旭川流の働き方とは?「勝負する市場」、キョクイチホールディングス
GLOCAL MISSION Times 編集部
2022/10/06 (木) - 18:00

キョクイチホールディングスは北海道旭川市に位置し「勝負する市場」のステートメントを掲げ、水産物・農産物などの卸売、加工、物流までを担っている会社です。旭川は人口34万人。冬は―20℃以下になりますが、夏場は30℃を超える寒暖差が激しい地域。今回はそんな旭川で働くとは何かをテーマに代表取締役社長角谷靖氏にお話しをうかがいました。
*インタビュアは北海道共創パートナーズ(旧)代表取締役社長・堀口新氏です。(2018年8月当時の取材です。)

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マイナス20℃の土地に生まれた町

明治23年頃、北海道で屯田兵の開拓が始まり、小樽や札幌に次いで旭川は道内の物流拠点として発展してきました。人口が増えるにつれ市場ができ、太平洋、日本海、オホーツク海の海産物が集まって農業も盛んな北海道は、消費カロリーに対して200%の生産能力を持つと言われ、水産物においては300%にものぼります。道内では消費できないため、道外や海外に販売しようと物流拠点である旭川も重要な地点になったのだといいます。

キョクイチの全身である旭一旭川魚菜市場株式会社は、1949年に設立し、消費しきれない食糧を本州に販売するルートを広げてきました。量販店の出現で「大量に安く仕入れたい」というニーズが生まれたことで、販売だけでなく生産や物流にも業務範囲を広げ、一気通貫で卸すビジネスモデルに切り替えました。M&Aで様々な会社を買収し事業を拡大させていったのです。

角谷氏が社長に就任したのは、2012年のこと。「2015年に市場で空いていた敷地を有効利用しようと総合物流センターを併設し、新社屋をつくりました。量販店の加工部門や集配センターを入れ、同時に物流の動線も見直して、温度管理も徹底しました。こういった思い切ったことができたのも、東京勤務の経験があったからです。旭川だけにこもっていると視野が狭くなります。旭川の夜は飲みに行ってもほとんど人がおらず、食品関係の商売は成り立たないのではと暗い気もちになりますが東京は活気がある。売り場所を変えれば商売になると思うと頑張ろうという気持ちが湧いてきますね。」

地域ならではの強みを追求する

「将来的に北海道の大きな経済発展はおそらくない。」と角谷氏はいいます。

「うちは市場ですから朝は早いのですが、他の会社は夜まで煌々と灯りがついています。東京ではマンションの向かいがオフィスビルだったのですが、夜中の2時になっても明りがついていて、“まだ働いているのか”と気持ちが悪くなってしまい…。毎日カーテンを閉めきるようになりました。それくらい、北海道の人間と働き方が違うのです。一方、旭川は家から会社まで車で10分、20分程度。東京都は違う幸福があると思いますね。」

キョクイチホールディングスはどのような人材を求めているのでしょうか。

「北海道には、地元の人ばかりで外からの転職者がなかなかいません。旭川の気候は厳しいところなので、まずは弊社に興味を持った方を人材として集めています。東京に住んでいる方であっても、そのまま弊社の仕事に参画してもらい、高いスキルを発揮していただきたいと思っています。こうした形であれば、閉鎖的な地方企業でも受け入れてもらえるはずです。

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地方ならではの緩さを活かす

東京と地方の企業で、最大の違いは「緩さ」だと、角谷氏はいいます。

「弊社の従業員は地元の大学や高校出身者がほとんどで非常にのどかなところです。“東京に転勤したい人、手を挙げてー!!”と言っても、誰も挙げません(笑)。許容できる範囲であれば何度失敗してもいいというのが、弊社の社風です。100戦100勝なんてあり得ません。だから勉強不足で失敗したからといってその人を放り出さず、もう1回くらい失敗できる機会を提供してあげます。ほどほどに面倒で手がかかって、あまり儲かりすぎず、東京の会社が見放すような仕事をやっていくのが地方企業の役目だと思っています。」

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