商店街活性化にも繋がった福岡県田川市における、ふるさとテレワーク
久保田 一美
2017/07/09 (日) - 08:00

福岡県筑豊地区の真ん中に位置する田川市。福岡市からは東へ約50km。かつては筑豊最大の炭鉱の町で、炭坑節の発祥の地ですが、その歴史を活かしながら地域を盛り上げるための様々な取り組みがなされています。また、近年新しい取り組みとして地方創生を目指すそのひとつが「ふるさとテレワーク」。かつては炭都として栄えた地域において、どんな新しい取り組みがなされているのでしょうか。

おしごとテラス「katete(カテテ)」

2017年1月に、福岡県田川市の後藤寺商店街の一角に、ふるさとテレワーク&コワーキングスペース「katete」がオープンしました。(※1) kateteとは、筑豊の方言で「仲間に入れて」という意味を持ちます。そんなほっこりするようなネーミングのスペースができたことで、地域の雇用促進や起業家の創出はもちろん、「商店街活性化」へも繋がっており、現在検討中の自治体にも新しい視点としてぜひ参考にしていただきたい事業です。

福岡県田川市のkateteは、『女性や若者が輝き働く、明るい街「たがわ」創生プロジェクト』を事業のコンセプトに、2016年に総務省「ふるさとテレワーク推進事業」に採択されました。(※2)

育児や介護中であったり、オフィスへの通勤が事情により難しかったりなど、時間の制約があっても働きたい方がいます。また、都心に出て働くのではなく、ふるさとをこよなく愛し、ふるさとで生活をしたい方もいます。テレワークは、そのような働き方を実現可能にし、地方創生の要にもなり得るものですが、kateteのように雇用を生み出し、地域を活性化するには、様々な工夫や取り組みが必要です。

テレワークやコワーキングスペースの設備が用意できたとしても、そこからがスタート。ワーカーが順調に増えるのか、仕事がコンスタントにあるのかどうか、ここが重要な運営になります。

これらの運営を順調に進めるために、kateteでは定期的にテレワークという働き方の理解促進をするセミナーや、ワーカーのスキルアップのための勉強会を行っており、育児中の方であってもお子様連れでも参加しやすいように、授乳スペースも用意されています。
・「テレワーク」セミナー定期開催
・Webライティングレベルアップ勉強会
・お仕事詳細説明会
などをはじめ、テレワークスペースでの仕事、イベントスペースとしての貸し出し、地域情報の掲示を行うことで、常に人が集まる仕組みを創っています。

また、テレワーカーとして登録してくださった方へは、cybozu Liveを使用して、お仕事情報とスケジュールを管理。クラウド上で繋がることによって、迅速な業務対応や、チームワークをも向上させることができるようになっています。

「福岡県よろず支援拠点」と連携して起業家支援

kateteでは、企業や行政と個人の仕事を繋ぐマッチングだけでなく、「起業家を目指す方」や「起業しているが悩みがある方」のために、「福岡県よろず支援拠点」とも連携して、無料の経営・創業相談も行っています。また、kateteに行くことによって、ほかの起業家との出会いの場になったり、コラボレーションの場となったり、この場所に行けば相談に乗ってもらえるという安心感は、モチベーション維持においても大切な場であります。

特に個人事業主や、一人で始める起業は、営業や事務作業に時間を取られてしまったり、本来の事業において壁に当たったりしたときに孤独になりがちです。しかし、業種は違っても同じような立場で頑張る起業家や、一歩先を行く起業家からのアドバイスをいただくことで事態を好転させることができますし、事務作業などはkateteの内部でお仕事依頼をすることもできるのです。

このようにkateteの中で、仕事を受発注できることは、テレワーカーとして登録している方にもまた良い循環として繋がっていきます。

「katete」の存在が商店街を活性化

一般的にはオフィスビルなどの一角に設けられることが多いコワーキングスペースですが、ここでは敢えて商店街にすることで、今までは足をあまり運ぶことのなかった方々が往来するようになり、いわゆるシャッター街と言われた通りに活気が生まれるという副産物までもたらしました。

各地の商店街では、「物を販売することで、どうしたら集客できるのだろうか」と日々新しいアイデアを練っていると思いますが、今回ご紹介したkateteのように、「コワーキングスペース」を商店街の中に敢えて作るということが、結果として活性化に繋がりました。

商店街での催しイベントがあれば、kateteに登録しているワーカーも積極的に参加しますし、ワーカーの方は、お仕事帰りに商店街で買い物をします。一見異業種と思われる場所も、実は相互に良い関係を築いています。

テレワーカーとして登録している層は10代?70代の方々。若者から年配の方までも集うkateteは、商店街とはあまり関わりのなかった異年齢の方々も交わり地域を活性化する良い一例で、各地の行政も視察に訪れています。

(※1)出典:おしごとテラスkatete
http://katete.co

(※2)出典:総務省平成28年度予算「ふるさとテレワーク推進事業」に係る採択候補先の決定
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000143.html

Glocal Mission Jobsこの記事に関連する地方求人

同じカテゴリーの記事

同じエリアの記事

気になるエリアの記事を検索