プロボノ活動とは?社会貢献はスキルアップに繋がる?
荒木 三香
2019/02/03 (日) - 08:00

パラレルキャリアとしてはじめる人も増えた、本業とは別のボランティアなどの社会貢献活動。そのなかでも自分の仕事のスキルを活かしたボランティアでもある「プロボノ」とは、どういうものかご存知でしょうか? プロボノ活動を通じて得られるメリットや、相乗効果について具体的に紹介していきます。

専門分野で活躍する「プロボノ」たち

平日、仕事が終わってからの時間や、休日を使って、ボランティア活動に参加するする人も増えましたが、自分の仕事のスキルを活かした「プロボノ」という活動の仕方をしながら、社会貢献する人も増えています。

プロボノとは、ラテン語で「公共善のために」を意味する「pro bono publico」の略で、各分野の専門家が、職業上もっている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般や、それに参加する専門家自身を指します。

もともとはアメリカやイギリスの法律関連職の人々が無報酬で行う公益事業のことを指していましたが、いまでは弁護士のほか、公認会計士、中小企業診断士、コンサルタント、金融、営業、マネジメント系、広告・クリエイティブ系、システム・IT系、調査・分析系など、多岐に渡る職業のビジネスパーソンが、プロボノ活動を行っています。

近年、プロボノ希望者をNPOなどに仲介するサービスの登録者数が毎年増えており、企業においてもNECやゴールドマン・サックスなどが、子育て関連のNPOへのプロボノを社内で募るなど、先駆的な活動をしています。

日本では、2009年頃からプロボノ活動に対する注目が高まり、弁護士や公認会計士、中小企業診断士などが、東北復興支援活動を中心に、手弁当で東北へ出向き、地元企業や商店街の復興を支援するなど幅広い取り組みにより、その認知度が広がってきましたが、まだまだ、ご存知ない方も多いでしょう。

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プロボノの募集は、どこで行っているのか?

プロボノの応募には、受け入れ企業や団体と、プロボノ志望者のマッチング事業を行っている団体を通じて仲介されることが多く、募集要項には必要とされるスキル、実施機関、受け入れ先の業種などが明記されていますが、中小企業や地方自治体、NPO団体など、人手が不足している組織への仲介が多いです。

プロボノは、あくまでボランティア業務であり、業務を依頼した組織が、最終的に自立して事業を行うことがベースとなります。短いもので数日間、長いもので数カ月程度と、活動期間が決まった仕事である場合が多いです。たとえば、経営方針を決める際のアドバイスや、ホームページ作成など、その組織が苦手としている作業であったり、後回しになっている業務に対する支援依頼が多くなっています。

オンラインで探せる、代表的なプロボノのマッチングサイトや団体を紹介してみましょう。

「認定NPO法人サービスグラント」
該当する職種ごとにスキル登録をし、支援先を探せる。
「パラレルキャリア支援サイト もんじゅ」
さまざまな分野の経験者やスキル保持者を募集している。
「ママボノ」
育児で職場を離れたママが、ウォーミングアップと同時に、社会貢献活動できる場の提供。
「NPO法人 二枚目の名刺」
プロボノのほかに、さまざまな取組みを支援する、いま注目の団体。

上記でも、うまく参加したい活動が見つからない場合は、参加したい職種の「キーワード×プロボノorボランティア」で検索してみて下さい。個別にプロボノをサイトで募集している団体が見つかるでしょう。

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プロボノを通じて得られることは?

筆者が5年前に、復興支援のNPOを立ち上げた際にも、自身の仕事のスキルを活かした活動を、他団体で提供したことがキッカケでした。周囲の支援団体の方などから、「これは必要とされる支援内容だから、早く団体を立ち上げて活動したほうがいい!」と提案され、支援活動開始から、わずか2カ月、起業半年後で団体を設立し、活動を始めました。当時はプロボノという意識はありませんでしたが、自分が出来ること、スキルを活かしたことで、震災の被災者・避難者へ、何か出来るのであれば…という想いからでした。日頃、ボランティアにあまり興味のない方でも、仕事のスキルを活かした「プロボノ」であれば、ボランティアなどの社会貢献へのイメージも、少し違ってくるのではないでしょうか。

プロボノを通して得られるメリットは多く、その一例をあげると…

1.人脈・ネットワークづくり
社外の人たちと繋がる機会により、より広い視点や、ニュートラルな考えをもてるようになります。
プロボノの仲介会社に自分の希望を伝えて、繋がりたい人と知り合えるような活動を探すことも可能です。

2.スキルの向上と、自分の市場価値を知ることができる
同じ目的に対して、他社や異業種の人たちがチームメンバーに加わることにより、普段の自分の仕事とは 違うアプローチを学べる上、自分の仕事が社会でどの程度役に立つのか、市場ではどの程度求められて いるのか、自分の市場価値を知ることができます。

3.世の中や、人に貢献できる
たとえ無償であっても、人に直接的に役立つことができること、社会課題に貢献できる満足感があります。
※筆者の場合、当初は無償ボランティアで提供していた活動が、事業によっては、行政からの業務委託として請け負う、対価のある「仕事」として発展した活動もありますが、そうした事例も少なくありません。

4.定年後も働きつづけるために
年金の受給開始時期も伸びる傾向にあり、想定以上に長く働くことになる時代になっていくでしょう。
早い段階から、次の仕事に繋げるストレッチとして、会社での仕事とは別の活動を始めていくことは、その後の活躍の場を見つけやすくすることにも繋がる上、終身雇用がない時代のリスクヘッジにもなるでしょう。

いかがでしょう? プロボノ活動の魅力を、少しご理解いただけたでしょうか? プロボノを機に、今の会社での仕事に還元できることも多いことから、今後ますます、企業のプロボノ活動への促進が進むことになるでしょう。

自身のスキルアップはもちろんのこと、これからパラレルキャリアで活動してみたい方、今後、複業や起業を考えている方にとっても、人生の選択肢が増える“キッカケ”にもなるのではないでしょうか。

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