Uターンから始まった企業再生。機械設備メーカーが臨む、ふるさとの未来と地域再生(後編)
GLOCAL MISSION Times 編集部
2022/05/12 (木) - 18:00

宮崎県日向市にUターンし、「株式会社 MFE HIMUKA(2019年日向中島鉄工所から社名変更)」の再生に奔走してきた代表取締役社長の島原俊英さんは、利益の追求だけでなく、地域の活性化にも力を注いでいます。一度、故郷を離れたからこそ感じる地方の素晴らしさと、世界を見透けた構想について、お話をうかがいました。

どんな要望にも応えるが信条。一気通貫のオーダーメイドを手掛ける

「日向中島鉄工所は、もともと、近くにある製糖会社の建設当時に、父が現場責任者として常駐したのが始まりです。それをきっかけに地域の工場のメンテナンスを始めました。昔は食事をしていても、お客さんから「工場が止まりそう」と電話がかかってきたら飛んで行くようなことをやっていました。どんな要望も断らずに応えてきたことで、あそこは良く動いてくれると口コミで評判が広がり、だんだん取引が増えていったのです。

メーカーさんから、「これぐらいの機械なら作れるんじゃない?」と言われたことで、機械の製作もするように。お客様がやりたいことをヒアリングし、話し合いをしながら図面に落としていく、最初から最後まで一気通貫のオーダーメイド。

「その機械を誰が、どのように使うのか、どのようにして搬入するのか、どう据え付けたら使いやすかなど、いろいろなことを考えながら、完成した姿を思い描き、修正を重ねていきます。そこが難しいところだし、面白いところでもあるんです。」

MFE HIMUKAのすばらしさはお客様を大切にするところにあります。「30年ぐらいのお付き合いのあるお客様もいらっしゃいます。大事なお客さまを何社も持っていられることが、我が社の強み。長くお付き合いしているからこそ、お互い工夫・改善をしていって、他社では実現できないことも、達成できているのだと自負しています。」

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離れていたからこそわかる、地方の可能性

日向を離れていた時期があったからこそ、Uターンしたときに、宮崎のことがよく見えるようになったと、島原さんはいいます。

日向は暮らしやすく、コストをかけずによいものが手に入ります。地元の歴史や文化が身近で、そういったことに自分が関われるのも貴重な経験です。多様なネットワークを身近に作れるのも地方ならではの魅力です。

また、地方は自然ともふれあいながら、いろんな人と交流の輪を広げるチャンスがあり、多くの人と関われ、様々な体験ができることから、教育環境にも適しているといえるでしょう。

「生まれ育った宮崎をもっと元気にしたい。地域全体を豊かにしたいという想いがずっとありました。都心で働いていると、地方は仕事のスケールそのものが小さくなる先入観にとらわれがちですが、そうとは限りません。私も大企業に勤めていましたが、やっていることは一部にすぎない。地方では、自分で開拓しさえすればいくらでも仕事を作れるし、やりがいもあります。」

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訪れると願いが叶うという不思議な言い伝えで人気のスポット「クルスの海」。 

アイデアをひとつひとつ実現し、日向から世界へ

島原さんは、これから地域のなかの課題を解決し、地域の資源を活用して様々な仕事を生み出していきたいといいます。「地域で必要なものは、ほかの地域でも必要なはず。それは世界にも広がっていくかもしれません。例えば、宮崎県のエネルギー自給率はまだまだ低く、再生可能エネルギーをもっと開発していかなくてはなりませんし、作ったエネルギーを無駄にしない設備づくりも必要です。食料自給率は生産高ベースで目標を達成していますが。それを全国に届ける取り組みが不十分です。そこに新しい仕事があると思うのです。」

自分の会社だけを見るのではなく、意識はいつも世界に向けていたいと語る島原さん。地域を豊かにしていくためにできることが、たくさんあり、“宮崎ならでは”生み出せる仕事は無数にあります。「アイデアを1つ1つ丹念に実現化していくことが、我々がこれからやるべきこと。そして、得たものを糧に世界に飛び出していけたら…。」今後の世界へ向けての島原さんの取り組みと活躍が楽しみです。

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