AIに仕事を奪われる!? テクノロジーを歓迎する社会へ
久保田 一美
2019/01/06 (日) - 08:00

「AIに仕事を奪われる」というメッセージをよく耳にするようになっています。しかし、「奪われる」という不安のままで良いでしょうか。新しいテクノロジーが次々と生まれてくるなか、AIの進化はますます加速していくでしょう。必ずやってくる「AI時代」であるならば、別の視点をもち、むしろ歓迎する社会へと向かいたいものです。

行動しなければ不安のまま

この記事を読んでいる皆さんは、「AIに仕事を奪われて不安」と感じていらっしゃいますか。それとも、「AIが進化して逆に仕事が増えるのでは」とポジティブに考えていらっしゃいますか。現時点での社会から聞こえてくる声は、「AIに仕事を奪われる」という表現のものが少なくありません。

社会の歴史を振り返り、人を運ぶ馬車が車になった産業革命の時代も、洗濯板で洗濯をしていた頃から洗濯機が生まれた時代も、世の中にインターネットが普及し、IT化が一気に進んだ時代もそうだったように、新しいテクノロジーは、いつの時代にも「人が便利で快適になり、生産性が上がる」ものでした。それらの生産性が上がることで、「別のことができる時間が生まれる」ということは周知の通りです。

コールセンターなどすでに一部の仕事では、AIの導入により人の仕事の代替えが始まっています。今後もAIが進化すれば、確かに従来からある仕事や、職業自体がなくなるものもあるかもしれませんので、いま現在従事されている方にとっては不安になることもあるでしょう。

実際、先日も筆者である私が企業で研修講師をしているときに、このようなことがありました。参加者のお一人が「PCへのデータ入力作業が自分の業務なので、この先ずっといまの会社で働いていけるのか、会社にもしものことがあったときに転職できるのか、とても不安だ」とおっしゃいました。また別の企業の研修では、テレワークなどのIT導入を先送りにしていた経営者の方が、優秀な社員がそれを理由に退職することになったことを、大変悔やんでおられました。

このように、これからを見据えていままでの仕事や働き方の意識を少しずつでも変えて行動しなければ、不安はそのままになってしまいます。

新しいテクノロジーを歓迎しよう

内閣府が発表した平成29年版高齢社会白書(※)によると、日本で現状が続けば、2060年には人口が約9300万人と現在の4分の3の規模まで減少し、一般的に働き盛りとされている年代の人口も著しく減っていくといわれています。

このような事態に真剣に考えなくてはならないことは、画一的な働き方や古いテクノロジーに固執するのではなく、むしろ新しいテクノロジーを歓迎し、社会や企業は
(1)少ない人的リソースでも業務をまわせるようになること
(2)新しい価値を生み出す人的リソースを確保すること
が大切になってきます。また、個人の立場からすれば、
(1)新しいテクノロジーを活用できること
(2)新しい価値を生み出せる人になること
などが求められます。

PCへのデータ入力作業や製品の品質検査など、ルーティン的な業務はAIを搭載したコンピュータに任せたほうがより正確に、より速くできます。女性活躍、一億総活躍といっても、少子高齢化社会のなかで、決められた時間、決められた場所でしか働けない企業であれば、優秀な人材はテレワークなどを導入した柔軟な働き方ができる仕事や働き方へと目を向けます。

何よりこれからのAI時代を牽引していくのは、生まれたときからITやAIに触れた若者達です。そのような新しいテクノロジーに当たり前のように慣れ親しんできた若者達の斬新な発想を受け入れる社会にならなければ、グローバルで成長著しい国からの差がますます広がってしまうでしょう。

必要なのはAIに関する教育と自らの学び

AIの進化のなかで視点を変えるべきは、まずこのような「新しいテクノロジーをどう活用するのか」を考え抜くことや、実際に「一部の業務から導入」していくことです。

そこで必要になってくるのは、新しいテクノロジーに関する「教育機会の提供」や「学びの機会」を自らも増やしていくこと。人は、分からないこと、先が見えないことに不安を感じてしまいがちです。自分が変わらなくても、まわりは変わり、時代も変わっていきます。

企業としては新しいテクノロジーの導入を先延ばしにして、「従来の業務」を保持するのではなく、「働く人」を守っていくことが大切であり、教育の機会や新しい仕事への機会を提供しましょう。また自らのキャリアを切り開いていきたい方は、新しいテクノロジーの情報に敏感になり、自ら積極的に学び、変化に乗れることを目指します。

AIは労働力が低下する日本にとっては必須のテクノロジー。AIが人に変わって生産性を上げてくれる業務の時間を、新しい付加価値を生み出す時間に充てることがより重要な時代になっていくでしょう。

※(出典)平成29年版高齢社会白書(内閣府)

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