大企業で働くならば、『企業内個人事業主化』のすすめ
久保田 一美
2017/05/29 (月) - 08:00

ベストセラー「LIFE SHIFT  100年時代の人生戦略」(リンダ・グラットン著)によれば、人生において、教育・勤労・引退という、一律の3つのステージからなる時代は終わりを迎え、これから長寿社会をどのように生き、働いていくのかを考えていくことが大切になってきています。今回は大企業に在籍している間に、将来を見据えて今どう働くかのヒントをお伝えします。

就職活動において、心に留めたいこと

2018年度に入社予定の就職活動が進んでいるなか、今年は売り手市場で、1980年後半のバブル時代にも匹敵すると言われています。各メディアなどが今年の人気就職ランキングを公表し、新聞やオンラインニュースなどで、紙面を賑わすことがあります。

そこには、誰もが知る企業や、従来からの憧れの職業なども名を連ね、学生は大企業や名の通った企業に関心を抱きがちになります。大企業に入社すれば安泰というのは、もはや崩れ始めているのは感じていながらも、それでも人気があるのは事実でしょう。

一方で、入社3年以内に入社した会社を辞めてしまう新規学卒就職者の割合は約3割もいるという現状は長年変わっておらず(※1)、退社の理由は様々あります。しかし、どうしても働きたかった企業や部署への希望が叶わず、第2新卒として再チャレンジする場合を除き、短い期間での退職経歴は、再就職をする際一般的には不利になるということも覚えていなくてはなりません。

あなたの能力はいつ、どこで生かされますか

これからの10年間で、今ある企業が生き残る可能性は、大企業であっても予測がつかない世の中になっています。たとえ、残ったとしても、従来には考えることのなかったような再編成や、全く異なる業種との合併などもめずらしくない社会になっているということは、予測ができます。

大企業で働くというときに、中小企業とは大きく異なるものの一つは、「人的リソース」です。また、企業内では大小様々なプロジェクトが走るなかで、大企業ではそのプロジェクトの一部を任されることも多いですが、中小企業であれば、入社後早い段階で、プロジェクトリーダーを任されることがあります。そのプロジェクトは小さいのかと言えば、決してそのようなことはなく、外部の協力会社と提携して、グローバルに関わるような、壮大なプロジェクトを事業とされている企業もあります。

もし、入社したい企業を考えたとき、その企業が行っている事業や新しいプロジェクトが「社会的にどんな貢献があるのか」、「どんな良い影響と広がりがあるものなのか」を確認することで、もしかすると、あなたの能力は中小企業やベンチャー企業の方がいち早く生かせる場なのかもしれません。

また、大企業であれば、チームの中であなた一人が長期休暇を取ることになったり、急に退職したりしても、人的リソースや、使える予算の多い部署では乗り越えることができます。しかし、中小企業やベンチャー企業では、あなた一人の存在が大きく、「あなたでなければ」という信頼と能力、および自身の価値を上げる可能性があります。

20代のうちに失敗や試行錯誤を経験し、リソースの少ない環境でプロジェクトを任されて遂行できる実績は、あなたの市場価値を早い段階で高くすることになり、必ずや30代以降の働き方に良い影響を及ぼすことができるでしょう。

「いつか」に備えたい、働き方のマインド

会社名を背負うのではなく、「あなたは何ができるか」の力が重要な時代になっていくからこそ、もし大企業に入社したならば、そして、もし今現在大企業で働き続けているならば、おすすめしたい働き方のマインドがあります。

それは、企業で働いているうちに、
・いつか独立してみたい
・いつか副業、複業をしてみたい
・いつか会社が不測の事態になるかもしれない

その「いつか」に備えて、『企業内個人事業主化』というマインドを持って、働くということです。個人事業主は、「経験や知識・スキル」がなくてはできないことが多いのです。

また、現在副業や複業が認められている企業などでは、会社に勤めながらも特定のスキル・専門知識を持った方が、週末や業後に、それらを「知りたい」と求めている個人の方などへ、講座として教えたり、コンサルティングをしたりして報酬を得ることができるようになっています。

そして、万一の不測の時にも、そのようなマインドを持ちながら実績を上げることができれば、また活躍できるフィールドがすぐに見つかることでしょう。その活躍の場は、より良い条件の転職であったり、独立することであったり、複業できることかもしれません。

人生100年時代を目前に控え、未来のことばかりを心配したり、不測の事態に慌てたりするのではなく、将来を見据えながら今をどうより良く生きるか、どう働くかということを真剣に考えて行動する人の心に響くことを願っています。
 

(※1)出典:厚生労働省「新規学卒就職者の在籍期間離職率の推移」 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html

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