広島県広島市をホームタウンに、プロバスケットボールクラブ「広島ドラゴンフライズ」を運営する株式会社広島ドラゴンフライズ。現在はB.LEAGUE(Bリーグ)のトップカテゴリーに相当する「B1」に所属。今シーズンはBリーグ年間チャンピオン、初優勝を果たしました。クラブ創立4年目の2016年に代表取締役社長に就任した浦伸嘉(うらよしのぶ)様にチーム運営のために注力してきた戦略や、B.PREMIER(Bプレミア)参入、新アリーナ構想などについてお話しいただきました。
―まず、会社概要についてお聞かせください。
株式会社広島ドラゴンフライズは、ホームタウンを広島県広島市に置き、2013年10月2日に設立しました。広島東洋カープやサンフレッチェ広島に次ぎ誕生した、プロバスケットボールクラブ「広島ドラゴンフライズ」の運営や興行をメインに、法人スポンサー営業、後援会運営、ファンクラブ運営、ユースチーム、バスケットボールスクール事業、などを行っています。
今シーズンは、次の新トップカテゴリーであるBプレミア参入を目指して、クラブの価値向上に取り組んでいます。
―クラブ創立4年目で社長に就任され、運営において力を入れてきたことについて教えてください。
日本のスポーツは、未だに体育の延長線上にあると思っています。ですが、スポーツはビジネス。いい投資のためにはお金を稼ぐ必要があり、そうでなければ、競技レベルも上がりません。
競技大会ではなく、興行としての成功のためにも、チームの存在を知っていただくことが重要であり、まずはみなさんに認知していただくことに最も注力してきました。
―メディア戦略でこれまで注力してきたことについて教えてください。
広島ドラゴンフライズの認知度を高めることで、地域で信頼される存在になることは重要であり、ブランディングの観点からもメディアの力が必要と考えています。
広島には地元テレビ局が5社あり、必ず広島の情報を取り上げるため、首都圏のキー局よりも多くの地元の情報がテレビで放送されます。また、他県と比べてもテレビの視聴率が高い傾向があります。
そのため、メディアとコミュニケーションを取り連携を深め、先輩である広島東洋カープさんやサンフレッチェ広島さんの戦略や課題を研究して改善しながら、より多くのメディアに報道していただくことを重要視してきました。
3年半くらい前からは、情報番組のコメンテーターとして、現役の選手がレギュラーで生出演するという新しい取り組みにも挑戦しています。
引退した選手ではなく、現役の選手が出演することで、確実に知名度や人気が上がったので、良い取り組みであったと思います。
―メディア戦略の手応えはありましたか?
若い方たちの視聴が増えるため、メディアにとってもバスケットボールは魅力的なコンテンツであると言えると思います。メディアを通じて認知を広げながら、自分たちの強みをはかれるのが、この戦略の大きな特徴ですね。
ビジネスでは、大衆の心理をどれだけつかむかが大事になります。SNSももちろん利用はしますが、一般層には届きにくいと思っていて、特に広島はスポーツの熱量が高い県民性があるので、メディアに出ることで相対的価値が上がると思います。
濃いファン作りがクラブの一丁目一番地。メディアへの露出によって顧客との接点を作り、来ていただいたら、ホスピタリティ、エンターテイメントなどのいろいろな付加価値で顧客満足度を高め、来場回数を増やし、クラブのファンになっていただくのがゴールです。
―地域にプロチームがあることが地域活性化につながると思います。やはり、地域密着を大事にされてきたのでしょうか。
「地域密着」を超えた、「地域愛着」を目指して、メディアに出演してきました。そして、我々よりも先に地域連携している組織や自治体と組むようにしています。
地域と強い連携がある組織から応援されると、そこに関わる人たちが応援してくださる。新しいチームに対して、心理的なハードルが下がり「1回観てみようか?」と思っていただけるんです。
広島は全国で最もスポーツにお金と時間を投資する県ですから、こういった戦略が有効です。
―今回優勝されて、どのような変化がありましたか?
優勝を目指してやってきたので、非常に嬉しいことですし、地方のクラブとして、他の地方クラブに勇気を与えられたと思います。B2(B1の1つ下のカテゴリ)を経験した我々が優勝したので、やり方次第でスポーツクラブ運営には可能性があることが少しでも伝わったらいいなと思っています。
今後は優勝の価値をどこまで引き上げられるかがポイントであり、いかにビジネスモデルを構築できるかが重要だと思っています。この優勝を生かすも殺すも我々次第ということです。
―Bプレミア、新アリーナ構想について、どのような想いがありますか?
Bプレミアに参入できないことには、次のステップに進めないと思っています。今後、Bプレミアのチーム数が減っていくのではと予想していて、競争が激化して価値が上がっていったときに、生き残れるよう、日々、技術を磨いていかないといけないと思っています。
トップのクラブとして残るためには、新しいハード面が必要なので、新アリーナ構想もぜひ達成したいと思っています。
―アリーナは街のシンボルになると思います。そこに思い描くものはありますか?
スポーツクラブは、社会課題を解決し、地域に寄与して発展させることが役目だと思います。そもそもスポーツクラブは県民全体のものです。
アリーナは試合以外にも、イベントやコンサート、展示会、モーターショー開催など、様々な可能性がある総合エンターテイメント施設で、経済波及効果は高いと思います。
一方で、投資の回収を考えるとビジネスモデルの構築が必要になり、課題は多いかもしれません。大阪や福岡でコンサートを行うことは多くても、広島で行うことは少なく、広島の中心にアリーナができ、コンサートを開催することで、経済効果や地域の発展にも結びつくのではと考えています。
―今後、一緒に働きたい人材について教えてください。
世の中を動かすためには若いエネルギーが必要だと思います。若者は何か新しいことができると信じて常に構えていますから、イノベーションを起こせるし、新しい発想が生まれます。
我々は若いクラブ、若いリーグなので、経験者と若者が融合して、若者にしかできない新しいチャレンジをぜひ一緒にやっていきたいと思います。
―最後に今、伝えたいメッセージをお願いします。
特別な能力があるよりも、組織人として、丁寧さや誠実さに重きを置き、与えられたことをコツコツと継続してできる人が結果的に伸びるし、組織拡大のための重要なポイントだと思っています。
自分の軸で評価を決めるのではなく、どんどんチャレンジをしてほしいし、そのチャレンジの先が広島ドラゴンフライズであれば、なお嬉しいですね。
組織人としての役割に徹することの重要さを、ぜひ学生時代に学んでいただけたらと思います。
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