副業兼業プロ人材を活用し、販路開拓に取り組む「西研グラフィックス株式会社」。新規開拓営業の実行にあたり副業兼業プロ人材を活用しています。活用に至った経緯や、どのように活用されているか等のポイントを同社常務執行役員の小池享さんにお話しを伺いました。
御社の会社概要についてお聞かせください。
1950年に創業し、新聞印刷機のメンテナンス事業から始まりました。今日では、新聞印刷機の製造をはじめ、新聞の搬送装置(CSGキャリア)や付属機器など、新聞関連機器のメーカーとして事業を展開しています。CSGキャリアは日本全国に納入しシェア率も高いのですが、近年の新聞印刷部数の落ち込みで、将来を不安視するようになりました。そこで、異種業へ自動化機器を納入する新規事業を始めることが決まり、拡大しようとしているところです。
新規の業態や業界への進出といったところで、副業人材を使ってみることになったのですね。
全く新しい業界がターゲットなので、営業ルートがないのです。展示会出展やウェブ上での広報以外にも直接営業をしたいと考え、副業人材の活用を検討しました。
副業人材の活用にあたっては、佐賀県のプロフェッショナル人材戦略拠点から提案があったのでしょうか?
佐賀県のプロフェッショナル人材戦略拠点から案内があり、ちょうど営業で困っていたタイミングだったのでお願いすることにしたのです。
以前、別のハンズオン支援を利用したことがあったので、外部人材の参画に抵抗はありませんでした。
佐賀県のプロフェッショナル人材戦略拠点からは、副業人材の活用にあたっては、どのような支援がありましたか?
佐賀県のプロフェッショナル人材戦略拠点さんから副業兼業プロ人材に強い人材紹介会社を紹介していただきました。当初、営業の外部委託には、ウェブマーケティング強化と直接営業を考えていましたが、弊社の社長も交えて検討し、直接営業の人材に絞ることになりました。
初めての副業人材活用で、人材紹介会社を使うことに不安はございませんでしたか?
面談は全てウェブでしたが、弊社はウェブ会議に慣れているので問題ありませんでした。副業人材を使うステップをイラストで説明してくれたので、理解しやすかったですね。
紹介会社より副業人材のご紹介を受けて、人材について感じられたことや、採用の決め手となったことはありますか?
近隣に住み、製造業の経験者という条件があったのですが、いい経歴をお持ちの方がいました。外部人材は人間関係の構築が難しいものですが、この方は柔らかなイメージで一緒に働けそうな印象を受けたので採用することにしました。
人材紹介会社を使って募集を開始された後、進め方についてよかったことやこうしておけばよかったこと等、振り返ってございますか?
もう少し多く候補者がいて、複数を雇う検討ができたら良かったと、今では思っています。
副業人材に参画いただいた際、どういった形で役割や業務内容を決めて、進められていますか?
弊社の場合、金額の条件面はもちろん、委託する役割を明確にしました。新規営業は副業人材に任せますが、見積もり依頼をいただいた後は、弊社が受け持つ契約です。
最初は副業人材の人脈を使って九州近郊の会社に営業をしてもらいましたが、頭数がなくなってきたので、弊社側から顧客リストを渡して営業してもらっています。
副業人材とプロジェクトを進めていくにあたり、苦労されたことや工夫されていることはありますか?
まず来社してもらいチーム全員と顔合わせをしました。何をどう販売したいかを説明をして工場見学もしてもらいましたよ。プレゼン資料や会社案内などの営業ツールを渡しています。
1週間ごとに何をしたかを報告してもらい、副業人材と年齢が近い社員を担当につけ、困りごとは電話で相談できる体制をつくっています。
副業人材が参画されて、具体的に解決や改善されたことを教えていただけますか?
弊社の場合、見積もり依頼を受けてから提出するまでに時間がかかります。受注後もアフターフォローで営業の手数が奪われてしまい、新規開拓は後回しになる傾向がありました。そこに、顧客開拓専門の副業人材を入れたことで、新規開拓ができるようになってきました。今、弊社が力を入れているロボットシステムインテグレータ事業に参画してもらっているのですが、今後、別の事業も立ち上げる予定なので、そこでもいろいろと考えたいと思っています。
副業人材採用にあたり、正社員採用と比較して感じられたことや違いはありましたか?
コストが低く導入しやすかったですね。弊社は副業人材導入の目的、委託したい内容を明確にしていたのでスムーズでしたが、「とりあえず導入したい…」という姿勢では難しいかもしれません。
今後副業人材活用を検討される企業様へ、メッセージをお願いいたします。
自社内ではできないことや、途中で止まっているプロジェクトがある場合は、専門の人材に頼るのも一つの方法だと思います。社員だけで仕事を広げられない場合は、まず副業人材を使って少し販路を広げ、軌道に乗ってきたら自社に取り込んで広げていくやり方もよいのではないでしょうか。