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東京出身者が地方に働く場所を求めるわけ
川島 勇さん
(株)くらしさ 長谷川 浩史&梨紗
2019/07/29 (月) - 08:00

消費地でもありながら、生産地の近い名古屋での暮らし

「人生100年時代といわれる今となっては違うと思いますが、当時、転職市場は35歳までと言われていましたから、最後のチャンスとも思っていました。前の会社で頑張ることも選択肢としてありましたが、慣れ親しんで居心地が良かった分、このままぬるま湯に浸かっていていいのか?と、また悪い癖が出て(笑)それならご縁のあった愛知でゼロリセットして挑戦しながら、この土地にどっぷり浸かってみよう。そう考えたんです」

当時、名古屋は2027年のリニア中央新幹線の開通に向けて再開発まっただ中。その一員として頑張ってみたいと考えたのも転職の理由の一つとのことだが、三大都市圏の一つに数えられる名古屋は東京と似通っている部分もなかったのだろうか?

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「時間の流れは東京と比べるとゆったりしています。遅くとも19~20時頃には退社するのが当たり前ですし、通勤も一番混んでいるとされている路線を使っていますが、肩が当たったかなといったぐらいです。気持ちに余裕ができた分、外にも目が行くようになって、最近じゃ土日に近郊へ小旅行するようにもなりました」

仕事も初めの内は、社風に慣れることに四苦八苦だったようだが、幸い前職の経験を買われ、鉄道会社が運営にかかわる文化施設の企画・運営に携わる部署に配属されたため、仕事内容としてフラストレーションを感じることはなかった。かかわる文化施設も名古屋から1時間ほどの場所にあり、その道中に車窓から見える田園風景にも癒されるそうだ。

「最近、気付いたんですが、どうやら生産地に近いということが心の安堵感に繋がっているのではないかと。山口で当たり前のように地元のものを消費する感覚が、ここ愛知でも同じように感じられたんです」

それもそのはず。愛知には八丁味噌をはじめとする豆味噌や、ミツカンに代表される酢、三河みりんといった調味料の生産地が集積しており、野菜においても産出額全国5位という農業県でもある。名古屋圏から少し離れれば、田畑の広がる田園風景を拝むことができるのだ。

こうした近隣エリアでの特産品は、近隣の神社の境内で1と6の付く日に催される“市”で、生産者から直接、買い求めることができるという。誰が作ったか分からないものを食べていた東京での生活と比べ、愛知での生活も山口同様、とても豊かに感じるそうだ。

希薄な東京での人付き合いにくすぶったら地方へ!

山口、愛知と元々縁もゆかりもない土地を転々と渡り歩いてきた川島さんには、どの土地に行っても共通して行っていることがある。それは趣味のテニスと、行きつけのバーや小料理屋をつくること。

「テニスは現地のスクールに通うのですが、そこで自然とその土地の友人ができます。また、地元のバーや小料理屋に通うことでも同様に、地元の知り合いが増えていくんです。中でもバーの店主や小料理屋のおかみとの距離が近いお店がオススメです。彼らがハブとなってお客さん同士をつないでくれますから」

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こうした“課外活動”を通じると、仕事以外のつながりも生まれて、その土地により入り込んでいきやすいと話す。そして繋がりが生まれると、自然とその土地に愛着を持つようになり、いつの間にかその土地のことが好きになっていくそうだ。コミュニティが大切というのはこういうことを言うのかもしれない。

それ以外にもクラシック鑑賞やビアフェス巡り、落語など、趣味は尽きない川島さんだが、東京では多すぎて巡り切れない感じがあったのが、名古屋ではちょうど良いペースになったそうだ。そう、名古屋は様々な観点で“ちょうど良い”と川島さんは話す。

「都心と郊外のバランス、消費地と生産地の距離感、昔ながらの文化と新しく生まれる文化、時間の流れの早さなど、いろんな意味でバランスがいいんです。なので自分自身もバランスの良い暮らしが送れるようになったんです」

これからは名古屋の発展を見届けながら、自身の成長も加速させていきたいと話す川島さん。最後に、脱東京を考えている人へのアドバイスを伺った。

「東京で得たスキルは、地方でも存分に発揮できます。特に名古屋エリアは圧倒的に人材が足りていないので、大いに活躍の余地はあると思いますよ。東京の希薄な人付き合いに物足りなさや疑問を感じている人は是非、地方へ。圧倒的に人のつながりが太いと感じると思います」

おそらく川島さんは東京にいても、出世街道を昇るキャリアを歩んでいただろう。ただ、川島さんが学生時代から思い描いていた、密なコミュニケーションの中で切磋琢磨できる環境は、愛知で叶えられつつある。出身地だからといって東京に固執しない柔軟な姿勢が、あるべき場所へと導かれていったのかもしれない。

川島勇(かわしま いさむ)さん

東京都杉並区出身。大学院まで東京で過ごすも、就職先は地方転勤の多い企業を選択。自ら地方赴任を買ってでて、山口県岩国市の文化施設の企画・運営の仕事に従事する。その後、東京での人事部を経て、名古屋への転勤を機に、地方にどっぷり浸かりたいと愛知の鉄道会社へ転職。県内の文化施設の企画・運営などに携わりながら、愛知での暮らしを満喫している。趣味はテニス、バーホッピング、クラシック鑑賞、ビアフェス巡り、落語など多彩で、各地の暮らしでどれも実践してきている。

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