【地方移住の手引き】背中を押してくれる自治体の支援制度が移住をスムーズに
GLOCAL MISSION Times 編集部
2020/07/27 (月) - 07:00

地方転職・移住を考え始めたときは、気持ちが前向きになっているのですべてがうまくいく、と思いがちです。でもふと現実に返り、「本当にうまくいくのか」と自問する段階が次にやってきます。感じる不安要素は、その人によりさまざま。仕事、住居、子育て、教育……実は各自治体には、それらをバックアップしてくれる制度が整っています。「知識は力なり」ということで、移住・転職のヒントとなる情報をまとめてみました。

「住み手市場」とも言える地方移住

東京一極化の緩和、地方創生が叫ばれるようになり、ここ何年か各地方自治体は「ぜひ我が県へ、我が町へ」と移住者増加対策を採るようになってきました。その前から少子化が顕著になり、後継者不足や商店街の衰退、人口の減少などに自治体は危機感を覚えていました。そして2014年、国の施策として地方創生が打ち出され(『まち・ひと・しごと創生法』の施行)、その流れで移住者を増やすための取り組みを自治体が競うように実施しています。
移住を考えている人には、さまざまな課題が付きまといます。大きく「仕事」「住まい」「子育て・教育」「医療・福祉」の4つに分けられるでしょう。ほとんどの自治体は、それらをほぼカバーする支援制度を持っています。まずは自分にとっての課題を整理し、優先順位を付けていきましょう。一番の課題を解決してくれる支援制度は、どの自治体か。そこでは他の課題も解決できるのだろうか、あるいは自力で解決できるレベルなのか──支援は、物心両面に及びます。すっきり晴れやかな気持ちで移住を実現させたいものですね。

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仕事探しをサポートしてくれる制度

「仕事は、どんな地方にもある」──確かにこれは真実ですが、「仕事を選ばなければ」という条件付きです。この「Glocal Mission Times」を訪問している方なら、どんな仕事がしたいかある程度は目星を付けていることでしょう。今のキャリアを活かす、もしくはそれを応用する。そうなると、業種や職種はある程度絞られてきます。その上で、自治体の就業支援制度をチェックしてみましょう。移住支援金や移住にかかる交通費が支給されるケースもあります。また、求人情報を羅列するだけではなく、マッチングを考えた仕事探しのシステムを導入している自治体のサイトや、移住+就業を条件に支援金を支給する制度もたくさんあります。

例えば──
「イシカワノオト」〜石川県が運営する「いしかわ移住支援事業マッチングサイト」。U・Iターン就職者に支援金を支給。
https://ishikawa-note.jp/ijushien

「ゆとりすと静岡」〜静岡県が運営する情報サイトで、移住・定住した方への支援金制度が紹介されています。
https://iju.pref.shizuoka.jp/news/ijushienkin.html

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空き家バンクや助成金など、住まい支援制度

各自治体の支援策で最もチカラが入っているのが、住宅支援制度です。何と言っても移住には住む場所が必須ですから、それを充実させるために多めの予算をかけることになります。一般的に、地方では賃貸物件よりも分譲住宅の方が多いと言われています。では住宅を購入しなければ移住は難しい? 賃貸住宅はどこで探せばいい?──住宅支援制度は、そんな心配や疑問を解決しつつ、移住者の事情に合った住まいを探す手助けをしてくれるサポーターです。分譲住宅と言ってもほとんど購入費用がかからない物件や、格安の古民家なども見つけることができますから、リノベーションを考えている方ならかっこうの素材かもしれません。
各自治体とも、「空き家バンク」と呼ばれる移住者向けの空き家紹介サイトを備えています。これは、空き家の所有者と移住者を自治体がつないでくれる制度。住まいをマッチングするわけです。
また、地元の不動産会社との提携で、希望の地域や条件を満たした住まいを探すことも簡単にできます。移住先で住宅を新築したりリフォームしたりする場合、省エネ住宅の要件を満たしていれば助成金が下りたり、さらに子育て世代であれば増額されたりする場合もあります。 その例として──

「楽園信州」〜長野県の移住ポータルサイト。住まい探しのページが充実しており、空き家バンクや助成金もわかりやすく掲載。
https://www.rakuen-shinsyu.jp/modules/contents/know/house.html

「北海道空き家情報バンク」〜北海道建設部が情報提供。広大な北海道をカバーしている空き家バンク。
https://www.hokkaido-akiya.com/

「一般社団法人 移住・交流推進機構」〜総務省のプロジェクトにより発足した団体で、空き家バンクはじめ住まい探しのポイントも押さえています。
https://www.iju-join.jp/akiyabank/

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気になる子育て・教育事情は?

東京から地方への移住を考えている子育て世代、そしてこれから子どもをもうけたい夫婦にとって、大きな心配事は子育てと教育環境ではないでしょうか。子どもたちは馴染みのない土地でやっていけるだろうか、無事に出産〜子育てが始められるだろうか……不安を感じることでしょう。少子化の時代、全国の多くの自治体では結婚から子育て、教育の推進策を採っています。さらに、「移住者限定」の手厚い支援策も目立ちます。移住希望者をターゲットに、結婚〜出産〜子育てというライフサイクルを安心して送ってほしいという願いを込めています。定住者確保のため住宅関連の支援金もセットになっている制度を、いくつもの自治体が採用しています。
また、教育に関しては、入学支度金、奨学金、給食費無料、修学旅行費補助などが多くの自治体が採用している支援策です。 目についた支援として──

「子ども医療費18歳まで無料@愛知県設楽町」〜中学3年生までは医療費全額補助。さらに高校生は3年生まで全額補助。
https://www.town.shitara.lg.jp/index.cfm/16,2650,67,236,html

「1人1台タブレット端末配備@島根県美郷町」〜ICT教育の一環として実施。無線LANや電子黒板も完備しています。
http://www.misato-koyou.jp/education/

「中学生をフィンランドに研修旅行@北海道壮瞥町」〜全額町の負担でフィンランドへ派遣し国際的な視野と感覚を養います。
https://www.town.sobetsu.lg.jp/kurashi/kyoiku/shogai.html

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常に最新の支援制度を知っておくには

就業、住宅、結婚・子育て・教育に関する支援は、全国の自治体を合計すると実に5,000近い制度が存在します(2019年度調べ)。ある程度自治体やエリアを絞ったとしても、とても全部は比較しきれないでしょう。先にも述べたように、項目の中で優先順位を決め、まずその支援制度を比較してみます。それでもまだ相当数は多いので、絞り込みや比較機能のあるサイトの活用をお勧めします。

「goo 住宅・不動産 暮らしデータ」〜住宅の検索サイト。全国815自治体の移住支援制度を比較できる機能がとても便利。同時に3個所まで比較でき、その町の歴史や沿革まで解説してくれます。
https://house.goo.ne.jp/chiiki/kurashi/iju/

「一般社団法人 移住・交流推進機構」〜既出ですが、このサイト内で最新の支援制度を検索できるページがあります。全国の自治体が行っている子育て支援・住宅建築補助・起業支援などの各種支援制度をエリアごとに調べることができます。
https://www.iju-join.jp/support_search/index.html

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ネットとリアル、情報は立体的な検証を

数多くある中から支援制度を探して比較検討するのと併行して、現地で話を聞いてみることも大切です。ネットで集めた情報にリアルな声を加えて、多方面から立体的に心配事を解決するわけです。それにはやはりお試し移住がいちばん。実際の住民が体験してきたことや、アドバイスを聞けるからです。お試し移住のツアーであれば、年代や家族構成が近い人たちとも知り合うことができます。支援制度に関する情報交換もできるでしょう。
また、「ふるさと回帰支援センター」に足を運び、各都道府県の移住相談員に最新の支援制度のことを訊くことも役立ちます。東京は有楽町駅、大阪(名称は『大阪ふるさと暮らし情報センター』)は堺筋本町駅が最寄り駅です。
こういった立体的な情報の検証をすることで、移住に対するイメージはより現実味を帯びてくるでしょう。

「ふるさと回帰支援センター」
https://www.furusatokaiki.net/

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※新型コロナウイルスの影響により、2020年度の移住支援制度が決定していないもしくは実施されていないケースもあります。ご利用の際は各自治体へお問い合わせください。
※記事中に使用している写真は、実際とは無関係です。

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