人生の転機をどう乗り切るか。キャリアデザイン
滝田 元子
2018/12/10 (月) - 08:00

日本は今や欧米先進国の中でも最も深刻な少子高齢化時代を迎えようとしています。経済の停滞を防ぐべく、政府は「働き方改革」を打ち出し、全方位的に手を打とうと必死です。IT化・グローバル化の進展、M&Aや規制緩和など、私たちを取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。 この変化の時代にあっては、「生涯働き続けられる安定した会社」など存在しそうにありません。自分の生活を、家族を、人生を守るためには、「キャリア」について深く考え、見直すことが必要です。キャリアを考える一つのきっかけとして、「トランジション(転機)」について考えてみたいと思います。

人生100年。第二、第三のキャリアを考えるべき時代がやってくる!

イギリスのリンダ・グラットン、アンドリュー・スコット教授の『Life Shift 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)によると、「2007年に日本で生まれた子どもは107歳まで生きる確率が50%ある」のだそうです。

従来のキャリア論では、人生を「教育」「仕事」「引退後」の3ステージに分けて論じてきました。仕事、キャリアは定年でおしまい。あとはのんびり年金暮らしという考え方です。このようなスタイルはもう過去のものになりつつあります。これからは一方通行で一つのキャリアを全うするのではなく、学びや仕事を行ったり戻ったりして複数のキャリアを経験する「マルチステージ」に変える必要があると言っています。

アメリカの労働者は、平均して10回以上のジョブチェンジ(経験のある仕事への転職)、3~4回のキャリアチェンジ(経験のない仕事への転職)を経験するのだそうです。日本においても、同じような状況を迎える可能性が極めて高い、といえるでしょう。

人生のトランジション(転機)はどんな人にも訪れる

アメリカの心理学者レビンソンの発達段階説によると、多くの人の生涯には10年単位の発達時期ごとにトランジションが訪れると言っています。

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一般的なサラリーマンを例にとると、多くの人が30歳前後でトランジション(転機)を迎えます。無限の可能性が広がっていると思えた自分の人生がだんだんと狭められ、現実との折り合いをつけなければいけないと気づかされるタイミングです。40歳前後で次のトランジションが訪れます。会社人生における自分の限界が見え、「これでよかったのか」と悩む時期です。子どもの教育や親の介護など、選択に影響する事柄を多く抱えているのもこの年代でしょう。

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アメリカの教育学者ドナルド・E・スーパーが発表したキャリア理論。人には誕生から死まで一生涯にわたって果たすべきさまざまなライフロール(役割)が存在します。(1)子ども (2)学生 (3)余暇を楽しむ人 (4)市民 (5)職業人 (6)配偶者 (7)家庭人 そのときどきでライフロールそれぞれの比重が変わり、トランジションにおける判断に影響を及ぼします。

新卒で採用されて会社に入ってしまえば、エスカレーターのように定年まで連れて行ってくれる。キャリア設計は会社が考え与えてくれるというのが日本の大多数の企業で行われてきたことです。終身雇用が望めなくなった今、自分のキャリアを会社任せにしておくわけにはいかなくなりました。理想の働き方を実現し、自分らしい幸せな人生を叶えるためには、自らキャリアを計画し、選択する「キャリアデザイン」が必要なのです。

キャリアを考える際に一番重要なのはあなた自身の「価値観」です。次回は自分の価値観を明らかにし、正しい選択に役立てるための手法についてお話しします。

(2017年3月22日掲載)

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