３市町連携して地域をブランド化し移住・定住を促進
2023/03/30 (木) - 00:00
石川県能登地域の移住・定住人口増加の推進を目的に設立された能登地域移住交流協議会（羽咋市、中能登町、七尾市）。事業の特徴や設立の経緯、今後の取り組みなどについて、羽咋市地域振興室 見附敦史さんにお話を伺いました。
当協議会は、七尾市、中能登町、羽咋市の３市町で構成され、令和3年度から活動をスタートしました。
「能登地域移住交流協議会」について教えてください。
以前は、各自治体が単独で、移住フェアやセミナーに参加しPRをしていたのですが、移住ブームが落ち着いたこともあって、効果が薄くなり、成果に結びつかない状況でした。そこで、試験的に七尾市と共同で情報発信し、独自イベントを開催したところ、能登に興味のある人がピンポイントで来てくださり、手ごたえを感じました。
自治体が連携することで、能登地域のブランド力が得られます。近隣自治体同士で移住者を奪い合うのではなく、地域一丸で人を呼び込み、新しい生活や仕事の場を提供することで、能登地域全体の人口減少を食い止められるのではとないかと考えました。
３市町のPR強化月間の様子（1枚目：ぶりの解体ショー、2枚目：セミナー）
具体的にどのような取り組みをされていますか。
移住フェア・セミナーに共同で参加したり、イベントを開催したりしています。情報発信強化のため、能登地域のホームページ「のと住。」や公式LINEも開設しました。
また、移住希望者のアテンドやブログでの情報発信をサポートしてくれる「移住プランナー」を各自治体から２名ずつ選出し、１年間の育成期間を終えて、今年から実践のフェーズに入っています。実際に移住希望者をアテンドしていただき、成果報酬制度に基づき、実績にもつながっています。現在、プランナーは５名ですが、来年度はプランナーのフォローや次期プランナーを目指す応援隊も創設する予定です。
ワーケーションをはじめとする関係人口創出にも力を入れており、能登地域でプチ移住体験や企業向けのモニターツアー、副業人材のマッチングなどを行っています。
その他、新しい取り組みはありますか？
「保育園留学」という新しいスタイルのワーケーションを準備しています。お子様に大自然で過ごす経験をさせたい首都圏の方に来ていただき、お子様は既存の施設で田舎ならではの遊びを体験、お父様、お母様はテレワーク。土日は、移住プランナーと一緒に、体験プログラムを経験していただくことも検討しています。うまく仕組みをつくることができれば、地域経済への波及や賑わい創出にもつながると思います。
３市町でモデル保育園の選定も終わり、令和５年度の目玉として準備を進めているところです。
能登地域の魅力やおすすめスポットを教えてください。
羽咋市では日本で唯一砂浜を車で走行できる「千里浜なぎさドライブウェイ」、七尾市では、青柏祭やイルカウォッチングが楽しめます。中能登町は山の幸、七尾市は海鮮がおいしいですね。能登地域には観光資源が豊富ですから、それらの魅力を一本化して伝えるようにしています。
七尾市の青柏祭
今、どのような課題をお持ちでしょうか。
移住希望者には空き家で第二の人生をスタートしたい方が多いのですが、紹介できる空き家が少ない現状があります。空き家はたくさんあるのに手放さない人が多く、手放したとしてもすぐに住めないほど傷んでいます。良質な空き家を開拓し、市場に出す流れをつくる必要がありますね。
今後の街づくりへの想いについてお聞かせください。
自治体の垣根を超えた広域連携、デジタル化、官民連携の３つが大きなポイントで、今の時代に沿った取り組みをしないといけないと思っています。民間企業の知見も借りながら、自治体の事業をブラッシュアップしていきたいと思っています。
今年度から協議会の公式LINEも開設し、現在、登録者数は1,400人くらいまで増えています。関係人口の入り口にまで来ている人たちに、能登地域のリアルな暮らしを発信できるので、能登地域に人を呼び込む有効な取り組みだと思っています。ホームページもSEO対策を実施してリニューアルしており、今年度は、情報発信とイベントを組み合わせながら効果的に関係人口を増やしていく「始動の年」となりました。
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石川県へ移住を考えている方々へのメッセージをお願いします。
移住は人生のターニングポイントです。まずは一度お越しいただき、土地の風土や環境などを目で見て、肌で感じてみてほしいと思います。そして、第二の人生を過ごす場所になるか見極めていただけたら幸いです。
