忙しい都会を離れ、地方で自分のペースで仕事をしたいという人も多くいます。今回は「自分の出身ではない、地縁のない地方でこれから仕事をする」と考えたとき、うまくいくにはどのような素質があるといいか、という点について解説していきます。
1. 世代や価値観が違う人との交流が苦にならない
まず、自分がまったく住んだことのない地方で仕事をし、スムーズに定着していくのに向いている素質の１つめは「自分とは違う世代の人や価値観が違う人との交流が苦にならない」という点です。
少子高齢化が進む現在、地方には圧倒的に高齢者の割合が多く、ずっとその土地に住んでいて、大きな変化を好まない人も多いものです。あなたが外から移住した場合、初めはよくわからない変な人がやって来た、という奇異な目で見られることがあるかもしれませんし、フランクに付き合ってくれない人がいるかもしれません。
そんなときに、よそよそしい態度で引っ込んでいるのではなく、積極的に話しに行ったり、相談したりするようにし、「よそもの」と見られることは気にしない人、むしろ都会ではない新しい出会いや違った価値観との交流を新鮮だと感じ、楽しめるような人だとうまくいくでしょう。
2. やりたい仕事や向かいたい世界のイメージが明確にある
次は、「やりたい仕事や自分が向かいたい世界へのイメージを明確にもっている」という点です。地方に移住する、という場合に、「何となく田舎暮らしがしたい」「ゆったりとした自然の中で暮らせるといいなあ」というような漠然とした暮らしへのあこがれをもつ人も少なくありません。
それが悪い、ということではありませんが、ずっと定住してその土地の人として仕事をしていく場合には、自分が働く仕事の方向性をしっかりともっているほうが、どこの地方に住むかの選択も適切にでき、少々困難なことがあっても続くものです。
別荘を買うようなつもりで場所を探すのではなく、将来、こんな世界に行きつきたい、こういう仕事がやりたい、というビジョンをもち、それが実現しそうな地方はどこなのか、という視点で土地を選ぶ人のほうが現実的でうまくいくことが多いでしょう。
3. 完璧を求めない、失敗しても立ち直りが早い
3つめは「完璧を求めない、失敗しても立ち直りが早い」という素質です。実際に移住してみると、思い通りにはならないことがたびたびあるかもしれません。そこをどのように切り抜けていくかが大切なポイントです。
たとえば、私の知り合いの、家族と自分はまったく住んだことがない東北の地域に移住した方は、想像していたよりもはるかに冬の寒さや道路の積雪が厳しく、毎朝の通勤、買い物などの日常の行動に時間がかかることに苦労していました。最初は、車を運転して買い物や用足しをしようと思っていましたが、自分の技術でいきなり雪道を運転するのは非常に危険だということに気づいたのです。
このようなときに「事前に計画したことが完璧にならないと気が済まない」というタイプではなく、柔軟にその状況に応じて変更ができたり、うまくいかないことがあっても、すぐに立ち直ってトライアンドエラーで試行錯誤しながら進んでいくことができるほう人のほうが、素質があるといえるでしょう。
その方も、とりあえず買い物については宅配で届けてくれるものを中心にし、雪道でも運転ができるように、もう一度自動車学校に通ったり、運転のうまい人に同乗してもらいコツを聞くなど、できることに取り組んでいました。「やっぱり移住しなければよかった」などと嘆いているのではなく、とりあえず改善できる方向に行動してみるという素質があると、状況は変わっていくでしょう。
4.「応援してくれる人」をつくれる
最後の素質は「応援してくれる人、助けてくれる人を見つけることができる」点です。特に初めての知らない土地では人との交流がカギになります。自分のやりたいことを理解してくれ、一緒に支援してくれるような人ができると物事が進めやすくなります。
地方では「自分の家でつくった野菜をくれる」「つくった料理をおすそわけしてくれる」などの交流も多くあります。このような援助は素直に受け入れて感謝したり、町内会の活動など自分も何か地域の人たちのために力になる、というような交流ができると、その土地に住みやすくなるでしょう。地方は特に高齢者が多いので、進んで地域の活動の役割を担ってくれると、大変感謝され、喜ばれます。きっといざというときに相談できる力強い味方になってくれる人ができるはずです。
ゆったりとした地方暮らしには素晴らしい面もたくさんありますが、知らない地方に定着し、やりたい仕事をうまく進めるためには自分の意識や心構えといったことも大切です。こういった4つの素質があることが非常に助けとなっていくでしょう。
