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元キャリア官僚が、広島へ移住・転職した理由と手にした暮らし
イソナガ アキコ
2019/03/11 (月) - 08:00

前職はキャリア官僚。そう聞いて多くの人は「なぜ転職を?」と思うかもしれない。だが、彼の中でその答えは実に明快。「自分にとって一番大切なものを選んだ」ただそれだけ。家族と過ごす時間を何よりも大切にしつつ、「地方からでも日本を動かせる」と新しい職場で着々とキャリアを積み重ねる。そんな遠藤寛之さんが転職や移住を考えつつも一歩踏み出せずにいる人に伝えたいメッセージとは?

転職&移住のきっかけは“結婚”

―遠藤さんはキャリア官僚として働いていらっしゃったそうですね。どんなお仕事をされていたのか、またそのときの状況など差し支えない範囲で教えていただけますか?

採用されてからは、広島県や出雲市にある出先機関の事務所に勤務をしていました。東京生まれ東京育ちの私としては、地方での仕事も生活も初めてでしたが、地元の方から(事業のおかげで)環境が良くなったという声をいただく機会も多く、自分の仕事のやりがいを強く感じられました。また、自分が携わった仕事が地図に残っていくのもとても印象的でした。東京に転勤してからは、アジアを中心にインフラの海外展開や国際協力のお手伝いをしたり、国としての施策の企画・立案を担当していました。

―なるほど。まさに順風満帆のキャリアを積んでおられたわけですが、にも関わらず転職・Iターンをお考えになった経緯を教えていただけますか?

転職を考え始めたきっかけは結婚です。入省した年に初めて赴任したのが広島県で、その時に現在の妻と出会い、その後1年で島根県出雲市へ転勤となり、2週間に1度、広島の彼女の元へ通っていました。彼女との結婚を真剣に考えるようになったときに、さてどうしようかなと。自分がこの仕事を続ける限り1〜2年単位で転勤する生活が続くのは確実で、いずれは単身赴任したりして別々に暮らすことが多くなってしまうだろう。彼女は仕事も辞めないといけなくなるし、頼る人のいないところで育児など一人に抱えさせてしまうかもしれない。そうした色んな悩みはありましたが、問題にぶつかったら都度立ち止まって考えてみよう、そう思って結婚を決めました。不思議なもので、結婚を決めた直後に辞令が出て、東京に戻りました。

―出雲市赴任時代にプロポーズ、東京に戻ってからご結婚されたわけですね。結婚後もしばらくはそれぞれ東京と広島と離れての結婚生活だったそうですね。

はい、結婚後も2週間に一度、週末になると始発の新幹線で広島へ駆けつけるというスタイルを貫きました。そんな生活をしばらく続けながら、改めてじっくり今後の人生を考えてみたとき、仕事の状況や生活環境、今後のライフスタイルなどをフラットに判断して、彼女の地元である広島に自分が拠点を移した方がいいんじゃないか、そう思うようになりました。

―どういう暮らし方がお二人にとって幸せなのかを一番に考えられた結果、というわけですね。奥様には、遠藤さんが転職・Iターンしようと決意したことについてどのように伝え、またそれに対してどのような反応をされたのですか?

「転職しようと思う」と伝えたらびっくりして「本当にいいの?大丈夫なの?」と何度も聞かれました(笑)。その後、何度か話し合って、転職先の候補として考えていたバイタルリード(現在の勤務先)についてどんな会社なのかとか、どういう仕事ができるのかというところを説明して説得しました。私の話を聞いて彼女もやっと安心して、「それなら」と賛成してくれました。

―職場の同僚や、遠藤さんのご両親などは転職について、どういうご意見でしたか?

同僚はもちろん反対というか、引き止めてくれました。両親も最初伝えたときこそ驚いていましたけど、(転職先が)そんなにいい会社なら大丈夫だろう、と賛成してくれました。もちろん、寂しがってはいましたが(笑)。でも広島から飛行機で1時間半ですので、そう考えると遠くは感じないですね。今年のお正月も東京に帰省して実家で過ごしました。

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転職については母校の大学教授に相談

―お話を聞いていて感じるのは、遠藤さんはニュートラルな視点から物事を見たり考えたりできる方だということです。だから奥さまもご両親も、遠藤さんの決断を信じてくださったのですね。さて、転職先のバイタルリードはどのように探されたのですか?

まずは転職サイトに登録して、自分がどういう方向に進みたいのか、どんな可能性があるのかといったことを考えました。それと同時に、大学・大学院でお世話になった教授に広島で転職先を探していることを相談しました。すると都市交通を専門にしておられる広島大学の教授を紹介してくださり、その教授に「自分の技術力を鍛えられる職場で仕事をしたい」ということをお伝えしたところ、「交通」というキーワードで、道路計画や公共交通計画、観光振興や地域活性化のコンサルティング業務を行うバイタルリードという会社を紹介してくださいました。

―「技術力を鍛えたい」というのは?

例えば交通渋滞を緩和させるような交通計画の提案をする場合、提案する場所の現状をどれくらい正確に把握できるかとか、現状の問題点をどれくらいあぶり出せるかとか、渋滞を緩和するという問題解決のための方法をどれくらい提案できるか、というのがこの仕事において「技術」といえる部分です。その力を鍛えることができるかどうかという点を一番重視していたのですが、バイタルリードはそれが一番できそうな会社だと思えたので、この会社を選ぶ決め手にもなりました。

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現在の会社の懇親会での様子。いつもこんな風に楽しく盛り上がるそうだ。

―実際、入社しての印象はどうですか? 現在、バイタルリードでどういったお仕事をされているかも含めて教えてください。

会社の雰囲気は非常にアットホームで、楽しく仕事ができています。
業務面でも、どのプロジェクトにおいても個人の裁量に任される部分が大きいので、この1年だけでも、技術力という面では随分鍛えられたと思います。
業務内容は道路計画や公共交通計画がメインです。ただ発注者側から受注者側へと立場は真逆になりました。具体的には、中四国地方の交通計画、地域計画等のコンサルタント業務が主な仕事です。最近では島根県の石見銀山で、ゴルフカートを改良した電動カートを使って、障がいのある方やケガをされた方で長距離を歩くのが大変という観光客の方向けの交通サービスの提案や実験の検証などもしました。

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広島と東京のギャップはゼロ

―暮らしの面についても教えていただきたいのですが、生活するうえで広島と東京とのギャップを感じることはありますか?

官僚時代に1年間広島で暮らしていたのでこちらの様子はわかっていましたし、生活するうえで特にギャップを感じることはないですね。スーパーなどの買い物施設や大きめの病院、保育園や小学校と生活に欠かせない公共施設はほぼ揃っていますし、東京の実家は品川区の住宅街なのですが、規模感や雰囲気も実家の周りと似ているなあという印象です。今、住んでいる場所はここ数年で急速に宅地開発が進んだエリアということもあって子育て世代がたくさんいますし、交通の便でも広島空港やJR広島駅へのアクセスはもちろん、高速道路のインターチェンジも近いので不便を感じることもないですね。職場も近いので、徒歩で通勤しています。

―職住接近で、まさに理想の環境ですね。休日はどのように過ごされていますか?

共働きなので、休日にまとめて夫婦で近所の八百屋さんやスーパーに買い物に行ったり、妻の実家が畑をしているので、遊びに行って野菜やお米をもらったりします。そういえば広島に来てからはお米を買ってないですね(笑)
冬はスキーにもよく行きます。東京ではスキーに行こうと思うと新幹線を予約したり、宿泊施設を予約したりと行くまでの準備が大変でしたが、広島は県北にスキー場がいくつかあるので、日帰りドライブで気軽に行くことができるようになりました。

また近隣に魅力的な観光スポットがたくさんあるので、二人でよくドライブもします。つい先日も、急に「牡蠣が食べたいね」という話になって、「じゃあ、宮島へ行こうか!」とすぐ宮島へ行って旬の牡蠣を堪能しました。もともと旅行が好きで、高校・大学時代と日本中を旅して周っていたのですが、広島に来て遊びへのハードルがぐんと下がったという感じがしています。

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移住後は夫婦で旅行やレジャーに出かける機会が増えたという。写真左は高知県、写真右は和歌山県にて撮影

―プライベートの充実ぶりがすごく伝わってきますね。そんな遠藤さんにぜひ今後の展望について、キャリアの面、生活の面とそれぞれ教えていただきたいのですが。

仕事においては、自分自身の技術力をさらに磨いて、何かあったときに「遠藤に聞いてみよう」と思ってもらえるようになりたいですね。また広島に地方都市としての魅力や勢いも感じているので、広島から日本を良くしていってもいいんじゃないかって、その可能性も感じています。
生活の面では今は賃貸暮らしですが、いずれは広島に家を買って、落ち着いた暮らしがしたいなと考えています。

転職・移住を検討中の人へメッセージ

―なるほど。では移住先の広島を基盤に今後も生活していくという決心をされているわけですね。では最後に、今後、移住や転職を考えている人たちへメッセージをお願いします。

東京にいても地方にいても、やっている仕事の内容はそんなに変わることはありません。東京の会社と対等に渡り合っている会社もたくさんあります。もし、地方には仕事がないと感じているとしたら、それは(地方に存在する仕事を)知らないだけかもしれない。今やっている仕事と同じような職種で探すのであれば、同じ職種の知り合いに尋ねたりしてみると、案外その中で尖っている会社を見つけられることもあると思います。もし、「地方では仕事が見つけられないかも」と悩んでいる方がいたら「探せば、地方にもたくさん仕事はあるから大丈夫」と教えてあげたいですね。

遠藤 寛之さん

1989年、東京都生まれ。横浜国立大学・大学院を卒業後、キャリア官僚として社会人をスタート。最初の赴任地だった広島で現在の妻と出会う。広島と出雲、東京とを行き来する遠距離恋愛を経て結婚。安住の地として選んだのは、東京ではなく妻の地元である広島だった。キャリア官僚時代に培った経験や知識、技術が活かせる会社へ転職し、即戦力として活躍している。市街中心部もほどよく栄え、電車や車で1時間も走れば風光明媚な自然が広がる広島で、今は夫婦二人の生活を満喫中。

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