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キャリア総決算の地は水戸!転職と大学院で培ったノウハウを、老舗企業の改革に注ぐ(後編)
亀印製菓株式会社 マーケティング本部 本部長 吉川 康明さん
GLOCAL MISSION Times 編集部
2019/08/22 (木) - 08:00

流通業界や食品業界を中心に数々の大手企業で活躍。その後、51歳で大学院に進み、MBAを取得した異色の経歴を持つ吉川康明さん。そんな吉川さんがキャリアの総決算として選んだ仕事は、茨城県水戸市に本社を置く地場企業「亀印製菓」の再生。そして今、吉川さんが積み重ねてきた経験や人脈は着実に、江戸から続く老舗企業を生まれ変わらせようとしている。

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キャリア総決算の地は水戸!転職と大学院で培ったノウハウを、老舗企業の改革に注ぐ(前編)

上から目線ではなく、自分から入り込む

実際、現場を変えていくのは大変なことだ。当初は苦労もあった。

新設したマーケティング本部で毎週月曜に製販会議を行うよう決めたものの、なかなか定着しなかった。また会議の中で言いたいことをちゃんと言わず、後になって言ってくることも後を絶たなかった。そのたびに会議の意義を説き、チーム全員で情報を共有する大切さを辛抱強く説いた。

製造と販売の風通しをよくするために、オフィスのレイアウトも工夫した。吉川さんのデスクの側に、製造の工場長、隣に営業部長という配置にしたのだ。と同時に吉川さんは、必ず自分から話に行くように心がけている。

「普通は上司はどうしても待ち姿勢になります。『ちょっとちょっと』と部下を呼びますが、そういうことをしないんです。逆に私の方から行くようにします。そうすると相手も逃げられなくなりますので…(笑)」

部下からすれば、ありがたいような、ちょっと面倒くさい上司。しかしこうした「自分から行く」姿勢こそが、人間関係を築いていくうえでも大いに役立っている。

「地方に転職する際は、そこの人間関係や文化になじめるかが不安…という話も聞きますが、それは地方も都会も関係ないと思います。違う会社から来たら、所詮よそ者なんです。私も以前親会社から系列の子会社に移った経験がありますが、その時もそのように感じましたから。でもやり方ではないかと思います。私はとにかくすっと入り込んでしまう性質なんです。しかしそこを入り込めずに、上から目線で命令口調になりがちな人たちは摩擦を起こしてしまいます。そういうのを間近で見ていましたので、とにかくそれは絶対にしないようにしようと。第一、自分は会社のことがわからないんだから、いきなり偉そうなことは言えない。自分が逆の立場だったら、わからない人が上に来て、いっぱいいろんなことを言われたら嫌なので(笑)。それは一番気を使った部分ですね」

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亀印製菓株式会社 マーケティング本部 本部長 吉川 康明さん

人生でこれほど期待されたことはない

一方で、吉川さんは地方企業ならではの魅力も感じている。

「まず、お客様との距離が近いですよね。組織も非常にコンパクト。良いことも悪いこともすぐ聞こえてきます。そのため解決するスピードが早ければ、改革や再建もどんどん進めていくことができると思っているんです」

また吉川さんの強みは、フットワークの軽さ。それを活かす環境が今の会社にはあるようだ。

「社長は40代で、私よりもひと回り以上も若いです。私のこともよく受け入れてくださり、自分の方からどんどん声をかけてくれるので、ありがたいです。だから私自身も、自分から動くということをやり続けています。待ちの姿勢で社長から言われるのを待っていても物事は進みません。また自分にそんなことを求められているわけでもないので、自分で問題点を見つけて、どんどん解決していく。そのほうが早いですから」

しかし、仕事の幅は広く、課題は盛りだくさん。だからこそ、
「数年後にこうしたいというイメージと、その企業への情熱がなければ、この仕事はできない」と吉川さんはいう。

「社長は若いですが、非常に頭脳明晰な方です。会社のために本当に汗水流してやっていらっしゃいます。そんな方に信頼していただけているので、非常に意気に感じているところがあります。その期待に応えられるように、亀印をいい会社に変えていこうという気持ちが強くあります。これほど期待されていることは、今までの自分の人生ではないので、この期待に応えないでどうする!という気持ちで日々働いていますよ」

そう言って、吉川さんは目を輝かせる。

人を動かしたいなら、後ろから押せ

そして今、吉川さんが蒔いてきた改革の種は、少しずつ芽を出しつつある。

「仕掛けたものが少しずつ成果が表れてきて、数字が上がってきています。手をかけたら、かけた分だけ答えが出るという手ごたえを感じているところです。やっていける!という可能性を感じています」

心配していた従業員たちも、吉川さんの改革案を受け入れ、新たな取り組みに素直に取り組んでくれているという。なにか、人を動かす秘訣があるのだろうか?

「いつも言っているのは、今までと同じことをやっていてもうまくいかない、ということです。会社を変えない?自分たちでもうちょっと良くしたいと思わない?といつも語りかけています。社員の意識を引き上げるのが私の仕事。といっても、人間は引っ張っても動きませんから、後ろから押すイメージでやっていますよ。ガーンとね(笑)」

初めて地方の企業で働いてみて、いろいろな人に支えられているという実感もあるという。

「お客様や従業員だけじゃなく、行政や銀行にまで支えてもらっている会社は、本当に貴重な存在だと思います。なかなかそういう会社にはなり得ない。だからこそ、なんとしてでもこの企業を再生したいと思うんです」

東京育ちの吉川さんだが、自然と水戸への思いも高まってきたようだ。

「茨城県は知名度が低いといわれているので、県や市もイメージアップに必死です。そこには全面的に協力したいと思っています。本社の建物もロケーションが良いと思われていてて、テレビや映画、ミュージックビデオを作るときに時々、撮影の申し込みがあります。亀印製菓という会社はそういう意味でも水戸のちょっとしたシンボル的な存在になっているんです。これからも活力のある地元づくりに貢献していきたいですし、水戸にはこういう会社があって、そこのお菓子は絶対買わなきゃ損だよね、と言わせるぐらいにしたいなと思っています」

会社を再生し、再び成長軌道に乗せることが、地域の活性化にもつながる。そんな新たなやりがいも、吉川さんを動かす原動力になっているようだ。

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