社員が働ける場所を選べる!総務省が進めるおためしサテライトオフィス事業とは?
GLOCAL MISSION Times 編集部
2023/01/18 (水) - 19:00

オフィスの開設というのは、とても経費がかかるものです。敷金、保証金、仲介手数料など賃貸にかかる費用はもちろん、机やイスなどの事務機器やOA関連の情報機器まで、挙げ始めればキリがありません。都会ではなく地方にサテライトオフィスを開設する場合でも、この事情は同じ。長い目で見ればメリットがあるとわかってはいても、なかなか手を出すことができません。このような企業のために、現在総務省では「おためしサテライトオフィス」という事業を展開しています。今回はおためしサテライトオフィスの概要からそのメリットなどをご紹介していきます。

サテライトオフィスとは?

サテライトオフィス(satellite office)とは、企業の本社や支社から離れた場所に設置される比較的小規模なオフィスのことです。サテライトとは衛星のことで、本社から見れば支社や支店も衛星のような位置関係で設置されることがありますが、一般的にこれらをサテライトオフィスとは呼びません。

サテライトオフィスは政府の進める働き方改革でも推奨されてきましたが、奇しくも新型コロナ感染症の感染拡大によって注目を浴びることとなりました。感染症の拡大時には人と接触することが制限され、在宅勤務が推奨されましたが「インターネットの環境がない」や「家族や子どもがいて仕事ができない」などの理由により、在宅勤務ができない状況が散見されました。そこで一部の企業では、本社から離れた地方都市にサテライトオフィスを設置し、そこでの業務を推奨するようになった経緯があります。

企業の支社や支店は近くに大口の顧客がある、もしくは対象とする顧客が多いなど、主に顧客を中心とした都合によって開設されることが多いものです。一方サテライトオフィスは、企業そのものや従業員の都合によって開設されることが多いと言えます。近年では地方にサテライトオフィスを開設し、希望する従業員を移住させて多様な働き方と働き方改革を実践している企業も多くなっています。

おためしサテライトオフィスとは?

上記のような目的の下に設置されるサテライトオフィスですが、冒頭でも書いたように経費がそれなりにかかるので、企業といえど気軽に設置できるものではありません。また地方のサテライトオフィスにおいては、ある地域を選定して開設してみたものの、期待した効果が得られるかどうかは実際に運用を開始してみなければわからないものでもあるのです。そこで総務省は「おためしサテライトオフィス」という事業を展開。従業員の新しい働き方や、地域で新しい仕事を生み出す活動を支援しています。

この事業は、総務省がおためしサテライトオフィス事業に協力してくれる地方公共団体を募集して実際に設置されたサテライトオフィスに企業が「お試し勤務」を行った場合、地方公共団体に発生した広報や募集、サテライトオフィスの設置に関わる経費に対して特別交付税措置を講じるものです。

総務省は上記のような特別交付税措置を講じると同時に地方公共団体と民間企業とのマッチング機会も提供。企業に対するセミナーなどを開催し、2022年度は民間企業141社、地方公共団体104団体が参加するなどの成果を上げています。

サテライトオフィスとおためしサテライトオフィスのメリット

最後に、サテライトオフィスと総務省が推進するおためしサテライトオフィスのメリットを整理しておきましょう。このような取り組みのメリットは、企業側と従業員側、地方側すべてに発生します。

企業側

・費用対効果を事前に確認できる
おためしサテライトオフィス事業を利用すれば、自社に最適なサテライトオフィスの場所を検討しやすく、費用対効果も事前に確認できます。

・固定費の削減
本社スペースを削減することにより、賃貸料や光熱費を削減できます。

・通勤費・残業代の削減
今まで従業員に支払っていた通勤費や残業代を削減できます。

・優秀な人材の確保
子育てや介護などでやむなく離職していた人たちに、継続して勤務してもらえます。

・働き方改革の推進
働き方改革を推進することで、離職率を低減できます。このような効果は、リクルートの効率にも影響します。

従業員側

・ストレスからの解放
地方に移住することで通勤時間を短縮することができ、ストレスから解放されます。

・多様な働き方を実現
子育てや介護に専念することもでき、それぞれの事情に合った多様な働き方を実現できます。

・ワークライフバランスの実現
通勤時間や残業時間が減り、仕事と生活のバランスを取りやすくなります。

・自然の多い環境で暮らすことができる
地方であれば、自然の多い環境で暮らすことができます。子育てだけでなく大人の生活にも良い影響があることでしょう。

・固定費・生活費の低減
地方は都会に比べて家賃が低いので、固定費を抑えた生活が可能になります。また地産品(野菜や果物、海産物など)については都会よりも安い価格で手に入ります。

地方側

・企業とのマッチング費用・施設設置費用などの低減
おためしサテライトオフィス事業を利用することで、広報や施設設置費用、企業とのマッチング費用などを低減でき、効率的な誘致が可能になります。

・少子高齢化・過疎化対策
企業の従業員とその家族が地域に流入してくれることにより少子高齢化と過疎化の防止につながります。

・地域活性化
移住者が地元の企業や商店街で買い物をしてくれることにより、地域が活性化します。

・税収の向上
移住者が流入することにより、地方税の税収が向上します。また企業や商店からの税収増も期待できます。

まとめ

従来は社員が自らの負担で地方移住することが多かったのですが、これからは企業側も積極的に地方移住を支援する時代に入ったのかもしれません。サテライトオフィスでの勤務は、企業や従業員、地方にとってもメリットのある勤務形態です。感染症の拡大が高速ネットワークやIT機器が整備されるきっかけともなってしまいましたが、これを機会に企業も一緒になって地方移住を考えるべきではないでしょうか。

<参考>

おためしサテライトオフィス 総務省
https://www.soumu.go.jp/satellite-office/

おためしサテライトオフィス 総務省
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/satellite-office.html

サテライトオフィスとは?導入企業の成功事例と3つのメリットを解説
https://www.nice2meet.us/what-is-a-satellite-office

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