「弓の清水」など4箇所が選ばれています。氷見温泉郷や宇奈月温泉など温泉も多数。
富山湾は、春にはホタルイカ、秋には紅ズワイガニなど年間を通して新鮮な魚介類が豊富です。幻想的な蜃気楼も見られます。
毎年4月下旬から5月上旬にかけて開催される砺波のチューリップフェアでは、国内最大級となる700品種300万本のチューリップが咲き誇ります。
高い育児中の女性の有業率、待機児童ゼロ。数字でみる富山の生活
富山県は、「持ち家率」や「一住宅当たり延べ床面積」で全都道府県中1位を獲得しています。家賃相場も東京の約半分。理想の住環境といえそうです。また、育児中の女性の有業率が高く、待機児童はゼロ。ここでは、富山の生活をデータで確認してみましょう。
▼持ち家率と延べ床面積でNo.1
2015年の国勢調査では、富山県の持ち家率(住宅に住む一般世帯に占める持ち家の割合)は78.1%で、前回に続いて全国1位となりました。
2015年度国土交通省の「住宅経済関連データ」によれば、「一住宅当たり延べ床面積の都道府県比較」でも富山県(152.18㎡)は1位となっています。
▼家賃相場は東京の約半分
東京と富山の家賃相場をファミリー向け3LDKで比較してみたところ、世田谷区は20.88万円、富山市は8.51万円と約半分の家賃で借りられます。(2017年3月21日住宅情報サイトHOME'S調べ)
▼正規雇用率
富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」によれば、正規雇用率は全世代では67.1%で全国2位(全国平均61.8%)、若者(15~34歳)では72.9%で全国1位(全国平均64.7%)となっています。
▼育児中の女性の有業率は全国5位
総務省統計局の「明日への統計2016」によれば、未就学児(小学校入学前の幼児)の育児をしている25~44歳の女性の有業率は、全都道府県中で富山県は5位(68.3%)でした。
▼待機児童ゼロ
2015 年9月2日、厚生労働省が公表した「保育所等関連状況取りまとめ(2016年4月1日現在)」によれば、富山県の待機児童数は0人でした。
地方創生のモデルとなるか?自然エネルギーを活用した街づくり
富山県には地域経済を牽引する企業の拠点が数多くあります。まず、企業主導で新たな街づくりをし、地方創生モデルとして期待されている事例から紹介します。
・YKKグループ
YKK株式会社は、ファスニングや建材などを製造販売する大手メーカーです。そのYKKグループでは「技術の総本山」として富山県黒部市に製造や開発の拠点を置き、環境にやさしく住み心地がいい未来に向けた街づくりを進めています。バイオマスや太陽熱など自然のエネルギーを活用した複合型賃貸集合住宅「パッシブタウン」は、第1期街区が完工、2025年までに約250戸を整備する予定です。電力やガス、石油などのエネルギー消費を極力抑え、間伐材などの木材をチップ化した燃料を利用するバイオマスボイラーの活用や、電気自動車のカーシェアリングなど低炭素社会の実現をめざしています。 YKKグループ の「社会・環境報告書2016」によれば、2050年には「パッシブタウン」でゼロエミッションコミュニティー実現をめざすということです。※YKK株式会社の本社は東京都千代田区
・株式会社不二越
世界の産業用ロボット市場でシェア1位を誇る日本。株式会社不二越は、日本の産業用ロボット、特に自動車製造の分野で業界をリードしています。本社を富山市に構えています。※東京本社は東京都港区
・日医工株式会社
富山といえば越中富山の薬売り。ジェネリック医薬品メーカーの最大手の日医工株式会社の本社は富山市です。※東京本社は東京都中央区
・株式会社ゴールドウイン
スポーツウエアメーカーの株式会社ゴールドウインの本店やテクニカルセンターは小矢部市にあります。※東京本社は東京都渋谷区
・立山科学グループ
国内10社、海外4社で構成される立山科学グループは、富山市に拠点を構えています。電子部品や電子機器から新エネルギーまで、さまざまな分野の科学技術の設計・開発・製造・販売を行っています。
北陸新幹線開業1年目、富山県だけで経済波及効果は421億円
2015年3月に北陸新幹線の長野・金沢間が開業し、東京駅から富山駅までの乗車時間は最短2時間8分と利便性が格段にアップしました。そのため、北陸新幹線の開業後1年間の経済波及効果(速報値)は富山県だけで421億円、新規雇用者数は2,910人(見込みを含む)と、2016年4月21日富山県の知事政策局により公表されました。
2022年度には、北陸新幹線の金沢(石川県)・敦賀(福井県)間が延伸開業。東京から大阪まで全線開通になればさらなる経済効果が期待できそうです。
富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」では、富山県に移住したい方々に向けて情報を発信し、「企業に就職したい」、「自分で起業したい」といった方々をサポートしています。地方移住を考えている方は、一度富山県を訪れてみてはいかがでしょうか。
(2017年3月27日掲載)