副業をもっとスムーズに、副業の労働時間管理が変わる?
GLOCAL MISSION Times 編集部
2021/10/22 (金) - 17:00

最近は働き方が徐々に変化して、副業を始めることも一般的になってきました。以前は副業を禁じていた企業側も、少しずつ柔軟な対応を始めています。とはいえ、本業と副業を合わせて無制限に働けるわけではありません。

日本では労働基準法により、遵守するべき労働時間と賃金体系が決められています。では、副業を始めるとしたら、働く側と企業側はどのように労働時間を管理すればよいのでしょうか。この記事ではその疑問について、重要なポイントを中心に解説します。

労働時間の基本的な考え方

労働基準法では、雇用関係が生ずる働き方の場合、労働時間は休憩時間を除いて1日8時間以内、1週間に40時間以内と決められています。ただし、対象に個人事業主やフリーランスは含まれません。

この労働時間を超えて業務を行う時には、法定外労働として雇用主は割増賃金を支払う必要があります。本業以外に副業をする場合、この割増賃金が問題になるのです。

副業に適用される「通算ルール」とは?

本業と副業とを合わせた労働時間の「通算ルール」とは、例えば1日に本業で8時間、副業で3時間働いた時には、合計11時間がその日の労働時間になるということです。この仕組みについて、ここで詳しく検証してみましょう。

●通算ルールの考え方

本業と副業とで法定労働時間を超えたとすると、超過した分は割増賃金になります。この割増分をどこが負担するのか、それを決めるのが通算ルールです。その原則は厚生労働省により、以下の2つに規定されています。

(1)雇用契約の締結順に従って割増賃金を支払う。
(2)法定外労働の発生順に従って割増賃金を支払う。

これを分かりやすく説明するため、本業をA社、副業をB社として、割増賃金の基本的な負担方法を見てみましょう。設定をなるべく単純にするため、A社の労働時間を7時間、B社の労働時間を1時間として、合計で1日8時間の法定労働とします。

まず(1)のパターンでは、B社で残業が発生した場合、それはすべて法定外労働になりB社が割増賃金を支払います。また、A社で1時間の残業をしてからB社で仕事を始めると、そこからはすべて法定外労働とみなされ、B社で働いた分は全額が割増賃金になります。不公平に思えますが、原則に従うとB社の負担が大きくなるのです。

一方で(2)のパターンになると、もしA社で1時間の残業をした場合、それはそのまま法定外労働になり、A社に割増賃金の義務が生じます。その後B社で働いた1時間は法定労働とみなされますが、さらにB社でも残業をすると、その分はB社の割増賃金になります。つまり法定外労働が発生した順番に、その時に働いていた勤務先が割増賃金を負担するのです。

●通算ルールの問題点

通算ルールの2つの原則は、AB両社との契約内容によって、さまざまな組み合わせになる可能性があります。しかし本業と副業とのバランスで考えると、副業のB社で割増賃金が増えることは容易に予想できます。

そこでB社の立場としては、割増賃金が発生する労働者の雇用を抑えることになります。反対に副業を探す求職者は、本業との掛け持ちであることを隠すかもしれません。しかも労働基準法では、本業側の企業が副業についての情報を得ることを義務づけてはいません。実際に通算ルールが守られているかどうかは、かなり疑わしい状態なのです。

労働時間の自己申告も重要

通算ルールを正しく適用するためには、労働者自身による労働時間の申告が必要になります。本業側と副業側の企業には、従業員との雇用に関して、適切な情報共有制度を設けておくことが求められます。この仕組みが整っていないと、万が一のトラブル時に対応が難しくなるでしょう。ただし、あくまでも自己申告なので、強制力は持たないという問題点は残ります。

通算ルールが変わる可能性も

現在働き方改革の一環として、通算ルールの見直しが行われています。内閣府による規制改革推進会議では、通算ルールに代わって、雇用先の企業ごとに別々に労働時間を算出する方法を検討中です。この規制改革が実行されれば、労使双方にとって副業の管理が効率化される可能性があります。

労働時間管理モデルの活用

本業と副業との労働時間を、労働者の自己申告に頼らず管理する方法として、厚生労働省は「管理モデル」を提案しています。この方法では本業の法定労働時間を別にして、本業の法定外労働時間と副業の全労働時間を合計します。この合計時間は法律により単月で100時間未満、複数月で80時間以内に制限されています。

労働者が副業を始める場合は、本業と副業の企業との間で、合計時間の配分について事前に設定しておきます。実際に働く時には、その設定時間を超過しなければ、企業同士が情報交換することも、労働者が自己申告することも不要になるのです。ただし1つ大きな課題として、副業側の企業ではすべての労働時間が割増賃金になってしまうため、根本的な解決にはならないかもしれません。

副業解禁には思い切った対策が必要

労働基準法では副業を制限するような規定はありませんが、日本の企業風土から、社内規定で副業を禁じているケースがまだまだ多いのが実状です。企業にとってはさまざまな事情があるのでしょうが、労働時間管理の難しさがネックになっているのは間違いないでしょう。

厚生労働省の管理モデルにしても、これまで続いてきた通算ルールにしても、本業側・副業側・労働者のそれぞれが満足するには至っていません。現在行われている規制改革の中で、より柔軟な労働時間の管理方法を検討する必要があるでしょう。

(参考資料)

「副業・兼業の場合の労働時間管理について」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000642972.pdf

「働き方の多様化に資するルール整備について」内閣府
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20190510/190510honkaigi03.pdf

「副業社員の労働時間管理について」大塚商会
https://mypage.otsuka-shokai.co.jp/contents/business-oyakudachi/expert-keiri-kyuyo/2021/04.html

「副業の労働時間管理とは?」プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
https://blog.freelance-jp.org/20190611-4000/

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