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地域企業の変革に向けての取組とは!?/地域企業の「伴走者」となるために〈後編〉
(株)日本人材機構 創生事業本部マネージャー 鈴木 峻生
2018/03/05 (月) - 08:00

都市部の人材を地域企業へ斡旋するというミッション遂行にあたり、地域企業が共通して有する課題点が見えてきたことを、前編のコラムでお話しました。後編である今回は、それら問題点が生まれた背景の掘り下げと、日本人材機構で取り組んでいる施策についてお伝えします。

課題は、地域企業の陥る構造的で根深い問題

地域企業との共働を進めるにあたり、我々日本人材機構はパートナーや伴走者としてお付き合いさせていただいており、前回のコラムの中で私自身が感じた地域企業の共通の課題は、変革が進まないことではないかと記載しました。変革できない企業の行動サイクルを簡単におさらいすると、

地方経済縮小・人口減少⇒企業の売上・利益の減少(特にサービス業は顕著)
⇒売上・利益維持のために本部人材の削減⇒本社機能(企画・人事・経理・システム等)の人員不足
⇒本来変革の旗振り役となるはずの本社が機能しない
地方経済縮小・人口減少⇒企業の売上・利益の減少(特にサービス業は顕著)
⇒お金のかかる投資をしない(しようとしない)⇒新たな業務(事業)への導入コストを払わない⇒ITや技術が進む中で変化に対応できない

問題の背景にはステークホルダーや競合先等からの本来あるべき「牽制」機能が発揮されないことが影響している

通常会社には株主、銀行含む債権者、役員、従業員、取引先のステークホルダーがいて、そのステークホルダーにとって最適になるような仕組みの中で事業運営がなされます。加えて、競合先の拡大に危機意識を持ちながら、企業の成長を図っていくことになります。しかし、地域企業では
・同族会社(オーナー企業)が多く、株主から業績に関するプレッシャーが皆無
・中核企業であればあるほど債権者である銀行からも厳しい対応を取られない
・監視役と機能するべき取締役・監査役が上がりのポジションになっており馴れ合いが生じる
・地方の中核企業であれば競合先も存在しない
など、危機意識が醸成されるメカニズムが働きづらいのではないかと感じます。そんな中で、資金繰りに行き詰まる、赤字が常態化して自己資本が著しく減少するなど、の状況になってはじめて危機意識を持つことになります。本来もっと前に変革するための危機意識が醸成される必要があるにも関わらず、なかなか気づくことが出来ない状況が続いているケースが多く見受けられます。

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問題解決のための新たな取組

この問題を解決するには、そういった問題意識のある人材を登用して、外部の力を活用して、意識を変えていくことが唯一の方法になると思います。しかし、単純に人材を紹介したとしても上手くいかないケースが多いことは他のコラムでも再三書かれていると思います。そこで、日本人材機構では、地域企業への転職の心理的なハードルを軽減するために出向スキームを提案しています。
実際の事例をご紹介しましょう。ここで紹介する企業は、過去より積極的に外部(都市部の大企業)からの人材登用を進めていましたが、なかなか定着しない状態が続いていました。日本人材機構で、人材紹介の相談を受け、経営課題の整理の中で、社内の色々な方に個別に話を伺ってみたところ、転職者の受け入れ体制が整備されておらず、入社間もなく社内で浮いてしまい、それを見た経営陣が「使えない」と判断し、結局辞めさせてしまうというサイクルがあることが判明しました。
転職者も自身の人生をかけて職を変えていますので、そのような企業に是非この企業に転職して下さいとは手放しで薦められません。そこで、転職希望者をまずは日本人材機構で採用し、出向という形でその企業に送り込み、試用期間を設けて転職を促す取り組みを行いました。これは転職者にとっても企業にとっても、出向期間で相性を判断できますし、仮に合わなければ日本人材機構に戻す事もできるので、ある種の保険をかけるも可能になります。また、出向期間中も、日本人材機構所属となりますので、定着のためのフォローを行ないやすいこと、出向者⇔経営者が双方に伝えづらいことを日本人材機構の立場でお伝えすることでコミュニケーションロスを軽減できるのも大きな利点となります。
本取組はまだまだ始まったばかりで、今後地域企業への転職がどの程度進むかはまだ未知数ですし、人材が入社してから意識を変えていくには超えなければならないハードルも多数あると思います。しかし、既存の取組だけではなかなか地域企業の問題解決がはかれないなかで、地域企業との伴走をするには何が必要かを常に考えることは必要です。今後もその点をしっかり意識しながら、問題解決の一助となるよう日々取り組んでいきたいと思います。

>>>こちらもあわせてご覧ください。
地域企業が抱える問題点を伴に考える/地域企業の「伴走者」となるために〈前編〉

鈴木 峻生氏

(株)日本人材機構 創生事業本部マネージャー 鈴木 峻生

大手監査法人の金融部門で約10年、主として大企業に対する法定監査業務・アドバイザリー業務に従事。実務を通じて社会の役に立ちたいと事業会社や会計事務所に籍を移し、経理管理業務・決算支援業務、事業計画策定支援業務などの様々な経験を積む。2016年7月に日本人材機構に参画。

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