福井県の中央に位置し、自然とまちのバランスが心地よい越前市。
今回は、UターンやIターンで越前市に移住された移住サポーターの皆さんにお集まりいただき、実際に暮らしてみて感じた環境や仕事、プライベートのことなど、リアルな越前市ライフの魅力について語っていただきました。
(写真左から)
山本由麻さん、杉谷昌保さん、小関那央子さん、高山祐香さん
高山さんの運営するゲストハウス YAWNYAWNにお集まりいただきました!
■まず、皆さんの自己紹介と移住のきっかけについて教えてください。
山本さん:
静岡県出身です。東京の大学に進学し、2016年に卒業と同時に鯖江市へ移住しました。大学では漆(うるし)について勉強していて、越前漆器の産地である鯖江市の河和田に訪れるうちに、この土地がとても気に入ってしまい移住を決めました。
移住後、主人と出会って2018年に結婚し、現在は越前市に住んで7年ほどになります。子どもが2人います。
小関さん:
出身は香川県で、福井とは縁もゆかりもありませんでした。大学で文化財の保存修復の勉強をし、なかでも布の修復に興味があったので、そのような美術関係の仕事をずっと探していました。
実は、移住前には別の地域の会社から内定をいただいていたのですが、刺繍の先生から「越前市の武生(たけふ)地区にすごい会社があるから見に行ってみたら。」と勧められ、見学に行くことにしました。そこは、お祭りの山車(だし)を飾る刺繍幕の復元新調などを手掛けている会社で、今年87歳になる大先生の刺繍技術を見て感動し、「ここで働きたい!」と頂いていた内定を辞退して、移住を決意しました。越前市に来て3年になります。
高山さん:
越前市出身です。高校卒業後、東京の大学に進学して、その後は山梨のリゾートホテルに3年半勤務するなど、約10年間地元を離れていました。当初は戻るつもりはなかったのですが、離れてみて武生の良さや心地よさに気づき、「帰りたい」という気持ちが強くなりました。
「ゲストハウスを作りたい」という夢もあり、2023年6月に前職を退職してUターンしました。2024年9月にゲストハウスをオープンし、まだ1年経っていませんが、多くの方との出会いがありました。
実はオープン後に越前市の移住支援制度を知り、「事前に知っていたらもっと楽に移住の準備できたのに」と思いました。その経験から、移住者の支援や情報発信に携わりたいと考え、今年4月から移住サポーターとして活動しています。
杉谷さん:
越前市出身です。高校卒業後、京都の大学に進学し、その後は日産でデザイナーとして24年間勤務しました。車の世界は奥深く、ものづくりの観点から見ても北陸は世界的に注目されている地域です。日産時代に富山で調査を行った経験があり、改めて地元を見直したときに「福井もすごいじゃないか」と強く感じました。
これまでの経験を生かして、福井にものづくりで恩返しができたらと思いUターンを…と、“きれいな理由”を並べていますが、実は本家の長男である私に、実家から急に「帰ってこい」と言われたという理由もあります(笑)。
妻と子ども2人は、まだ神奈川に住んでおり、私一人で越前市に移住しました。神奈川にも拠点を持ちながら、当初は「片足だけのつもり」だったのが、いつの間にか福井の沼にはまってしまった感じです。
■越前市に移住し、仕事やプライベートの過ごし方は変わりました?
小関さん:
東京にいた頃、移動は電車がメインだったので、行ける場所が限られていました。でも、越前市に来てからは車でどこにでも行けるようになって、生活の行動範囲が一気に広がりました。旅行が好きなので県外にもよく行きますし、車で香川に帰省することもあります。
私は、もともと田舎の子なので、自然豊かなこの地でのびのびと過ごせています。会社の裏手の山に登って栗拾いをしたり、敷地内で畑仕事をさせていただいたりしてリフレッシュしています。
高山さん:
私は夫が後から越前市に来て、やっと今は一緒に暮らしています。生活は本当にガラリと変わりました。福井のことを何も知らない夫を連れてドライブや観光をしたり、越前市のお隣の池田町にお蕎麦を食べに行ったりしています。そういう時間が楽しくて、都会にいた頃よりも、1日の時間が2〜3時間延びたような感覚ですね。夜は夫婦で温泉に行って、のんびりして、そのまま帰って寝る…そんな生活ができるのは本当にありがたいです。
杉谷さん:
僕も時間が増えました。神奈川にいた頃は通勤に片道2時間かかっていたのが、今は実家の敷地内にある蔵を事務所にしているので、通勤時間は片道10秒です(笑)。
その分、丸々4時間が浮いて、自分の時間が持てるようになった…と言いたいところですが、実際は会社の経営が忙しくて、ずっと仕事です。本当に、冗談抜きで休みなしの毎日ですね。
■山本さんは子育て中とのことですが、越前市に来て、子育て環境はいかがですか?
山本さん:
越前市に来てから子育てして7年になります。子どもが生まれる少し前に「だるまちゃん広場」ができ、次に「てんぐちゃん広場」ができて、まさに越前市の子育て環境が大きく変わったタイミングでした。その恩恵を一番受けている世代だと思います。地元では、同じような遊具で遊ぶのに200円かかってびっくりしました(笑)。それが無料で使えるのは本当にありがたいです。
今は夫の実家で同居して家業も一緒にやっているので、おじいちゃんおばあちゃんがいてくれる分、育児も仕事もだいぶ楽にさせてもらっています。
■実際に移住してみて、想像していた生活とのギャップや不安、良かった点についてお聞きします。まず、Uターンの高山さん・杉谷さんは、時間の経過とともに「変わったな」と感じたことなどはありましたか?
高山さん:
私は越前市を出てから戻るまで10年のブランクがあり、友達もほとんどリセットされた状態でした。本当にわずかな友人としか連絡を取っていなかったので、移住しても自分がどこに行ってコミュニティをつくれば良いのか、不安がありましたね。
杉谷さん:
僕も移住して改めて感じたのは、地域に馴染むことの難しさです。特にIターンやJターンの方にとっては、簡単なことではないかもしれません。移住の相談窓口もあるので、私たちのような移住サポーターが地域とつないでいけるような流れを作り、そしていろいろな人とつながる機会を意識的に持てると良いなと思います。
■Iターンの山本さん・小関さんは、実際に移住してみていかがでしたか?
山本さん:
私は大学生の頃から鯖江市通っていて、ある程度人間関係ができていたので、その点ではあまり悩みませんでした。そのときに知り合った方たちは、移住者に慣れている方々でした。実際に移住してみると、移住者との関わり合いの少ない地元の方とも関わる機会が増えました。円滑にコミュニティに入るためにも、移住前にリアルな話や地域のルールのようなものを事前に教えてもらうことは重要だと思います。
小関さん:
私は、見学に行った会社の人しか知らなかったので、「知り合いができるかな?」という不安はありました。最初のうちは自分の生活で手一杯だったので、交友関係が広がらないことに対して不安を感じる余裕すらなかったのですが、1年、2年と経つうちに、お酒の場で少し話したり、会社の人たちと仲良くなったり、趣味の刺繍やものづくりを通じて知り合った方々や、移住者同士の交流会でつながった方々もいて、少しずつ交友関係が広がってきました。やっと地域に馴染んできたかなと感じています。
■越前市への移住によって増えた時間を、リフレッシュ・仕事・子育てと自由に使っていらっしゃるお話が印象的でした。また、移住の「キラキラした部分」だけではない、リアルなお話も聞けました!
後編では、移住にあたっての情報収集の方法やこれからの展望などについてお聞きします。
だるまちゃん広場
https://e-parks.jp/centerpark/about/
てんぐちゃん広場
https://www.city.echizen.lg.jp/office/050/020/tenguchanhiroba.html
ゲストハウスYAWNYAWN
https://www.yawnyawn.com/