若者の地方移住やUIJターンを応援!奨学金返還支援制度ってこんな仕組み
GLOCAL MISSION Times 編集部
2022/09/09 (金) - 12:00

多くの地方自治体では地方移住を応援するため、補助金支給や助成策などさまざまな支援を行っています。一方国も、地方創生のために奨学金返還支援制度という制度を用意、奨学金を使って学校を卒業した若者を支援しています。一般的にあまり聞くことのない奨学金返還支援制度とは、どのような制度なのでしょうか?今回はその概要から制度を採用している自治体、メリットなどを解説していきます。

奨学金返還支援制度とは

奨学金返還支援制度とは、企業や自治体が本人に代わって奨学金を返還する制度です。企業や地方自治体によって利用できる条件に違いがありますが、企業の場合は一定期間の就業、地方自治体の場合は一定期間の定住や地元企業への就職などが条件となることが多くなっています。また返還される金額は上限のある場合もあるので、最終的に奨学金がいくら返還されるかはよく確認する必要があります。

ただし、本来は全額自分で返さねばならない奨学金の一部でも肩代わりしてもらえることは、若者にとって大きなメリットです。企業や地方自治体にとっても、優秀な人材の確保や地方活性化のメリットがあります。本コラムでは、地方自治体が支援する奨学金返還支援制度を中心に解説していきます。

奨学金返還支援制度を採用している地方公共団体(抜粋)

各地方自治体では、「若者地元定着奨学金返済補助事業」や「産業人材奨学金返還支援制度」などという名称で奨学金返還支援制度を用意しています。各自治体によって名称も内容も少しずつ違いますが、いくつか内容見てみましょう。

  • 北海道【旭川市】旭川市若者地元定着奨学金返済補助事業
    旭川市内に定住している期間内に、日本学生支援機構第一種・第二種奨学金の返還金として返済した金額の2分の1以内(上限あり)を補助。補助の対象期間は3年間を限度とし、年度ごとに補助金が交付されます。

  • 宮城県【仙台市】仙台市奨学金返還支援事業
    仙台市が半分、市内の中小企業が半分、奨学金の返還を支援する仕組みです。先着140名(2023年の新卒向け)が仙台市内で就職した場合、年間上限 18万円、支援期間は3 年間(計 54万円)で奨学金の返還補助が受けられます。

  • 東京都 介護職員奨学金返済・育成支援事業
    意外に思われるかもしれませんが、東京都も特定の職業に対して奨学金の返済支援を行っています。東京都の場合地方移住とはなりませんが、参考のために紹介しておきましょう。本事業は、都内の介護保険事業所等に常勤介護職員として就職した場合に、奨学金の返済金相当額を都が事業者に対して補助する事業です。金額は年間上限 60万円(5万円/月)までとなっています。

  • 福井県 福井県U・Iターン奨学金返還支援事業
    本事業は、U・Iターン就職する大学生等の奨学金返還を応援する事業です。5年間で最大100万円が支援され、支援の時期は、就職して1年半後(20万円)、3年半後(40万円)、5年半後(40万円)となっています。
  • 鳥取県 鳥取県未来人材育成奨学金助成金
    本制度は、応募を審査・認定後、県内の対象業種に正規雇用された人に奨学金の返還を助成する制度です。2023年度の認定予定者は180名で、有利子の奨学金と無利子の奨学金では返済上限に違いがあります。
  • 鹿児島県 薩摩川内市奨学金返還支援補助金
    本制度は平成28年度(2016年)以降に薩摩川内市内に就職した人が対象となります。前年度までに返還した奨学金額の2分の1(上限20万円)を、返還が完了するまで、または補助金総額が200万円に到達するまで補助を受けることができます。

このような制度を用意している地方自治体は、2021年6月現在で33都道府県、487市町村となっています。

奨学金返還支援制度のメリット

このような制度や事業を整備することは、卒業生と地方、卒業生を受け入れる企業それぞれにメリットがあります。

●卒業生のメリット

奨学金返還負担の低減
本制度を利用する卒業生の一番のメリットは、奨学金返還の負担が減ることです。本制度をすべての人が利用できるわけではありませんが(地方によって人数が限られている場合や、定住の条件が定められていることがある)、奨学金の一部または全部が自治体、もしくは就職先の企業から支払われることになります。

●地方のメリット

地域活性化
企業の活性化は地域の活性化につながります。また地域の人口が増えることにより、商店や病院、公共施設の稼働率も上がります。

税収の増加
地域の人口が増えれば、税収の増加につながります。市の財政が潤うと、地域住民に対してさまざまな行政サービスを行えます。

●企業のメリット

奨学金返還支援制度は、卒業生を受け入れる企業にもメリットがあります。

優秀な人材の確保
人材不足が問題となっている昨今において、本制度で優秀な人材を確保することができます。新人を確保することがとても難しい地域の企業にとって、人材確保の効果はとても大きいと言えます。

離職率の低減
奨学金の返還は数年かけて行われます。返還期間内はもちろん、返還後も企業に残って貰うことも期待できるので、本制度は離職率の低減につながります。

まとめ

社会に出た途端に数百万の返済義務を負う奨学金は、利用者(卒業生)にとって経済的にも心理的にも負担が重いものです。若い働き手を求めている地方にとって奨学金返還支援制度は、利用者と地方自治体、地元企業にもメリットのある、まさに「三方良し」の制度だと言えるでしょう。


<参考>
「奨学金の返還を肩代わりして、地方の未来を担う若者を応援する」制度(奨学金返還支援制度)を活用しよう
https://www.chisou.go.jp/iikamo/column/column20.html

奨学金返還支援(代理返還)制度とは? 企業のメリットや導入の流れ
https://jp.indeed.com/%E6%B1%82%E4%BA%BA%E5%BA%83%E5%91%8A/c/info/scholarship-repayment-support-system

「奨学金」を活用した大学生等の地方定着の促進
https://www.chisou.go.jp/sousei/about/shougakukin/index.html

【奨学金を代わりに返済】地方企業や自治体で進む「奨学金返還支援」とは?
https://financial-field.com/living/entry-148106

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