2020年1月に内閣官房が行った調査によれば、東京圏に住む人の約5割が地方移住に関心をもち、若い人ほどその関心が強まるという結果がでています。若者たちが地方移住を選択する理由とは、どのようなものなのでしょうか。そこでこの記事では、アンケート調査の結果をもとに、地方移住を選ぶ理由やきっかけについて見ていきましょう。
地方移住に関心があるのは約5割
アンケート調査は2020年1月30日～2月3日に、東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県の「東京圏」に住む、20歳～59歳までの1万人を対象として行われました。地方移住に「関心がある」「やや関心がある」「関心があるとまではいかないが、気になっている」の「意向がある」と答えた人の割合は、下のグラフのようになっています。
【地方移住の意向についての結果】
出典：内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局「東京圏在住者の約半数が、地方圏での暮らしに関心あり」
上のグラフを見ると、全体の約5割が地方移住にたいして意向があると答えています。回答者を地方圏（東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県以外の道府県）に限れば、6割以上が「意向がある」と答えていますが、東京圏出身者も「意向がある」と答えた人は45.9%に上っています。
地方移住への関心は、今やUターンやJターンに限らず、東京圏に住む人の全体的な傾向だといえるでしょう。
若いほど地方移住の意向が強い
下のグラフは、アンケート調査の結果を、地方移住を「計画している」「検討している」「関心がある」「意向がない」「以前は興味があったが断念した」の5つに分け、それぞれの平均年齢を示したものです。
【地方移住の意向と平均年齢】
出典：内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局「東京圏在住者の約半数が、地方圏での暮らしに関心あり」
このグラフを見ると、「計画している」と答えた人の平均年齢がいちばん低く、また「意向がない」と答えた人の平均年齢がいちばん高くなっています。この結果より、若い人ほど地方移住に意向が強いことがうかがえます。
地方移住を検討する理由
それでは、地方移住を検討する理由はどのようなものなのでしょうか。
地方移住に「関心がある」「やや関心がある」「関心とまではいかないが、気になっている」と答えた人に、その理由を尋ねた質問では、地方移住を検討する理由は「豊かな自然環境があるため」が突出して高い結果となっています。結果を出身場所別に見てみると、地方圏出身者は「生まれ育った地域で暮らしたいため」が約4割で第2位となっています。
それに対して東京圏出身者は、「東京での生活が自分に合っていないと感じたため」が約1割で第2位です。
それ以外にも、「子育てする環境が整っていると感じたため」「自身や配偶者・パートナーの転勤のため」「地方圏のほうが収入と支出のバランスが良いため」などは、地方圏・東京圏とも割合が高くなっています。
たしかに、コンクリートで固められ、自然が少ない東京では、日々の暮らしを送るにも、子育てをするにも息苦しさを感じることでしょう。また、特に家の取得費や家賃については、東京より地方のほうが安いです。これら「環境面・経済面での生活のしやすさ」が、若者たちが地方移住を考える大きな理由といえそうです。
地方移住を考え始めたきっかけ
最後に、地方移住を考え始めたきっかけについて見てみましょう。
「地方移住の意向がある」と答えた人に対し、そのきっかけを尋ねた質問の全体での第1位は「将来のライフプランを考えたことがきっかけ」で約3割、第2位は「現在の生活や仕事に疲れを感じたことがきっかけ」で約2割です。
この先の自分や家族の人生を考えたとき、「東京でこのまま暮らしていて良いのか」と疑問を感じるようになるということなのでしょう。
まとめ
東京圏に住む人の約5割が「意向がある」とし、若い世代ほど意向が強まる地方移住。
若者たちが地方移住を選ぶ理由は、この先の人生を考えたとき、自然環境が豊かで経済的にも暮らしやすい地方で、生活や子育てをしていきたい、というものであることがうかがえます。
近年では国や自治体も積極的に支援するようになっている地方移住を、生活の自由がききやすい若いうちに、検討してみてはいかがでしょうか。
【参考URL】
内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局「東京圏在住者の約半数が、地方圏での暮らしに関心あり」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/pdf/ijuu_chousa_houkokusho_0515.pdf
