信州・長野県で、地域に根ざした「ものづくり企業」として発展してきたエプソン。2022年、創業80周年を迎えました。現在はプリンターやプロジェクターなどの情報機器をはじめ、産業用ロボットを核としたシステムの構築、水晶振動子や半導体などの電子デバイス部品の開発など多岐にわたる事業により、さまざまなソリューションを提供しているほか、ユーザーニーズを的確に把握し、素早く、柔軟に対応すべく、開発・生産拠点や販売・サービス拠点を世界各国・地域に展開しています。長野県に本社を置きながら従業員約7万9千人、売上収益1兆円を超えるグロ―バル企業となったエプソングループ。これから複数回に分け、エプソンの企業の魅力や、エプソンだから実現できるGLOCAL(GLOBAL×LOCAL)な仕事について、さらに「包括連携協定」を結ぶ松本市の魅力などについてお届けしていきます。
企業姿勢を端的に表したエプソンの「省・小・精の技術」
エプソングループは、国内20社、海外61社の計81社で構成され、売上では、日本、米州、ヨーロッパ・アフリカ・中東、中国・アジア・オセアニアの4エリアで、4分の1ずつを占めています。「EPSON」というブランド名称は、事業領域を広げる発端となった世界初の小型軽量デジタルプリンター「EP-101」が由来で、さまざまな分野で、価値ある製品・サービスである子ども「SON」を多く生み出し続けていこうという思いが込められているといいます。
ブランド名称の由来ともなった「EP-101」もそうでしたが、1942年に時計部品の製造から始まり、1969年には世界初のクオーツウオッチを開発するなど、創業以来、独自の技術により新たな価値を創り、人々の生活を変えてきたエプソン。事業の基盤には、技術への探求心と社会課題解決への思いがあるといいますが、同社は2022年9月に「『省・小・精』から生み出す価値で、人と地球を豊かに彩る」というパーパス(存在意義)も策定しました。
エプソンの「ものづくりに対するDNA」とは、「省・小・精の技術」といえるでしょう。無駄を省く効率化や小型化、精緻化にこだわり、価値を最大化していくという企業姿勢を端的に表した言葉といえます。このDNAには、現代の課題を解決するうえで、手間、時間、コストを徹底的に省き、社会の持続的な発展のために環境負荷を低減し、生産性と正確さ、創造性を磨き上げることから価値を生み出すなど必要とされる要素が入っています。また、「省くこと、小さくすること、精微さを突き詰めること」で生み出される価値こそが、自然環境にやさしく、人々の心を豊かにできると同社では考えています。
エプソンが起こすイノベーションと幅広い事業領域
エプソンといえば、「プリンター」を思い浮かべる方も多いいでしょうが、現在はホーム用プリンター「カラリオ」に代表されるようなプリンティング事業を主軸にしながらも、国内シェア1位のプロジェクターなどのビジュアルコミュニケーション事業や時計、ロボット、マイクロデバイスといったマニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業等も手掛けるなど事業領域も幅広いものがあります。
エプソンの2022年度の売上実績は1兆3,303億円に上りますが、エプソングループ全体の売上収益の約7割を担う中核のプリンティングソリューションズの売上は9,023億円(オフィス・ホームプリンティングが6,534億円、商業・産業プリンティングが2,489億円)で、ビジュアルコミュニケーションが2,168億円、マニュファクチャリング関連・ウエアラブルも2,154億円。プリンティング事業以外の事業も順調に業績を伸ばしています。
同社では、数ある社会課題の中から、エプソンが取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を、そのマテリアリティに対する打ち手として、以下の5つの領域を設定し、それぞれの領域において目標設定を行い、「価値創造戦略」として推進しています。独自のコア技術をベースにイノベーションを起こし、社会・環境・経済価値を提供することで社会課題を解決し、持続可能でこころ豊かな社会を実現するというものです。
長期ビジョン「Epson 25 Renewed」と環境への取り組み
現在、地球環境問題をはじめとするさまざまな社会課題に直面していますが、同社では「持続可能でこころ豊かな社会を実現する」ため、将来にわたって追求していくありたい姿に向け、「環境」「DX」「共創」に重点を置き、2025年に向けた長期ビジョンを「Epson 25 Renewed」 として改定しました。これは、下図のように「省・小・精の技術」とデジタル技術で人・モノ・情報がつながる持続可能でこころ豊かな社会を共創することを目指したビジョンです。