公認会計士が徳島へのIターンに挑戦!初めての徳島ライフはうれしい驚きの連続だった(後編)
株式会社ときわ 矢野 琢磨さん
GLOCAL MISSION Times 編集部
2020/02/20 (木) - 08:00

徳島県に本社を置く「株式会社ときわ」で、戦略担当取締役として活躍している矢野琢磨さん。もともとの出身は埼玉県で、公認会計士として首都圏でバリバリ働いていた経歴も持っている。そんな矢野さんに、徳島を新天地に選んだ理由や、会計士から見た企業選びのポイントなどをインタビュー。徳島の暮らしやすさだけでなく、地方企業の意外な先進性や、地方での新たな働き方の可能性についても語ってくれた。

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公認会計士が徳島へのIターンに挑戦!初めての徳島ライフはうれしい驚きの連続だった(前編)

女性が大活躍。仕事と家庭の両立が当たり前の環境

また、ときわでは、女性の活躍もめざましい。経営トップ自ら「地域の女性の力を活かせずしてときわの未来はない」と公言しているほどで、事業所内保育所も開設。厚生労働省から「子育てサポート企業」(くるみんマーク)のお墨付きも受けている。

「これもびっくりしたんですけれど、徳島の女性はすごく活発なんです。外に出て働くという方が多くて。うちもママさん社員がすごく多いんですよ。女性社員の半分くらいかな。その力にすごく支えられているんです。都市圏は専業主婦の方も多いですし、お子さんができたらいったん会社をやめて、子育てに専念する方が多いと思うんですけれど、徳島はちょっと違う。まわりの環境がそうさせているからかもしれませんが、祖父母などに預けて自分は働き続ける方が多いんです。経済団体のトップも女性が半数を占めていますからね。たぶん全国で徳島だけじゃないかな」

本来であれば、結婚・出産は人生の素晴らしいステージ。だが企業に属しているとネックになってしまう場合も多いのが現状だ。しかしこの会社では、決してそうではないことを実感したできごとが矢野さんにはあった。

それは、学生向けの会社説明会でのこと。子どもを持ちながらプランナーという特に忙しい職種についている女性社員に対し、学生がこう質問した。
「本当に、お子さんがいても、仕事と両立できるんですか?」
するとその女性社員はこう即答したという。
「私には、仕事がオフ。家庭がオンなんです」
その意外な答えに、矢野さんは感動したという。
「オンオフの考え方が逆なんですね。家庭の方が忙しいからそちらの方がオンで、仕事は楽しんでできるからオフです、と。そういう考え方もできるんだなぁと思って。ずっと子育てだけをしているとちょっと疲れてしまう。だから仕事がいい意味で息抜きになっているんですね。私はそれにすごく感銘を受けて、こりゃすごいなと。会社のバックアップがあれば、女性もこんなふうに仕事ができるんですよね」

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お遍路、無人島、美術館…。休日は徳島を満喫

矢野さん自身は、徳島に来て、オフの楽しみも大幅に増えたようだ。

「徳島の会社はほとんどが定時。だからみんな、アフター5を楽しんでいるようですよ。食べ物もおいしいんです。ほとんどの食材が徳島産ですしね。国産の食材が食べたいなら、地方のほうが絶対いいですよ」

首都圏では駐車場が高くて車を持てなかったが、徳島に来て初めてマイカーを持つこともできた。
「徳島は渋滞もないので、車でどこでもスイスイと移動できます。関西も近いんですよ。淡路島の高速道路はびっくりするくらい空いているので(笑)、兵庫、大阪へも渋滞なしで2~3時間でアクセスできます。ちなみに東京へは飛行機で1時間です」

矢野さんの趣味は、旅行。休日を利用して、四国八十八か所のお寺を巡礼する「お遍路」にも挑戦している。四国各地の観光も楽しみながら巡っており、現在はなんと「お遍路4周目」だとか。

「牟岐大島(むぎおおしま)という無人島も見つけましてね。会社のメンバーと遊びに行っています。徳島は、自然で遊びたい人には絶好の環境。海、山、川すべて30分でアクセスできますからね」

また四国周辺には魅力的な美術館も多く、夫婦で美術館巡りも楽しんでいるという。

家族との時間の密度も濃くなった。その要因は、通勤時間の違い。首都圏で働いていたころは、通勤時間に片道だけで1時間半かかっていたが、それがほぼなくなった。
「おかげで夜は家族一緒に食事ができますし、子どもといる時間が増えました。あと、実はお昼ご飯も家に帰って食べているんです。妻は嫌がっているかもしれないんですけどね(笑)」
照れ臭そうにそう話す笑顔が、今の幸せな暮らしぶりを表している。

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オフの時間も豊かになり、家族とともに趣味の旅行を満喫しているそう

副業OKで広がる、地方の可能性

そこで気になるのは、経済面の変化だ。転職後の年収や生活コストについても率直に聞いてみた。
「年収は正直、前職と比べると下がっています。でも、通勤時間を含めて、仕事に費やしている時間給でいくと同等かそれ以上の効果は得られていると思いますね。生活コストは安くなりました。特に家賃は半分くらいになったと思います。
それに、これはうちに限ってかもしれないんですけれども、去年から副業が認められていて、私は別の会社でも働いているんですよ。そういう意味では、足りない分はこちらで補うとか、っていうこともできるんですよね」

実際に、ときわでは130人の従業員のうち、5名が会社に副業を申請しているという。では、矢野さんはどんな副業をしているのだろう?

「徳島大学発のベンチャー企業『セツロテック』にCFOで入っています。遺伝子系のゲノム編集をしている会社で、私はそちらでは完全に会計士の仕事をしています。ときわのほうでも、徳島の企業が元気になるならどうぞ手伝ってください、と応援して下さっているんです」

副業は今後、「働く場所」の選択の幅を広げていくための重要なポイントになりえると矢野さんは話す。

「個人的な感触なんですけれど、地方の企業が、都会の大手で働いている人を欲しいとなった時に、たぶん報酬のところでミスマッチが出ちゃうと思うんです。だけど副業で半分の年収が捻出できるとなったら、マッチングすると思うんですよ。地方企業にしても、週5のその人の能力が必要なわけじゃなくて、週2ぐらいの能力が必要ということもあるはず。ですからもっと副業やデュアルワークができるようになったら、面白くなるんじゃないかと思うんですよね」

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>これまでは、「地方に転職すると収入が下がる」というのが定説だったが、副業ができるようになると、状況が変わるかもしれない。

「ええ、首都圏にとどまっているより、むしろ収入がアップするかもしれません。だから、1つの会社だけ、というのはもう古いのかも。2〜3個仕事を掛け持ちして、必要なところで力を発揮し、必要なぶんを稼ぐ、というような働き方もいいんじゃないかと思うんですよ」

地方のほうが人手不足。仕事はあふれている

地方には、そんな働き方を可能にする「ニーズ」も豊富にあると矢野さんは実感している。

「地方では、50代でも若手なんです。だから優秀なら、ヘッドハントの話がたくさんくる。私も、別の会社からもCFOをやって欲しいというオーダーを受けています。地方は専門家が少ないので、仕事があふれているんです。また地方には大企業が少なく、ほとんどが中小企業なので、1人で何役もこなすことができます。人事、総務、法務、チャレンジできる場はたくさんあります」

新しいことをやりたいときにも、実は地方のほうが早いと矢野さんはいう。
「地方はコミュニティの大きさが適度なので、友達の友達でつながり、専門家がすぐ見つかるんですよ。だから何か立ち上げたいときには、早いんです」

最後に、地方に転職を考えている方にアドバイスをお願いした。

「地方に住んでみたいな、もっとゆったりできたらいいなという気持ちがある人は、たくさんいるんじゃないかと思うんです。でも、そこに仕事があるの?という点が大きな不安なんだと思う。でも地方には仕事がいっぱいあると思います。日本全国で人手不足と言われているんだけれども、地方の方が深刻なのでね。移住をして、仕事がないっていう状況はないと思う。いろんなところから声がかけられますしね」

でもそれは、会計士の資格をお持ちの矢野さんだからなのでは?

「それは違うと思います。声がかかるのは、私が会計士だからではなくて、首都圏での経験全般を買われてのことなんです。だからもし、仕事があるのかどうか?というところで悩んでいるのだったら、まず心配はないと思いますね」

また、首都圏とのギャップが心配な方には、まずは県庁所在地にお試しで住んでみることがおすすめだとか。

「例えば徳島市には転勤族も多いんですよ。そういう意味では外部からの受け入れ態勢もできているので、溶け込みやすいんです。で、その県のことがわかってから、山奥とか海辺へ引っ越して、田舎暮らしを楽しむのもいいと思う。自分に合うかどうかは、1泊2日の旅行くらいじゃわからないんです。だからぱっと決めるんじゃなくて、ちょっと時間をかけて自分でその地域を歩いてみると、風土が見えてくると思います」

じっくり見極める。それは、転職先選びでも言えることのようだ。

「会社を選ぶ際は、経営者とよく話をしてみることが大事だと思います。先ほども言いましたが、地方の中小企業だと、経営者の考え方がそのまま会社の考えになっている場合が多いですから。会社も、地域も、じっくり目を凝らしていくと、自分にあうかどうかがわかってきますよ」

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