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長崎県壱岐市──「行列のできる相談所」Iki-Biz(イキビズ)センター長が決定
SELFTURN ONLINE編集部
2017/06/30 (金) - 08:00

静岡県富士市の産業支援センターf-Biz(エフビズ)。地場の中小企業や小規模事業者を対象とした事業相談、コンサルティングで知られ、そのスキームを採り入れた「○○-Biz」を全国12ヵ所に展開。そして2017年夏より、13ヵ所目となる「Iki-Bis(イキビズ)」を長崎県の壱岐市に設立します。それに伴い、壱岐市ではIki-Bizの大黒柱となるセンター長を募集。大きな注目を集め、応募倍率は過去最高に達しました。2017年6月17日に開かれた、Iki-Biz(イキビズ)センター長・森俊介氏の就任会見の模様をお届けします。

f-Bizセンター長・小出宗昭氏によるプロローグ

梅雨がひと息ついた6月17日(土)の東京・渋谷。ちょっと変わったブックカフェ「森の図書室」で、「Iki-Biz(イキビズ)」センター長就任の記者発表会が開催されました。「Iki-Biz」とは、「f-Biz(エフビズ)」をモデルとした長崎県壱岐市の産業支援センターの愛称です。ではそもそもf-Bizとは……? これは、静岡県富士市が2008年に開設したエリアの中小企業・小規模事業者を対象としたビジネス相談施設。相談した企業や事業者が次々と成果を出し、年間相談件数は4000件超え(2015、2016年)。「行列のできる相談所」とも呼ばれています。そこでセンター長を務める小出宗昭氏が、まずは今回の背景を説明しました。

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「f-Bizの成功は、たくさんの市町村から注目を集めています。壱岐市からのご相談を受け、これは究極の島興しになるのではないかと思いました。そして応募者は過去最高の391人にのぼりました。首都圏からの応募が約4割。上場企業の役職者が100人以上、公認会計士や税理士、金融機関の役員もいました」

壱岐市で行われた最終面接には、5人が選出。各選出者に対し、実際の事業者から現実に直面している悩みや課題をぶつけてもらい、「誰にいちばん相談したいか」によって決定されました。
「相談者の悩みや課題に対して、正解を求めているのではなく、“どう切り返すか”を見ていました。コンサルタントとしての経験ではなく、情報を自分の中で生きた知識に転換でき、それらの集積から知恵を生む力があること。実ビジネスをやってきた人であれば、今までの知見とf-Bizを要素分解でき、どこが似ていてどこが違うかを掴むことができるんです」と語る小出氏。
こうして1人選ばれたのが、森俊介氏でした。8月のオープンに向け、現在、富士市のf-BizでOJTを実施。「修業」の毎日を重ねているそうです。

市長が推進役だから決定も進行も早かった──笹原直記壱岐市副市長

次に、壱岐市の副市長である笹原直記氏が当の壱岐市の事情を説明。市民の皆さんが持つ「強い危機感」が原動力だったと語りました。
「壱岐市は現在、人口27000人ですが年々減少傾向にあります。それを食い止めるために、産業支援を中核に置いて調査をしてきました。はじめに市長がこのモデルのことを聞きつけたのが、Iki-Bizのきっかけです。1つの企業で100人の雇用増は困難ですが、100社で1名ずつの雇用を生み出せば結果的に同じというf-Bizの理念に共感したんです」
トップからの発案の上、非常にわかりやすいモデルなので、市役所内や市民への説明が簡単でした。しかし1200万円という年俸額は自治体にとって大きな賭けとなります。それでも踏み切ったのは、「結果が出るモデル」だから。

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「富士市と壱岐市は産業構造も特質も違いますが、f-Bizモデルは全国どこにでもいる商工業者や農業者すべてが対象で、どの市町村でも合致するとても珍しいモデルです。これなら結果が出せると信じていますし、年俸分の価値はあると判断しました」

Iki-Bizができることは市内の事業者には周知し、センター長面接の時に来島した小出氏の講演会には、100人を超える聴衆が集まりました。その時のことを小出氏は語ります。
「27000人の島で動員もかけずに100人集まるのはすごいことです。それだけ期待感が高い、言い換えれば危機感が強いということでしょう。若いベンチャー起業家が島に来てくれることに、多大な期待をかけてくださっているのです」

住みたいと思った町で、価値のある仕事をしたかった

そしてこの日の主役である森俊介氏から。そもそも壱岐のこともf-Bizのことも知らなかったそうです。
「もともと地方に住んでみたいなと考えていました。地方に行くなら仕事を作らなければ、と思っていた時に、Webメディアで今回の募集を知りました。そして旅行に行き、壱岐をすっかり気に入ってしまったんです」

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この日会見が行われた「森の図書室」は、名前からもわかるように森氏が経営するお店。
本屋ではなく、図書館というスタイルで、お酒などの飲食やおしゃべりを楽しみながら本を読める今までになかったタイプのカフェです。ルーツは、森氏が中学生のときに読んだ本に出てきた「田舎に私設図書館をつくったおじいちゃん」。そのおじいちゃんに憧れ、「いつか自分の図書館をつくりたい」と抱き続けた夢をカタチにしたのがこの場所なのだそうです。
大学卒業後に(株)リクルートで営業職に就き、退職後はベンチャー起業家として「森の図書室」の他、格闘家フィットネスジム「FIGHTCLUB428」など複数の事業の立ち上げを行ってきた森氏。そんな森氏がなぜ今回、Iki-Bizセンター長に名乗りを上げたのか、その背景にある想いを伺いました。

「単刀直入に言うと、より価値のある仕事ができると思ったからです。僕が事業として行っているブックカフェとフィットネスジムは、いずれもエンターテイメント性が高く、いわば “あってもなくてもいい”もの。でも、『○○-Biz』は目の前にいるお客様にとって“なくてはならない”ものなのです。コンサルさせていただくお客様がいて、その向こうにはさまざまなヒト・コトが幾重にも広がっている。そんな広範囲に向けて付加価値を発揮できる仕事に、とても魅力を感じました。」

Iki-Bizセンター長に就くまでと、これから。森氏の一問一答

──面接は実際の事業者から悩みの相談をされる形だったそうですね。
はじめ、ごく通常に志望動機なんかを聞かれるのかと思っていましたが、まったく違いました。40分間で6〜7個のケーススタディを出され続けるんです。正直圧倒されたし、混乱もしました。店に観光客が来ないからどうしたらいいかな?とか、海産物の水揚げが減ったんだけどどうしたらいいかな?とか。困っていることをそのままぶつけられたわけです。あまりにガンガン詰められるので落ち込んだし、『こんな短時間で嫌われたのかな……』と思ったりもしました(笑)。

──現在(2017年6月)はf-Bizで研修中とのことですが。
先輩コンサルタントの横に付いて、実際の相談の場を見学させてもらっています。そこで感じたことを先輩コンサルタントに質問し、理解を深めたり、ディスカッションしたり。また最近は、僕一人に案件を任せていただくこともあります。
多種多様な方が相談に来られるので、すべてに対して対応できなければなりません。なので、もっと知識を増やして、普遍的なコンサルスキルを身に付けるのが今のところの目標です。小出センター長には『研修医にメスを持たせるようなもので、ドキドキする』と言われます。

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──Iki-Bizは何人体制になるんですか。
センター長の僕の他、スタッフ2名の3人体制です。この3人のチームで、まずはとにかく一人でも多くの方に来訪いただき、しっかり結果を出すことが大切です。副センター長は今人選しているところですが、チームとしていかにパフォーマンスを上げられるかに重きを置いて、スタッフの適性を見ています。

──渋谷の真ん中から、壱岐という島へ行くことについては。
もともと“ここに住みたい”がスタートで応募しているので、移住は楽しみです。この図書室はスタッフに任せます。

──これからどんなスケジュールになりますか。
7月下旬に研修が終わり、壱岐へ行きます。そしてオープンは8月22日です。

f-Bizの成功を見て全国に類似の相談窓口ができていますが、それだけ与えるインパクトが強いということ。いわば「直系」のIki-Biz、さらに開設予定の各地のビズが地方創生の追い風になるのを、私たちも注目していきます。

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森 俊介

1984年生まれ。子供の頃から家で本を読むのが好きで、いつか自分の図書館を作ることができたら、と夢を持つ。早稲田大学を卒業後、株式会社リクルート(現・株式会社リクルートホールディングス)に入社。退職後、留学や日本一周を経て2014年、東京渋谷に「森の図書室」をオープン。その後、複数の事業立ち上げも行う。2017年8月からIki-Bizセンター長に就任。

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