「変化の時代」を勝ち抜く経営戦略としての「リスキリング」とは? ~北九州市発・企業のみらいを創る人材育成プロジェクトに注目~
GLOCAL MISSION Times 編集部
2025/06/02 (月) - 10:00

AIの台頭、グローバル化の加速、そして「人生100年時代」の到来――。
私たち企業を取り巻く環境は、かつてないスピードで変化しています。このような時代において、企業の持続的成長と競争優位性を確立するためには、何が必要なのでしょうか?
その答えの一つが、「人的資本経営」であり、その中核をなすのが「リスキリング」です。

2025年5月22日、「北九州リスキリングキャンパス」の開講を記念したセミナーが小倉北区にあるKIPROホールで開催されました。本記事では、経営者の皆様にお伝えしたい、その要諦をダイジェストでお届けします。



第1部:なぜ今、「人的資本経営」と「リスキリング」が経営課題なのか?

(講師:株式会社みらいワークス 代表取締役社長 岡本 祥治 氏)

「もはや、旧来の『教育を受け、会社に入り、定年まで勤め上げる』というキャリアモデルは、現代の経営環境には適合しなくなっています。」
株式会社みらいワークスの岡本社長は、こう警鐘を鳴らします。特にAI技術の急速な進化は、事業構造そのものを変革し、従業員が有するスキルの陳腐化を早めています。

貴社の「人財」は輝いていますか?―生産性向上とイノベーションの源泉

岡本氏は、日本の転職率が約5%弱と欧米に比べて著しく低い現状が、企業の活力をも削いでいる可能性を指摘します。従業員が仕事への情熱を失い、「ライスワーク(生活のための仕事)」に甘んじてしまっては、企業の成長は望めません。従業員一人ひとりが「ライフワーク(自己実現のための仕事)」として現在の業務に誇りと情熱を持って取り組むことこそが、組織全体の生産性向上、そしてイノベーション創出の源泉となるのです。

「人的資本経営」―企業価値向上のための経営戦略

このような時代認識のもと、企業価値を中長期的に高めていく経営戦略として「人的資本経営」が不可欠です 。これは、人材を「コスト」ではなく、投資すべき「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことを目指すもの。岡本氏は、その実践において特に以下の3点が重要だと述べました。

1.継続的なスキルアップ文化の醸成: 企業主導でありながらも、従業員が自律的に学び続ける環境を構築する。
2.主体性と創造性の解放: 従業員が能力を最大限に発揮できる、柔軟で挑戦を推奨する組織風土を育む。
3.多様性の受容と活用: 多様な価値観や能力が、新たな視点やイノベーションを生み出す力となる(女性取締役の感性が経営判断に活かされている事例も紹介されました)。

「リスキリング」―未来への先行投資

この人的資本経営を具現化する強力なエンジンが「リスキリング」です 。既存事業の深化や新規事業の創出に必要なスキルセットは、常に変化しています。岡本氏は、「学ぶこと」と、そのスキルを事業に活かす「実践の場」が一体となって初めて、リスキリングは企業価値向上に貢献すると強調 。eラーニング等での知識習得に加え、実際の業務や部門横断プロジェクト等を通じて経験を積むことの重要性を訴えました 。企業単独での取り組みが難しい場合は、地域や他企業と連携し、実践の機会を創出することも有効な手段です。

先進企業の事例に学ぶ

ある大手広告代理店では、早期退職制度を利用し、従業員がフリーランスとして新たなキャリアをデザインするのを支援した結果、彼らが生き生きと活躍し、新たな価値を生み出していると言います。
また、みらいワークス社内でも、新卒研修の段階からAIを徹底的に活用させることで、既存社員の生産性を凌駕するケースも出ており、これが組織全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させているとのこと。若い世代が新しいテクノロジーを当たり前のように使いこなすことは、組織全体に「適度な危機感」と「変革への勢い」を生み出しています。



第2部:貴社の成長エンジンを再点火する「北九州リスキリングキャンパス」とは?

第2部では、2025年8月にいよいよ開講する「北九州リスキリングキャンパス」の具体的なプログラムと、企業の経営戦略にどう貢献できるのかが説明されました。

地域と共に「稼ぐ力」を強化する

かつて日本の産業発展を牽引した北九州市も、現在、若年層の流出や基幹産業の変革といった課題に直面しています。こうした課題に対し、地域全体の競争力を高め、「稼げる街」ひいては「稼げる企業群」へと変革を促す戦略的解決策として、このリスキリングキャンパスは構想されました。

企業主導の「戦略的リスキリング」とは

改めてここで言う「リスキリング」とは、個人の自発的な学び直しである「リカレント教育」とは一線を画し、企業が事業戦略に基づいて従業員に新たなスキル習得を促すものです。
これは、まさに人的資本経営の考え方と不可分一体の取り組みと言えます。

リスキリングは「コスト」ではなく、リターンの大きい「戦略的投資」

DXやAI関連の専門人材獲得競争が激化する昨今、外部採用だけに頼るのではなく、内部人材の育成・再配置が、コスト効率、そして企業文化との親和性の観点からも極めて合理的です。
リスキリングを、短期的なコストではなく、将来の事業成長を確実にするための「戦略的投資」として捉え、例えば、経理部門の担当者がAIやデータ分析スキルを習得し、「データドリブンな財務戦略を立案できる人材」へと進化することは、企業の意思決定スピードと精度を飛躍的に高めるでしょう。

「北九州リスキリングキャンパス」が提供する価値

ミッション: 参加企業の「稼ぐ力」を本質的にアップデートする

・DX、AI活用、本質的なビジネススキルなど、現代の事業運営に不可欠な能力を体系的に習得
・新しい働き方や学びの機会を提供することで、従業員エンゲージメントと企業ブランド価値を向上
・市内企業間の連携はもちろん、各分野の第一線で活躍するプロフェッショナル人材との貴重なコネクションを形成

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提供コース(各コース定員20名、複数受講により戦略的人材育成が可能)

・DX・生成AIコース(火曜日)
・リーダーシップ・マネジメントコース(水曜日)
・デジタルマーケティングコース(木曜日)

プログラムの特徴

・座学に留まらず、ワークショップや自社課題への応用を通じて、「知っている」から「できる」に。
・受講前後のアセスメントにより、変化を客観的に把握し、人事戦略へフィードバック
・Slack等を活用し、受講生同士や講師陣との継続的な情報交換・連携を促進し、新たな価値創造を誘発



最後に:

本セミナーで提示された「人的資本経営」と「リスキリング」は、もはや人事部門だけの課題ではありません。企業が変化の激しい時代を勝ち抜き、持続的な成長を遂げるための、経営トップが主導すべき重要戦略です。企業の未来を本気で考える経営者の皆様。この機会を捉え、貴社の「人財」という最も重要な資本への戦略的投資をご検討されてはいかがでしょうか。

▼「北九州リスキリングキャンパス」の詳細・お問い合わせはこちら

https://kitakyushu-reskilling.jp/



<新しい成長の柱がほしい…」「DXやAIって、うちの会社でどう活かせるんだ?」 そんなお悩みを抱える経営者の皆様へ 次回キックオフイベントのご案内>

【ワークショップ】 経営課題×AI活用  ワークショップ 
日程:2025年6月18日(水)15時00分〜17時30分(開場:14時30分) 
講師:合同会社ラーニングスケープ代表 村山祐紀子 氏

+<リスキリングキャンパス説明会>
会場:KIPROホール(北九州市小倉北区浅野三丁目8-1  AIMビル8階) 
持ち物:ChatGPTアプリをインストールしたスマートフォン
参加費:無料
定員:20社(北九州市内に事業所のある企業様)

▼お申し込みはこちら

https://forms.gle/Jr9ayiAgSZTzA1bQ8

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【基調講演②】激変するデジタル社会の中でのビジネスの方向性
日程:2025年6月 24日 (火)15時00分~16時30分(開場:14時45分)
講師:ソフトバンク株式会社 法人事業統括 公共事業推進本部 本部長 柏木 陸照 氏



【基調講演③】企業経営に必要なDX
日程:2025年7月1日(火)13時00分~14時30分(開場:12時45分)
講師:株式会社Kyutech ARISE 取締役/九州工業大学理事 安永 卓生 氏

+<リスキリングキャンパス説明会>
会場:ATOMica北九州(北九州市小倉北区京町3丁目1-1 セントシティ7階)
参加費:無料
定員:50社(北九州市内に事業所のある企業様)

▼お申し込みはこちら

https://forms.gle/Jr9ayiAgSZTzA1bQ8



【リスキリングキャンパスオンライン説明会】
日程:2025年6月11日(水)15時00分〜16時00分(ZOOM 開催)

担当:株式会社みらいワークス 地方創生部 パブリックチーム 鈴木健吾
参加費:無料
定員:なし



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