今人気の地方移住!これから移住するならどこがおすすめ?選び方は?
GLOCAL MISSION Times 編集部
2022/11/22 (火) - 17:30

従来より東京圏への一極集中化が問題視されていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行などに伴い、地方への移住が盛んとなりつつあります。

実際、総務省が公開する移住定住推進施策の事例集によれば、2020年7月~9月にかけて東京圏では転出超過を記録するなど、地方への人の流れが生まれてきているのです。

参考:総務省 「地方への人の流れの創出」に向けた効果的移住定住推進施策事例集(P.4)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000742996.pdf

こうした現代日本の状況を受け、一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室( https://jutakuloan-sodanshitsu.or.jp/ )では、地方移住の実態や魅力を探るためのアンケートを実施しました。

本アンケートは、20代~60代までの女性101名・男性99名の合計200名を対象とし、移住の理由や動機、人気の移住先、移住を決めたポイントや移住費用など、地方移住の参考となる情報について回答を得たものです。

これから地方へ移住しようかと検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。


1.地方移住した理由・動機は?

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地方移住を選んだ理由・動機については、当初想定された「コロナの影響」という回答は少なくなっており(6%)、「転職・転勤など仕事の変化」が過半数を占めました(50.5%)。
これは感染症の発覚・拡大から約2年を経た現在、人の少ない地方への避難という消極的な面からの動機が薄れたためと考えられます。 

続いて多かったのが「子育て・育児環境」です(13.5%)。地方では保育園の待機児童問題が都市部に比べて少なく、また子育て支援も充実しています。

参考:厚生労働省 22/4/1 全国待機児童マップ (都道府県別)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000nvsj-img/2r9852000000nvzg.pdf

参考:一般社団法人 移住・交流推進機構 【2022年度自治体支援制度特集】子育て
https://www.iju-join.jp/feature_exp/9747_02.html

その次に来るのは「リモートワークなど働き方の変化」(12.5%)です。遠距離でも支障のない職種・業務においては、ビデオ会議やメールでの文書のやり取りといった働き方の変化が、地方移住の動機として大きな位置を占めるものといえるでしょう。 

さらには、あまり多くないながらも「経済的な理由」を挙げた回答もありました(7%)。地方は不動産価格や住居費、税金などが比較的安く、地域によっては新鮮な食材も手に入りやすくなります。移住者への助成を実施している自治体もあり、収入が変わらなくとも暮らしの質が向上するケースは少なくありません。

 また、「老後生活」との回答(1%)については、生まれ育った地元で暮らしたい、空気や水の美味しい地方で余生を過ごしたいなどの理由が挙げられるでしょう。

その他の理由としては、祖父母の介護、妊活、遠距離恋愛をしているパートナーとの結婚、あるいは切実なものとして、杉・檜といったアレルゲンのない地方へ移住する必要性などが挙げられます。中には、移住の明確な目的を定めず、好きな場所や面白い場所に住みたいといった回答も見られました。


2.移住先はどこを選んだ?移住先人気ランキング

移住先として多くの人から選ばれている自治体は、それなりの魅力や利点があるものと考えられます。
そこで、地方への移住先として東京都・大阪府を除く都道府県からどこが選ばれているのか、アンケート調査を行ないました。

●1位:千葉県

もっとも多かった回答が千葉県です(9.5%)。千葉は東京に隣接しており、都心までのアクセスの良さが大きな魅力といえるでしょう。人口は東京の約半分で、海や山といった自然も豊かです。住宅・就業支援のほか、空き家情報の提供や移住支援金の制度があるなど、各種の移住支援が用意されています。このように都会と地方のメリットの両取りを狙えるため、千葉県が人気ランキングの1位となりました。 

●2位:福岡県

次に多かったのは福岡県です(8.5%)。福岡は九州と本州が結ばれる位置にあり、博多から地下鉄で福岡空港に繋がっているため、東京や中国・韓国へのアクセスという点でも利便性があります。福岡市と北九州市はビジネスのしやすい環境を目指す「国家戦略特区」にも指定されており、雇用改革拠点としてスタートアップ法人の減税措置なども提示されています。移住支援に関しては、それぞれの自治体に移住コンシェルジュを設置していたり、移住支援金制度があったりと、充実したサポートが受けられるでしょう。

●3位:長野県

3番目に人気となったのが長野県です(6.5%)。本州のほぼ中央に位置する長野は、新幹線で2時間もかからずに東京と行き来できるなどアクセスも良好。豊かな自然や温泉、レジャー施設もあり、空気の良さから精密機械産業なども盛んです。家賃などの住居費の相場は4万円台と、東京の半分ほど。家を購入する場合も安くあげられます。移住支援としては、移住支援金のほか、事業を起こす場合には創業支援金なども用意されており、狙い目といえるでしょう。 

ほかにも、移住先としては北海道や広島県、静岡県などが人気ランキングの上位となりました。いずれも観光資源や産業に恵まれ、移住支援が手厚い地域です。

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3.移住先を選ぶ際に重視したものは?

地方への移住といっても、地方ならどこでもいいわけではありません。移住先を選ぶ際に重視されているポイントを知ることで、自分なりの判断基準を打ち立てる参考となります。

アンケートは複数選択可としており、結果は以下の通りでした。 

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移住先選びのポイントとしてもっとも多く挙げられたのが、自然環境です。複数選択の形式で回答を得ているため、必ずしも最重要ポイントとは限りませんが、少なくとも移住先を選ぶ上で自然環境を考慮に入れる方は多いといえるでしょう。実際、移住先として人気の高い都道府県は、いずれも自然の豊かさを誇る地域です。

完全にリタイアしてから地方移住するのでなければ、収入や仕事の有無も重要でしょう。地域によっては積極的に産業を誘致していたり、国の戦略特区に指定されていたりと、働き口を見つけやすいところもあります。特に転職を機に地方への移住を考えている方は、その地域に経済的な活気があるかどうかを選択基準とするのがおすすめです。

利便性があり設備の充実している都心部には、しかし土地代や住居費が高くつくという難点もあります。地方の大きなメリットとして、土地や住宅の安さが挙げられます。たとえば借家に住む場合、家賃の差だけで月あたり4万~5万円ほどの違いが生じるのです(東京都と鹿児島県での比較)。


参考:総務省統計局 平成30年「住宅・土地統計調査」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200522&tstat=000001127155&cycle=0&tclass1=000001140366&stat_infid=000031959658&tclass2val=0 

インフラ・利便性も回答数が多く出たポイントです。交通インフラとしては、新幹線やバス、飛行機などで都心部や中心街へ容易に行けるか、生活インフラとしては、スーパーやレストラン、銀行などの店・施設が揃っているかが重要でしょう。交通・生活インフラの整った地域は利便性が高く、地方に居住するデメリットもさほど感じられません。また、子供がいる家庭では、学校や塾などの教育インフラも重視されているようです。

その他、娯楽や移住金額、医療関連、災害に対する安全性などが移住先を選ぶ際の判断要素として挙がっています。いずれも確認しておくとよいでしょう。


4.地方移住するのにかかった費用は?

特に転職や早期リタイアなどで地方移住する場合、移住にかかる金銭的コストも無視できません。経済的な余裕を求めて地方へ行くのに、多額の移住費用で生活が困窮してしまっては元も子もないからです。
移住費用の相場を、アンケート結果から確認していきましょう。 

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100万円以下が71.5%を占めており、300万円以下は18.5%、600万円以上は合わせて10%と少なくなっています。これらの移住費用の内訳として挙げられるのは、引越し費用のほか、住居費(住宅購入費・家賃および敷金)や車の購入費用などです。 

移住費用を左右する要素には3つあります。
①誰が行くか②どこへ行くか③いつ行くか、です。順に見ていきましょう。 


①誰が行くか

これは家族構成・人数の話です。単身者と夫婦世帯、子持ち世帯、同居世帯では、それぞれ人数も運ぶ荷物の数なども異なります。

単身者の場合、移住費用は20~60万円ほど、夫婦世帯の場合は60~90万円ほどを見込んでおくのが確実です。子持ち・同居世帯(3人家族)では80~120万円を見込まなければなりません。これは家賃が高めになることが想定されるためです。


②どこへ行くか

具体的にどこの自治体へ移住するかという話です。まず、移動距離の問題があります。たとえば東京都から千葉県へ移住するのと、沖縄県から北海道へ移住するのとでは、引越し費用も異なるでしょう。

次に、移住支援制度の問題があります。自治体によっては100万円前後の移住支援金の支給や、低価格での空き家の提供といった支援を行なっているところもあり、そうした制度を活用できるかどうかで最終的な移住費用にも大きな差が出てくるのです。


③いつ行くか

引越しには繁忙期と閑散期があり、3月~4月は料金が高くなりがちです。逆に1月・10月・12月は安くなるため、費用面からは移住に適した時期といえるでしょう。

また、移住支援制度については、期限が設けられている場合もあります。移住支援金などの受給を考えるのであれば、あらかじめ自治体のウェブサイトなどで適用となる時期を確認しておくのが確実です。 


5.資金はどうやって準備・捻出した?

移住自体の費用はそこまでかからなくとも、当面の生活費や入り用なものを揃えると、どうしても一定の出費は覚悟する必要があります。そうしたものも含めた移住の資金をどのように用意したのか、アンケート結果(複数選択可)から見ていきましょう。

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 もっとも多かったのが「貯金」で、その次が「家族・親族の支援」となっています。地方移住にあたってはあらかじめ資金面も含めて準備し、あるいは支援を受けるケースが少なくありません。 

また、ローンを組む、自治体の補助金を活用するといった方法で、手持ちの資金が多くない場合でも移住は可能です。 

あるいは、現金以外で土地建物を持っているのであれば、それらの不動産を売却することで移住資金を確保できます。現在の住居を処分して地方へ行きたいと考えている方は、不動産売却を検討するのも手でしょう。 

不動産の売却方法には、任意売却や親族間売買などが挙げられます。

任意売却とは、住宅ローンの残っている不動産を、債務者(基本的には住人)が主体となって売却する方法です。これと対比されるものに、裁判所が主体となって強制的に競りにかける「競売」があります。任意売却は明渡しの時期などを自分で決めやすいため、移住のタイミングに合わせて処分することが可能です。

他方、親族間売買とは、親族の間で不動産を売り買いすることです。親子であれば親子間売買ともいいます。赤の他人との取引と比べ、互いの信頼関係が構築されている、仲介手数料を抑えられる、贈与税の節税になる場合がある、といったメリットがあります。


参考:一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室 解決事例一覧
https://jutakuloan-sodanshitsu.or.jp/case/

 さまざまな方法を上手く活用し、移住への準備をスムーズに進めるとよいでしょう。


6.地方移住に失敗・後悔したことは?

多くのメリットがある地方移住ですが、実際に移住してみて初めてわかる問題もないわけではありません。ここではアンケート結果(複数選択可)から、地方移住に関する失敗や後悔の内容を紹介します。 

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最多の回答は「なし」となっており、地方移住の満足度の高さを示しています。 

これに対し、失敗や後悔の内容を見てみると、たとえば「公共交通機関の少なさ」「仕事の選択肢・収入減」「住居・家選び」「気候」「医療機関の少なさ」といった事柄については、事前のリサーチで、ある程度の対処が可能です。 

他方で「人間関係」や「日常の刺激」「生活費の変化」は、実際に居住してみないと見えてこないところもあり、対処の難しい事柄といえるでしょう。


7.移住に失敗・後悔しないために

地方移住に際して失敗や後悔をしないための方法は、2つに大別されます

第1に、移住先のインフラや物価、公共交通機関といった事前リサーチが可能な事柄については、あらかじめ調べておくことです。上掲のアンケート結果を参考に、具体的に何を調べておけばいいのかを把握するとよいでしょう。

第2に、下調べが困難な事柄については「お試し移住」や「二段階移住」の制度を利用し、実際に住んで試してみることです。お試し移住とは、その地域に移住するかどうかを迷っている人へ向けて、自治体が用意した住宅に滞在できる制度を指します。
また、二段階移住とは、同じく移住を迷う人に向けて、移住を二段階に分けて行なえる制度です。すなわち、一段階目で自治体内の都市部に滞在し、二段階目でスタッフのサポートを受けながら自治体内の各地域で移住できそうな場所を探す、というプロセスを経ます。
これらのお試し移住制度は、全ての自治体が用意しているものではないため、移住先を検討するにあたって確認しておくことをおすすめします。


8.まとめ

自分自身を取り巻く環境に変化を求めるなら、地方移住は非常に魅力的な選択肢です。新しい土地、新しい職場、新しい人間関係。これらが刺激となり、今までとは異なる人生の展望が開けることも少なくありません。

地方からリモートワークするも良し、早期リタイアしてスローライフを楽しむも良し。しっかりとした下調べと準備を行ない、快適な地方暮らしを満喫してみてはいかがでしょうか?




■アンケート調査の概要
調査概要:地方移住先について
調査期間:2022年10月27日~2022年11月10日
調査人数:200名
調査対象:地方移住者の20~60代の男女
調査方法:インターネット調査

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