【地方移住】「住みたい県」は、どう決める? ─その2:データ編
GLOCAL MISSION Times 編集部
2020/06/19 (金) - 11:45

地方への転職──この人生の大イベントを行うにあたり、「その1:条件編」で粗選びのためのいくつかの項目をご紹介しました。既に複数の県(道も府も含め)名が頭の中にピックアップされているのではないでしょうか。次は移住先をひとつに絞り込むためのさまざまなデータによるランキングをご紹介していきます。「条件編」で挙げたそれぞれと関連した項目です。仕事をし、生活し、子育てしていくにあたり、どれも深く関係してくるものばかり。移住先決定のための参考にしてください。
※ランキングでは「大都市」である東京都と大阪府は除外しています。

仕事環境に関するデータ

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出典:人口推計(総務省統計局)

主たる労働力となる15歳以上65歳未満の人口を指します。生産人口が多い地域は高齢者数が少ない傾向にあり、統計では東京都が首位。さらに、大都市を抱える神奈川県と愛知県が入っているのでそれ以下を挙げていくと、5位:埼玉県、6位:宮城県、7位:千葉県と続きます。

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出典:社会生活基本調査(総務省統計局)

全体の上位には大都市圏が入ってくるため除外しました(この3県も大都市を抱えていたり近県だったりしますが)。ちなみに短い通勤時間ベスト3は、宮崎県、島根県、鳥取県の順番で、いずれも27分前後となっています。

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出典:経済センサス基礎調査(総務省統計局)

地方には元気のいい、ユニークな製造業が多く存在します。これからの生き残りを懸け、都市からの人材を有望な戦力として迎え入れる企業も増えています。もちろん、上位3県以外にも視野を広げてみてください。

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出典:経済センサス基礎調査(総務省統計局)

もともとのランキングで士業の数が多い東京都と大阪府が1、2位を占めます。それ以外の情報通信・金融・サービスなどの業種を深掘りすることもお勧めします。

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出典:賃金構造基本統計調査(厚生労働省)

本来は東京都が1位。5位の滋賀県以外は6位:大阪府、7位:茨城県大都市圏や首都圏が上位を占めます。地域による物価の差も考慮すれば、年収の高さが生活の豊かさであるとは限らないことを付け加えておきます。

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出典:中小企業の企業数・事業者数(中小企業庁)

社員数101人または301人を超える企業数を調査。東京都が圧倒的な1位で、大阪府が続きます。大都市への一極集中が明らな結果に。それ以外の県では、京都府、福岡県、香川県が全体の6〜8位です。

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出典:就業構造基本調査(総務省統計局)

宮城県の高さは、東日本大震災後の調査時期が原因と思われます。総じて、首都圏・関西・九州エリアで高くなる傾向が見られるようです。

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子育て・教育環境に関するデータ

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出典:社会福祉施設等調査(厚生労働省)

子育て世代の大きな関心事が、保育園に入れるかどうか。共働き世帯の多い県は保育園数も多いという相関関係があります。また、地方だからと言って待機児童が少ないわけではないことも知っておきたい事実です。

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出典:経済センサス基礎調査(総務省統計局)

西日本の温暖な地域に多い傾向があるのは、学校外で勉強する機会が多いからと推測されます。しかし、全国学力テストの正答率とは相関関係がないようです。

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出典:学校基本調査(文部科学省)

全体の1位は東京都。意外、と言っては失礼かもしれませんが、高知県はそれに迫っています。京都府の次は広島県が続きます。

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出典:学校基本調査(文部科学省)

全体の1位は東京都。また、兵庫県の次には大阪府が続き、やはり進学先の多い大都市圏で高い傾向にあります。ちなみに全国平均は54.7%、上位3府県はいずれも60%を超えています。

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出典:家計調査(総務省統計局)

全体の2位に東京都が入る。首都圏と近畿圏が高い傾向にあり、塾や予備校の費用と相関関係を持っています。ちなみに埼玉県は22万円超、最下位の長崎県は8万円弱という結果です。

生活環境に関するデータ

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出典:国土地理院全国都道府県市町村別面積調査(国土交通省国土地理院)

人口1人あたりの面積を比較すると、やはりという感じで北海道がトップ。人口密度が低い、人口増加率が高いという調査結果と相関関係があります。面積の広さが住みよさに直結するわけではないのですが、ライフスタイルに応じて判断してください。

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出典:住宅・土地統計調査(総務省統計局)

持ち家率の高さが地価と連動しているのは明らかですが、ほかの統計も見ていくと自動車普及率とも密接な関係があります。公共交通の便が悪くても、車移動であればマイナスポイントにはならず、安い土地に家を建てられるからです。

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出典:住宅・土地統計調査(総務省統計局)

家賃を高い順に並べると首都圏と大阪圏が上位をずらりと占めるので、敢えて安い県ベスト3としてみました。最下位の青森県は37,485円、首位の東京は78,552円。全国平均は55,200円。広さや間取りは調査項目に入っていないので一概には言えませんが、移住したらまずは賃貸住宅というケースも多いので、現在の家賃(もしくは住宅ローン返済額)と比較検討してみてください。

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出典:医師・歯科医師・薬剤師調査(厚生労働省)

全国的に医師不足であると言われていますが、西高東低で西日本に多い傾向が見られます。首都圏では東京都に一極集中(全体の3位)。

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出典:小売物価統計調査(構造編)(総務省統計局)

全体の1位は東京都。4位までは東京周辺県と大阪周辺県(ただし大阪は9位)なので、それ以外の県で1〜3位を並べてみました。ただし、家賃が安くても生鮮食品が高いなど、各項目によって地域差はあります。

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出典:経済センサス-基礎調査(総務省統計局)

日常の食品などを買いに出かけるスーパーマーケット。広い面積に対して人口が分散しているエリアでは、集落ごとに店舗が必要となるので数は増える結果ともなっています。

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出典:各コンビニの店舗数を元に集計

1位の北海道は全体の3位である東京都とほぼ同数の激戦区。地域で見てみると、東日本に多く関西には少ない分布となっています。

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出典:全国消費実態調査(総務省統計局)

日本では、都市部以外の地域はどこも車社会。家族分の車を所有する必要があるかもしれず、その分の出費は心しておいた方がよいでしょう。次のガソリン消費量とも密接な関係にあります。

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出典:家計調査(総務省統計局)

地方移住で最も増えた出費は車関連費用というケースはよく聞きます。その大きな割合を占めるのがガソリン代ですが、ハイブリッド車の普及でやや減少傾向にあると予想されます。

文化環境に関するデータ

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出典:家計調査(総務省統計局)

長い通勤時間の県が上位に。読書時間の長さとも相関関係があるので、やはり通勤途中に読む人が多いと推測されます。無料のネットニュースアプリも広まっているので、目安のひとつと考えてください。

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出典:家計調査(総務省統計局)

読書好きの多さをうかがい知ることができる統計です。また、ファッションや化粧品などを購入する際の情報源としても活用されていることが、それらの購入額との高い相関関係から読み取れます。

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出典:社会教育調査(文部科学省)

文化的・学術的な興味を満たしてくれる美術館や博物館の合計数(全体の3位は東京都)。長野県には郷土にゆかりのある有名人の記念館も多くあります。ただ、大きな企画展は大都市での開催が多いので、出向いていく必要があります。

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出典:社会教育調査(文部科学省)

演劇や音楽コンサートを上演するホールが身近にあれば、生活に潤いをプラスできます。ベスト3は人口や面積でのアドバンテージはありますが、有名アーティストの公演も多く開かれています。

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出典:映画上映活動年鑑(コミュニティシネマセンター)

映画館数そのものは減少を続けていますが、シネマコンプレックスの増加によりスクリーン数は増えています。それに伴い、ミニシアターの数も増えました。マニアックな作品が地元で観られるかも。1スクリーンあたりの人口が少ないほどスクリーン数が多いと言えるランキングです。

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次のステップは、現地訪問してシミュレーションを。

いかがでしょう、住みたい県は絞られましたか。であれば、次は現地を訪れてみましょう。実際その土地を踏み、観光というスタンスから視点を変えて町を見て、人と話し、名物や名所を探す。自分がその町に住んでみたときのシミュレーションをしながら、何日か滞在してみます。肌でその町を知り、相性を確かめる。自治体によっては移住希望者に対する交通費の補助制度を設けていますから、調べてうまく活用してください。
近い未来の仕事や家族の生活を思い描きながら、移住する県、土地、住まいを選んでいく。そのプロセスは意中の人との新生活を始める準備のようで、胸ときめく日々に違いありません。

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