平日都心・休日地方 二地域居住の可能性
浅賀 桃子
2019/03/01 (金) - 11:00

政府が推し進めている地方創生に関連し、近年注目を集めている「二地域居住」をご存知でしょうか。言葉の通り、二つの地域に居住地点を設けることですが、主に都心と地方の両地域を指して使われることが多くなっています。国土交通省では二地域居住の定義を「都市住民が農山漁村等の同一地域において中長期的に滞在すること等により、当該地域社会と一定の関係を持ちつつ、都市の住居に加えた生活拠点を持つこと」としたうえで、二世帯居住人口は2020年ごろには約680万人、2030年ごろには約1080万人になると推測しています(※)。本稿では二地域居住の中でも「平日は都心・休日は地方で過ごす」という形での可能性を考えていきます。

平日は東京、休日は神戸 Tさんの例

Tさんは大阪のコンサルティング企業に勤務する40代後半の会社員です。神戸市内にマイホームを持ち、会社の出張で時々東京方面に行く生活をしていました。しかしだんだん東京方面での仕事が増え、ホテルの宿泊費や新幹線代もバカにならず、かつ年とともに身体の疲れも加わってきたことから、東京にセカンドハウスを持つことを決めました。「往復の新幹線代が1回3万円、ホテルの宿泊費も都内ですと1泊1万円近くかかることもあります。月に2回くらい東京との往復があれば、家賃とトントンくらいになりますし、何より宿を都度確保しなければならない煩わしさと移動の疲れがなくなりました。2週にいっぺんくらいは神戸の自宅でゆったり過ごしていますし、こういう暮らしも案外効率的なのではないかと思っています」とTさん。

Tさんは大阪のコンサルティング企業に勤務する40代後半の会社員です。神戸市内にマイホームを持ち、会社の出張で時々東京方面に行く生活をしていました。しかしだんだん東京方面での仕事が増え、ホテルの宿泊費や新幹線代もバカにならず、かつ年とともに身体の疲れも加わってきたことから、東京にセカンドハウスを持つことを決めました。「往復の新幹線代が1回3万円、ホテルの宿泊費も都内ですと1泊1万円近くかかることもあります。月に2回くらい東京との往復があれば、家賃とトントンくらいになりますし、何より宿を都度確保しなければならない煩わしさと移動の疲れがなくなりました。2週にいっぺんくらいは神戸の自宅でゆったり過ごしていますし、こういう暮らしも案外効率的なのではないかと思っています」とTさん。

平日は横浜、休日は茨城・日立 Yさんの例

同じく40代のYさんは茨城県出身ですが、高校卒業してからこれまでずっと横浜市内に住み、勤務先の会社も横浜市です。高齢の両親が一人暮らしをしていることもあり、週末は両親の様子を見ながら都会の喧騒から離れる機会にしようと、両親の自宅の近所である日立市に拠点を設けることを決めました。「駐車場代もこちらは安かったり、無料のところもあったりしますし、思ったほど費用はかからなかった印象です。会社の同僚からは不便な印象を持たれますが、JRの駅まで徒歩15分ほどですし、スーパーや医療機関もあるので車がなかったとしても生きていけると思います」とYさん。
なお日立市をはじめとする茨城県北6市町では、自治体が空き家などを整備し、家電家具付きで「お試し居住」できる制度を設けており、最長3ヶ月間、滞在費無料(水道光熱費のみ)で利用することができます。滞在中は市役所の職員による各種相談や就業体験のあっせんなども受けられますので、いずれ居住を考えている、あるいは二地域居住を体験してみたいという方はぜひ利用してみるとイメージがわきやすくなるでしょう。

遠距離通勤との比較

先ほどのYさんの事例で「遠距離通勤でも許容範囲なのではないか」と思われた方も、もしかしたらいらっしゃったかもしれませんね。地方に住み都心へ通勤する形の遠距離通勤と、平日は都心に住みこれまで通り通勤し休日は地方に住む形の二地域居住。どちらを選ぶかは皆さん次第ですが、代表的なポイントを比較してみました。

・通勤時間
当然のことながら遠距離通勤のほうが長いことになります。ただ「オンとオフの切替ができる」「読書の時間にあてられる」という点を遠距離通勤の「メリット」と考えることもできます。もちろん「朝が早いのは辛い」「普段の通勤時間は短いほうがいい」という方であれば、二地域居住のほうがメリットになるでしょう。

・費用面
遠距離通勤の場合は交通費が、二地域居住の場合は双方拠点の住居維持費が大きな懸念点になるでしょう。自分の勤める会社がどの程度交通費を負担してくれるのか(たとえば、新幹線定期は対象外にしている会社もあります)といった点を確認し、自己負担が発生するようであれば家計に与える影響を事前に押さえておきましょう。二地域居住の場合の住居地に関しては、都心にセカンドハウスを借りるTさんの場合と、地方に新たな拠点を設けるYさんの場合とでまた変わってきますが、地方に設ける場合は特に「都会と違って新車と変わらないくらいの金額でマンションが買えるので魅力」といった声もあります。

さらに、「リタイア後に自然豊かな田舎で暮らしたい」と思っている人も少なくないと思いますが、年を取ってからいきなりの移住はリスクをともないがちです。若いうちから二地域居住で地方生活を少しずつ経験しておくことが、将来の移住をスムーズにするという点も見逃せないでしょう。

二地域居住、向いている人はどんな人?

二地域居住とは「別荘」のようなレジャー的位置づけとは異なります。つまり、二地域両方で地域の一員となり暮らしていくということです。当然地域間の移動時間も発生するわけですが、その時間をも「団らん時間として楽しむ」。また地域での人間関係においても、ご近所付き合いが2倍になり「新鮮」だと感じる。このような方には二地域居住が向いているのではないでしょうか。
 

※1 「二地域居住」に対する都市住民アンケート調査結果と「二地域居住人口」の現状推計及び将来イメージについて 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/souhatu/h16seika/14hantei/14_nichiiki04.pdf

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