先輩移住者に聞く「地方UIターンのリアル」
浅賀 桃子
2018/01/06 (土) - 08:00

「地方に戻ろうか迷っている」「地方移住を検討しているけれど不安があり、なかなか踏み出せない」という方もいらっしゃるでしょう。そのようなときに参考になる「先輩移住者」の声。今回は島根県主催で行われた「島根ITエンジニア移住Night!」イベントに参加、UIターンを経験した先輩方のトークセッション内容をご紹介します。

島根県とは

2017年12月13日に株式会社パソナテック内・新宿オープンソースラボにて開催された本イベント。およそ30名の方が参加されました。 はじめに主催者である島根県東京事務所産業振興部の土江健二氏より、島根県のご紹介がありました。島根県は通勤・通学時間の短さ全国2位(片道26分)、通勤地獄とは無縁、1人あたりの都市公園面積の広さ全国8位(14.1㎡)、1平米あたりの住宅地価格の低さ全国7位(2.2万円)など、都会では得られにくいゆとりある暮らしが実現可能です。

さらに、島根県にはオープンソース「Ruby」の開発者、まつもとゆきひろ氏が在住していることもあり、RubyをはじめとしたIT産業の発展のためIT企業誘致推進や人材育成支援なども積極的にやっていることが特徴のひとつでもあります。

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トークセッションゲスト紹介

続いて、自身も2017年9月にIターンによって島根移住を果たした田窪大樹氏がファシリテーターを務め、島根県のIT企業に勤める3名のUIターン先輩ゲストとともにトークセッションが行われました。

前田修吾氏(株式会社ネットワーク応用通信研究所/一般財団法人Rubyアソシエーション事務局長)愛知県出身。大学入学により大阪へ。1997年よりRuby開発に参加し、1999年ネットワーク応用通信研究所入社と同時に島根移住。Iターン歴18年。

天野裕介氏(株式会社プロビズモ)島根県出雲市出身。島根大学大学院修了後、関東圏の会社へ就職し組み込みソフトウェア開発に従事。2016年島根に移住しプロビズモに入社。Uターン歴2年。

佐々木大輔氏(株式会社e-Front)島根県浜田市出身。高校卒業後株式会社e-Frontに入社し、16年間東京で生活。2015年、浜田市の廃校を活用した島根支社開設に伴い島根に移住し、支社長に就任。Uターン歴3年。

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島根移住のきっかけ

前田氏:大学在学中からRubyに携わっていました。当時は業務でのRuby利用は一般的ではなかったのですが、Ruby関連の業務に従事したいと思いながら就職活動をしていました。活動中に(Rubyの生みの親として知られる)まつもとゆきひろさんに誘われて、まつもとさんの在籍する現在のネットワーク応用通信研究所(島根県松江市)に入社しました。今でこそRubyの会社は東京にもたくさんありますが、18年前(1999年)にはほとんどなかったです。
入社したころはずっと島根にいるつもりはなかったのですが、松江で今の妻と結婚し、今では家も建てました。

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天野氏:いざ就職となったときに、就職難に加え、ITの会社が島根にありませんでした。当時関東へのあこがれもあったので、関東の会社を選んで入りました。
この会社が、あるとき外資系企業に買収されまして。上司が倍に増え、業務内容もちょっと違うなと思い始めました。私自身「いずれは島根に帰ろうかな」という思いはあったので、このタイミングだと思い、転職して島根に戻りました。

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佐々木氏:2015年に会社のブランチ(島根支社)立ち上げの話があったことがきっかけになりUターンしました。
それから私の場合、いわゆる「嫁ターン(妻の地元に移住すること)」でもあります。島根に戻るつもりはなかったのですが、妻が家庭の都合もあって先に戻ることになり、その間は東京で単身赴任でした。

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移住後の過ごし方

前田氏:会社は東京にも支社がありますが、東京支社とは時間の使い方が違うなと感じています。島根では夕方には帰っていますし。プライベートではバイクが好きなのでツーリングに行ったり、温泉で疲れをとったりしています。島根には温泉が多くあるのです。

天野氏:通勤時間が自転車で10分ほどと短くなりました。それから畑を借りているので芋ほりが恒例行事になったり、山や海が近いので自然と遊ぶことが増えたりといった変化もあります。そして現在、念願のマイホームを建築中です。

佐々木氏:Uターンしてから、地域に根付いた活動を楽しくやっています。そのうちのひとつが「いわみくと!」の事務局活動です。ICTに関心のある人たちの交流の場(Meetupやコミュニティ)を、石見地方(島根県西部)を対象に行っています。

移住を検討している方へのメッセージ

前田氏:私の場合は成り行きでということもあったのですが…決める前にはご家族とよく相談してください(笑)

天野氏:妻も同じ島根出身ということもありますが、島根に戻ってからは子どもも含め生き生きしているなと感じています。仕事の面でも刺激的なことができていて、移住してよかったと思っています。

佐々木氏:島根に戻ってきて、自分次第で好きなことができる土地だなと思っています。何も動かなければただの温泉じじいになっていたと思いますが(笑)、自分から動くことで自分らしく生活ができると感じています。

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島根へのUIターン移住に興味がある方へ

イベントの最後には、Rubyやオープンソースソフトウェアを中心にIT産業発展に力を入れている島根県ならではのサポートとして「IT WORKS@島根」の紹介がありました。IT WORKS@島根では、都市部に住むITエンジニアの方々が島根県のIT企業へUIターン転職できるように、県内IT企業の最新求人情報の提供、ITに関する専門知識のある人材コーディネーターによるキャリア相談、企業とのマッチング、転職イベント開催、移住サポートなど手厚いサポートを行っています。

直近では、2018年1月21日に東京会場(秋葉原UDX)、1月27日に大阪会場(グランフロント大阪)にて、今回のトークセッションゲストの3名が所属する企業を含む島根県内IT企業2~30社が出展する「GO’島根!ITエンジニア転職フェア」が開催される予定です。企業の複数の担当者にまとめて会うことができ、移住にあたっての仕事やお金のことをコーディネーターに相談することもできる場となっています。

島根県担当者によると、イベントへの参加をきっかけにUIターンに踏み切ることになった例も少なくないといいます。近い将来、移住を検討している方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

IT WORKS@島根ホームページ:https://www.shimane-itworks.jp/

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