愛媛県内子町のバイオマス発電所、10月末竣工 四国初の商用小型発電所、全量地元木材使い地域再生
GLOCAL MISSION Times 編集部
2018/10/19 (金) - 07:00

内子バイオマス発電合同会社は、内子町で建設を進めてきた「内子バイオマス発電所」の竣工式を10月31日(水)に開催する。
本発電所は発電規模2,000kW未満の商用小型発電所としては四国で初めての施設で、燃料となる木材の全量を地元から調達する地産地消型の小型発電所となっている。

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2007年に内子町が作成したバイオマスタウン構想に呼応し、有限会社内藤鋼業(以下、内藤鋼業)では地域内のバイオマスを活用し、木質バイオマスペレット製造事業を展開するなど早くから木質バイオマス資源の有効活用を進めていた。

こうした流れの中で2016年に木質バイオマス発電所を建設する構想が地元から持ち上がり、地元の林業の状況に合わせた設備規模を検討するなど、事業化に向けた協議を続け、2017年5月には事業化に着手し、2018年5月に起工式を開催、今回10月31日に竣工式を開催することになった。

燃料となる原木は内子町森林組合をはじめとする地元林業事業者によって内藤鋼業へと供給され、内藤鋼業は木質ペレットに加工し、発電所へ供給する。内子町とその周辺地域から集めた地元産未利用材を活用することで、ペレット生産業者を含め安定した雇用創出を可能にし、発電所の建設地は、内子町から土地の貸与を受けたもので、小田原木市場と内藤鋼業小田工場(木質ペレット工場)に隣接している。

本プロジェクトに必要な資金は内藤鋼業、株式会社藤岡林業、新興工機株式会社、NECキャピタルソリューション株式会社、シン・エナジー株式会社の5社が、株式会社ソーシャルビジネスパートナーズよりファンド組成の支援を受けて出資するとともに、地元の伊予銀行からの融資を受け調達した。

地元産未利用材のみを用い、再生可能エネルギーに対する固定価格買取制度(FIT)の適用を受ける発電規模2,000kW 未満の木質バイオマス発電は四国初となり、発電した電力はFIT制度を利用し、四国電力株式会社へ全量売電する予定。

内子町は「内子町まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成27年度~平成31年度、平成28年3月発表)において、町の約8割を占める森林資源を活用すべく林業6次化に積極的に取り組んでおり、本プロジェクトもそうした取り組みの一環として、内子町の豊かな自然と人が調和した、持続可能なまちづくりに寄与していくという。

 

〔竣工式の概要〕
日 程 :10月31日(水)午前11時~12時
会 場 :内子バイオマス発電所(内子町森林組合小田支所敷地内)=内子町寺村2478番地1
参加者 :地元関係者、工事関係者、出資者、金融関係者等
行 事 :神事、テープカット、記念セレモニー等


〔内子バイオマス発電所の概要〕
(1) 事業運営 :内子バイオマス発電合同会社
(2) 所在地 :愛媛県喜多郡内子町寺村2478番地1
(3) 定格出力 :1,115kW
(4) 年間発電量:約883万kWh(見込み)※このうち送電量は年間約811万kWh
(5) 発電開始日:2018年10月31日(水)
(6) 設備設計・施工 :シン・エナジー株式会社

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発電システムの構成は、ブルクハルト社(独)製の小型高効率木質バイオマス熱電併給装置6機と、アクセスエナジー社(米)製のバイナリー発電装置1機を採用し、間伐材・低質材を中心とした未利用木質バイオマス資源を活用した小規模(発電規模2,000kW未満)な木質バイオマス発電事業です。

システム全体の定格出力は1,115kWと小規模ですが、発電端効率は33%超、送電端効率は30%超で、これは3 万kW級木質バイオマス発電設備の発電効率に匹敵します。(※1)本プロジェクトの推進にあたり内子町森林組合と協議を重ね、内子町内で調達可能な木材の量をもとに発電規模を決定しました。

発電効率の高い発電設備を用いるとともに、発電時に発生した熱をバイナリー発電設備で電力として回収することで高い発電効率を実現し、地元の貴重な資源を可能な限り有効に活用します。年間発電量は約883万kWh、うち送電量は約811万kWhを見込んでおり、これは一般家庭約2,500世帯分の年間消費電力に相当します。(※2)
 

 
※1. 電中研報告書M13009『FIT導入に伴う国内バイオマス発電設備の開発動向と石炭火力混焼発電への影響調査』による
※2. 1世帯あたり3,254.4kWh/年で算出 出典:電気事業連合会『原子力・エネルギー図面集2015』

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