徳島県の西部に位置し、豊かな自然に囲まれた歴史情緒あふれるまち、美馬市。地域資源を活用し、美馬市の地方創生を目指す株式会社MIMAチャレンジは、2年前、副業人材を活用し、ホテル運営と集客のサポートを受けました。副業人材活用に至った経緯や成果について、現地統括を務める井上佳子さんにお話を伺いました。
まず、企業概要を教えてください。
株式会社MIMAチャレンジは平成30年に徳島県美馬市で創業しました。通称「うだつの町並み」で知られる重要伝統的建造物群保存地区にある空き家を利活用し、地方創生に取り組んでいます。
現在まで、２件の空き家の改修を終え、ホテル“PAYSAGE MORIGUCHI（ペイサージュ モリグチ）”とイタリアンレストラン ”Punta”を開業し、事業継承としてラーメン店の復活も手掛けました。飲食店に限らず、今後も空き家を利用して、地域活性化を目指したいと考えています。 
副業人材活用に至った背景について、教えてください。
2年前、ホテルの運営や集客のプロとして、副業人材にお世話になりました。私たちは宿泊業が本業ではありませんし、2020年8月終わりにホテルをオープンした頃は、コロナ禍の真っ只中。当初は、他のホテルで研修を受ける予定だったのですが、それがなくなってしまい、手探りで開業することになったのです。
副業人材については、メインバンクからの紹介で知りました。同時に徳島県で副業人材活用に補助金が出る話を聞き、「プロの方にいろいろアドバイスしていただけたら嬉しいね」ということで、この機会にお願いすることにしました。
副業人材の採用の決め手について教えてください。
書類選考を経てオンライン面接を実施し、私たちがコミットしていただきたい範囲と副業人材のスキルがうまくマッチしたため、採用させていただきました。
具体的には、半年間という期限を設けて、いわゆるOTA（インターネット上のみで取引を行う旅行会社）でのプランや、そもそもOTAに載せる意味の確認、ホームページの見せ方やさまざまな情報収集の方法などについて、アドバイスをいただきました。
東京の方だったので、やり取りはオンラインがメインでしたが、現地にも２回ほど来ていただき助かりました。机上で考えるのと、現地で感じるのとでは、やはり違いますから。また、月に１回程度、アドバイスを含めてレポートをいただきました。
副業人材を活用する前、私たちは、ネット上での旅行の予約の基本すら理解していない状態だったのですが、半年間の活動を通して、いろいろと理解が深まり、大きな一歩を踏み出すことができました。
今後、ピンポイント（短期間）で、お願いしたい課題が出てきたら、また副業人材の活用を検討できたらと思います。
副業人材活用する上で大切なポイントがあれば教えてください。
副業人材を活用したいと思ったら、自分たちが副業人材に対して、どのくらいの期間で、何をして欲しいのか明確にしておくべきだと思います。効率良く、お互いが成果を上げるためには、自分たちの要件をクリアにした上で、副業人材のスキルや、やっていただける範囲をしっかり理解しておくことが大切だと思いました。
私たちの場合、面接には、プロジェクトに最も多くかかわる宿泊担当のスタッフが同席しました。人間同士なので、やはり相性は大事です。面接では、私たちの弱い部分や何を知りたいのかを相談し、副業人材からは、「だったら、こういうやり方があります」と、課題解決のための提案をしていただきました。お互いの必要な情報が明確になっていたので、効率よく活動できたと思います。
副業人材を検討している企業へメッセージをお願いします。
「副業」と聞くと片手間なイメージがありますが、副業人材は本職をお持ちの忙しい方たちばかり。片手間にさせるのも、プロとしていい仕事をしていただくのも、こちら次第だと思っています。要望があれば積極的に伝えたほうがいいですね。プロだからと言って丸投げされれば、副業人材の方も困るでしょう。こちらが何を求めているのかを伝えなければ、応えようがないと思います。
これから、副業人材を活用したいと思ったら、まずは、自分たちの弱い部分を明確に把握するところから始めることをおすすめします。
