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「年収1千万円、役員候補急募」~政府も人材の地域企業転出を後押し
立命館大学教授 西山 昭彦
GLOCAL MISSION Times 編集部
2019/03/01 (金) - 17:00

これまでミドル、シニア人材の社外への転出と活躍について様々な観点から述べてきた。国はそれらの動きをどうとらえているのか、そしてどういう手を打っているのか。実は、すでにミドルの外部での仕事開拓に力を入れている。今回はその実態を探ってみた。

連載【新「企業と社員」関係論―人生100年時代に】の全記事はこちらからご覧ください。

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プロフェッショナル人材事業

これは内閣府の事業で、「地域に新たな質の高い雇用を生み出し、人と仕事の好循環を創出していく」ことを目的としている。そのため2015年12月、各道府県にプロフェッショナル人材戦略拠点を設置し、地域の企業が事業革新や新商品開発など攻めの経営への転身を図っていくのを支援し、それを実行するプロフェッショナル人材活用をサポートしている。

プロフェッショナル人材戦略拠点では、知事が任命したマネジャーの下、地域企業のプロ人材のニーズを掘り起こすコーディネーターが企業を廻り、求人があれば、提携している民間人材ビジネス事業者に取り繋いでいる。それで面談が成立し、転職が決まれば成約となる。求職者から見れば、一切費用はかからない上に、企業との間に公的な組織が入ることで、客観的な支援を受けられる。転職時の安心感が一般の転職とは違う利点だ。

京都の地域拠点では

全県にプロフェッショナル人材戦略拠点があり、その中の京都府の拠点を訪ねてみた。丹波口駅を降りると、卸売市場がある。その次のブロックに、デザイン性のあるビルがたくさん建っている。京都リサーチパークという産学公連携拠点・新産業創出拠点で、その一角にある公益財団法人京都産業21の中に、本事業を行っている京都中小企業事業継続・創生支援センターの事務所がある。

この京都リサーチパークは、全国初の民間運営によるリサーチパークで1989年にオープンした。創造的な研究開発環境やサービス提供を通じて、新分野を切り開く企業を支援し、地域の産業発展・活性化や大学・研究機関との交流・連携を進めている。プロフェッショナル人材事業の趣旨にぴったりの場所といえる。

京都の体制はコーディネーターが4人いて、企業を回り人材ニーズを探っている。4人は銀行支店長経験者はじめいずれも民間企業管理職OBである。それまでに企業との長年の経験があり、経営について熟知しているので、この仕事に適任といえる。若い人では、先方経営者の信頼もそこまでは得られないだろう。

それでは、年間どのくらいの企業から求人案件をとっているのだろうか。1年間で、160件の相談があり、転職の取次実行が68件、成約は23件である。うち製造業が16件で最多だ。意外に成約が少ないと感じるかもしれないが、全国で同じ事業が行われており、累積成約件数は数千件になる。それだけの人がこの制度で有望な地域企業に転職しているのは、ご本人の職務満足度の向上に加え日本経済の活性化のための大きな力である。

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プロフェッショナル人材戦略拠点事業のパンフレット

求められる人材像

人生100年時代、誰もが転職の可能性を持つ時代になった。社外で売れる人材の要件は、今一大テーマである。本稿の連載もそれをベースとしているが、プロ人材として採用された人はどんな人だろうか。

事例を聞いてみると、総務部長が辞め、急遽そのポストを担える総務経理の経験あるミドルが採用された。製造部門の責任者募集で、製造系のベテランが採用され、まもなく工場長についた。営業経験者で、営業のナンバー2や3に採用された。将来の経営者の後継候補として採用されたなどの例がある。

「資格の有無は問われませんが、技術系の資格は有効と思います。若手の人では、ITは必須です。また企業のグルーバル進出も増えているので、海外業務経験は貴重です」、「今後センターとして力を入れるのは経営者の後継者候補の成約です」と担当者は意気込みを語る。仕事のプロ、そしてITとグローバルにニーズがあり、加えて経営人材が求められている。

なお、内閣府の資料では、以下の人材タイプが掲げられている。これを見ると、以前述べたように大都市の大企業のスキルの高いサラリーマンが対象になっていることがわかる。

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日本人材機構が新事業に着手

上の動きに加えて、2018年12月、政府系の日本人材機構が新しい事業を始めた。同機構は、地方創生を目的に2015年に創設され、地方企業の生産性向上や雇用の拡大に資する経営幹部人材を紹介してきた。地方で働くことを考える「Glocal Mission Times」( https://www.glocaltimes.jp/)というニユースサイトを運営し、10万人の読者を持っている。

新たに始めた「Glocal Mission Jobs」では、経営幹部人材を希望する地方の企業と、首都圏などの都市部のビジネスパーソンをダイレクトにつなぎ、地方への人材還流マーケットの拡大に取り組むものだ。「地方には貴方の経験やスキルが活きる場があり、経営に近い立場で仕事を行う事ができる環境があります。「Glocal Mission Jobs」は情熱をもった都市部の人材と、地域に根ざし地域を担う企業を結びつけることによって、人の力で地方創生を実現するマッチングメディアです」と訴え、新サイトをオープンした。

同機構の担当者に実情を聞いた。登録企業は、地方銀行、先のプロフェッショナル人材戦略拠点、人材会社から集めている。年収700万円以上として、求人の85%が管理職、6割以上が役員部長というから、文字通り経営幹部募集である。「社長後継求む」も数件あるという。目標として、年に600件の掲載をめざしている。

サラリーマンは同サイトから直接事業への登録応募ができる。その後、ヒアリングを経て選考に入り、面接、成約まで機構のスタッフがアドバイスなどを無料で行ってくれる。プロスキルを持ち地方で腕を振るいたいサラリーマンには超お勧めだ。

求人例を見ると年収1000万円想定も

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