【地方都市の魅力】宮崎県宮崎市 豊かな気候と自然に囲まれ移住者受け入れ策も充実の街
GLOCAL MISSION Times 編集部
2020/12/02 (水) - 07:00

移住者ランキングでは毎年上位に入ることが多い宮崎県宮崎市。豊かな気候と自然に囲まれ、大都市圏と比較すれば大幅に安く家を探して住むことができます。また、移住者受け入れも積極的に行い、2019年には転出超過の状況から、転入超過へ逆転もしています。この記事では、移住先としての宮崎市をご紹介しますので、参考にしていただければと思います。

よく晴れ、よく雨が降る「九州らしい」気候の街

2020年11月現在、比較的落ち着いているといえる宮崎県のコロナ感染状況。9月中旬から10月中旬までの約1ヶ月間は「感染者数0」を継続しています。11月に入り感染が再発してはいるものの、1日の感染者数は0~2人。11月12日までの累計感染者数は373人で全国47都道府県中第28位、人口あたりの累計感染者数も第21位ですから「よく持ちこたえている」といえるのではないでしょうか。

さて、宮崎市および宮崎県は、移住先として人気の場所です。ふるさと回帰支援センターが毎年実施している「移住希望地ランキング」では、2019年は19位。2015年~2018年も10位→10位→9位→9位と、毎年上位に入っています。また、全国のビジネスパーソンに実際に住んでいる、あるいは直近で住んでいた街の「住みよさ」について調査する「シティブランド・ランキング ―住みよい街2019」においても、宮崎県は全国47県庁所在地中27位となっています。

九州の南東部にある宮崎市は、宮崎平野の南端に位置しており、南部が鰐塚山地の一部となっているほかは基本的に平坦な地形です。中心部を大淀川が流れています。プロ野球 読売ジャイアンツのキャンプ地となっていることから分かるとおり、年間を通して温暖な気候で、平均気温は17.4℃。全快晴日数が多く日照時間が長い一方、降水量も例年で2,000mm、3,000mmを超える年もあるなど多いことが特徴です。よく晴れ、またよく雨が降る、九州の典型的な気候だといえるでしょう。

【宮崎市の平均気温(1981年~2010年】8985_01.png (9 KB)(気象庁資料より筆者作成)

宮崎市を支える交通手段は、まずは宮崎空港です。宮崎空港へは市の中心部から約5km、鉄道と路線バスの両方の便があり、非常にアクセスが良いのが特徴です。空港の駐車場は売店・飲食店を利用すれば2時間まで無料のため、送迎に車を使う際にも便利でしょう。国内線は東京(羽田・成田)、名古屋(中部)、大阪(関西・伊丹)、福岡、那覇との路線が、国際線は仁川(韓国)、桃園(台湾)との路線があります。

【宮崎ブーゲンビリア空港の乗降客数(2019年度)】8985_02.png (9 KB)(宮崎空港ビル株式会社資料より筆者作成)

鉄道は宮崎駅が中心となり、JR九州 日豊本線、宮崎空港線、日南線が走っています。特急電車・在来線のほとんどが停車し、また駅前には県外へ向かう高速バスターミナルもあり、宮崎市における交通の要衝となっています。1日平均の利用者数は下表のとおり増加傾向で推移しています。電車の乗り継ぎなどで時間が空いたときのため、駅ビル内にはコンビニやレストランなどの店舗も多くあります。

【宮崎駅の1日平均の乗車人員の推移】8985_03.png (7 KB)(九州旅客鉄道株式会社資料より筆者作成)

また、宮崎市内はバス路線も充実しています。250円程度の運賃で遠距離まで乗れるため、使いこなすと広範囲の移動もできます。スマホなどで検索できる乗換案内や地図アプリも充実。ルート検索ができるのはもちろん、バス停の検索も可能です。九州地方を中心に展開する交通系ICカード「nimoca」に加え、「Suica」での支払いもできますので、料金の支払いもスマホでできます。

ただし、宮崎市内の交通の基本は自家用車です。公共交通網が整備されている首都圏や関西エリアとは異なり、地方都市が一般的にそうであるように、宮崎市内の移動は車がないと不便です。バスの便は、朝夕の通勤時こそ数分に1本あるものの、昼間は30分に1本程度に激減します。宮崎市では女性でも、運転免許を持っていることが一般的です。

新型コロナ下にあっても堅調な経済

宮崎県の経済については、宮崎市の公示地価は下表のとおり下落し、新型コロナウイルス感染拡大により先行きが見えなくなっているところはあるものの、基本的には堅調です。2019年の県内経済は、令和2年3月に宮崎県 総合政策部 統計調査課が発行した「宮崎県経済の動き(令和元年)」によれば、

「令和元年の県内経済は、鉱工業生産指数がやや低下し、消費は消費税増税の影響等もあり一進一退であったものの、観光面は引き続き高い水準であった。一方で、企業にとっては人手不足感が強い状況が続いている。」と結論付けられています。

消費については、百貨店やスーパーの販売額、および新車の新規登録台数は前年比でやや増加し、観光も好調を維持しています。観光の好調にともない、宮崎空港の乗降客数は前年比1.8%の増加、主要ホテルや旅館の宿泊客数も、国内観光の堅調により前年比2.6%増となっています。消費者物価指数も前年比0.3%上昇しています。

雇用・労働に関しては、新規求職申込み件数、新規求人数ともに減少し、有効求人倍率は低下したものの、人手不足感が強い状況となっています。

投資については、新設の住宅着工件数は減少しました。その反面、公共工事請負金額は増加しています。経営・金融に関しては、企業倒産は低い水準で推移し、預金・貸出金残高は増加。景気動向指数は、景気の拡大・縮小の分岐点となる50.0を挟んで推移していますので、これまでの景気を維持しているといえます。

宮崎県は、九州経済研究所による「宮崎県の経済概況(2020年10月)」によれば、新型コロナ拡大の影響下である2020年7月において、景気動向指数が全体として57.1%となり、景気は拡大しています。百貨店・スーパーの販売額、輸入通関実績、新規求人数、新車登録台数、およびホテル・旅館宿泊客数などが景気拡大の原動力となっています。

【2020年の公示地価の変動率】8985_04.png (6 KB)(宮崎県資料より筆者作成、カッコ内は前年実績)

【宮崎市の事業所数・従業員数】8985_05.png (5 KB)(宮崎市資料より筆者作成)

宮崎市では2018年4月に、10年間の長期計画として「第5次宮崎市総合計画」を策定しました。この計画は「持続可能なまちづくりの推進」を目標とし、基本構想とともに5年間の基本計画、および年度ごとの実施計画からなっています。

8985_06.png (215 KB)(資料:宮崎市提供)

まちづくりの基本姿勢は、「将来の都市像」と「まちづくりの基本姿勢」からなり、将来の都市像は「未来を想像する太陽都市『みやざき』」、まちづくりの基本姿勢は「地域に愛着をもち、新たな価値を共に創る」としています。

まちづくりの基本的な考え方は、以下の3点からなっています。

1. 市域の均衡ある発展と地域の特性を生かした協働のまちづくり
まちづくりにあたっては、まず地域の多様性を活かすことがうたわれています。そのために、地域の課題を地域で解決できる地域協議会や地域自治区事務所などを強化するとしています。

2. 災害に強いまちづくり
南海トラフ地震の発生も予見されているなか、被害を最小限に抑える「災害に強いまちづくり」も課題となっています。ハード面での整備はもちろんのこと、市民や事業者・行政が連携しソフト面の整備も進めるとしています。

3.  豊かな地域社会を築く地方創生の実現
市民が豊かに生き、暮らし、働くことができるよう、さまざまな取り組みを行うとしています。子育て環境の充実や若い世代の流入・定着などは重点課題とされています。

移住者受け入れも積極的に推進

宮崎市では、下表のとおりここ数年は転入者数より転出者数が多い、「転出超過」の状態が基本的に続いていました。そこで、宮崎県・宮崎市はともに、移住を呼び込むための施策に力を入れ。2019年には転入超過に逆転を果たしています。

【宮崎市の転入者数・転出者数・転入超過数の推移(人)】8985_07.png (16 KB)(宮崎市「人口・世帯数の推移」により筆者作成)

宮崎県は、2019年7月から「移住支援金制度」をスタートしました。この制度は、

1. 宮崎県以外の都道府県から移住し、

2. 県が選定した企業または農林漁業への就職、あるいは事業承継した人

にたいし、世帯で100万円、単身なら60万円の支援金を支給するものです。

また、宮崎市は2015年12月に「宮崎市移住センター」を開設しました。移住センターには「移住コンシェルジュ」が配置され、移住を希望する人に対して住宅や就職などについての個別相談を行います。また、関係団体と連携し、移住に必要な各種情報の収集も行います。場所は宮崎市役所第二庁舎3階で、事前に予約すれば誰でも相談することができます。

さらに、移住センター開設と合わせて「移住アンバサダー制度」も創設。関係団体・企業および事業所との連携を図り、移住者受け入れ体制の整備・強化を図っています。移住アンバサダーに選定された団体や企業は、移住希望者や移住者との交流や情報提供などを積極的に行います。

宮崎市は、大都市と比較すれば生活しやすい環境です。住宅地平均地価は平米あたり4万6,700円と、大都市に比べ安価です。また、新築住宅の建設経費も全国で最も安い水準、賃貸住宅の家賃も東京の約半額となっています。移住後の仕事についても、企業の立地が進み雇用促進が期待される状況です。

【宮崎市の生活情報】8985_08.png (10 KB)(宮崎市・日本医師会資料より筆者作成)

森ビルのシンクタンク森記念財団都市戦略研究所が2018年に発表した「日本の都市特性評価」では、宮崎市は文化・交流で30位、生活・居住で20位と上位に入っています。豊かな気候と自然に囲まれ、行政による移住者受け入れも積極的に行われている宮崎市は、移住先として有力な候補の一つだといえるでしょう。

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