地方へのIターン転職をするならおすすめの年代と注意ポイント
渡部 幸
2018/11/21 (水) - 08:00

認定NPO法人ふるさと回帰支援センターの調査によると、2008年から2016年のセンターへの問い合わせ者数は2000人台から2万人台と約10倍に増え、Iターン希望者がその内62.2%とUターン希望者の32.5%を大幅に上回っています。地方への移住希望者は年々増加傾向にありますが、今回は、そんなIターンのメリットやおすすめの年代に加え、注意すべきポイントもご紹介しましょう。

1.地方と都会への転職の違い

まず、地方への転職と都会への転職の仕方の違いで何と言っても挙げられるのは、就労の案件の数でしょう。都会への転職の場合は、転職求人サイトや人材紹介エージェント、派遣会社など多くの求人の選択肢がありますが、地方については、やはり求人の案件が限られ、あったとしても応募者の希望にマッチした職種がない場合も多いのが現状です。

ただ、ITの技術が進み、少子化高齢化社会の現在、地方の就労状況も年々変化してきています。IT系や、Webを使った仕事の場合、地方でも都会にいるのと変わらない環境でインターネットを使って仕事ができることも多いですし、医療系や介護系の仕事は地方でも需要が高いものです。前述のふるさと回帰支援センターなどでも様々な地方自治体が相談の窓口を設け、セミナーを実施しており、その数もどんどん増えています。職種に制限を最初からかけず、まずは相談をしてはどうでしょう。

2.Iターンにおすすめの年代とは

では、どの年代でもIターンはおすすめなのでしょうか。会社員として組織の中で転職をしたい、という場合には20代よりも30代のほうがおすすめと言えます。地方のある程度の規模の企業に転職をしたい場合には、仕事の経験やスキルを積んで、その都会での経験を持って転職する人のほうが求められることが多いと考えられるからです。また、子どもやパートナーといった家族と一緒に移住してくる人も30代には増えてくるでしょう。将来を担う若い世代が定住することを期待して、家族での転居に金銭的支援や、移住場所を提供してくれる自治体も数多くありますので、こういった面も、単身でのIターンよりおすすめできる点です。

3.Iターンで注意するポイント

では、Iターンで注意すべき点はどんなことでしょうか。豊かな自然の中でゆっくりと日々過ごすことができる、子どもを育てるには緑や昆虫などの生き物、山や川などの近くの環境でのびのびと遊ばせられる最適な場所がある、通勤電車の長時間の満員のストレスを感じないですむ、などの良い点ももちろんたくさんあります。ただ、年収のダウンは多くの場合避けられないでしょう。30代で東京などの都会の一定の規模の企業に勤めていた人が700万~800万の年収を得ていたとしたら、転職した地方の企業では500万~600万位の収入となってしまうことが一般的な傾向です。介護や農業などの職種ではもっと低い年収になることもあるでしょう。

また、便利なコンビニやおしゃれな店が少ない、休みの日に行ける飲食やカフェ、洋服のショップも種類が少なくいつも同じ場所、など利便性や娯楽性はどうしても少なくなります。頭ではわかっていても、いざ生活してみると「やっぱり退屈だ」とか「以前よりもスキルもアップしているのに数年前よりも年収が下がるのは受け入れがたい」などの気持ちになってしまうかもしれません。

4.デメリットを補うメリットを考える

そんなデメリットについては、じっくりメリットのポイントと比較検討するとよいと思います。たとえば、年収が200万位下がってしまうとしても、家賃を自治体に補助してもらえることもあり、野菜や魚などの生鮮品が安く手に入ることもあり、月13万程度今よりも生活費が減る、子どもを中学から私立に入れることは地方の場合考えなくてよいので、かかる学費が各段に少なくてすむ、仕事先と家が近いので、快適に通勤時間が今よりも往復で2時間位少なくなる、などデメリットとメリットを具体的に書き出して整理してみましょう。整理した内容をもとに、実際に現地に行って何日か体験で過ごしてみる期間を取るとより判断の基準が見えてくるのではないでしょうか。

また、そういったメリットを多く感じられるのが30代以降の家族がある人です。若手の場合、特に自分の故郷でもない地方に移り住むのは、何かそこに引き止められる大きなモチベーションが必要でしょう。サーフィンとか農作物を育てるとか、地方ならではの住居と近接した場所でぜひ取り組みたいことを見つける、住んでいる人とのよい交流がとてもうれしくて、その地域に住みたくなるなど、若手の人はその地域の好きなもの、住みたくなるものを探すことが重要だと筆者は思います。ふるさと回帰支援センターのサイトにも多くの自治体のリンクがあります。色々な地方についてのセミナーに参加し、体験滞在ができるものに旅行がてら実際に行ってみてはいかがでしょうか。

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