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「働き方改革」と地方のチャンスとは?/経済産業省 伊藤禎則参事官
経済産業省・伊藤禎則参事官
月刊事業構想 編集部
2018/08/09 (木) - 08:00

政府が強力に推進する「働き方改革」。その取り組み状況や、地方への影響について、経済産業省産業人材政策室の伊藤禎則参事官が解説する。

第2ステージに入った働き方改革

「人生100年時代」の到来とAI革命(第四次産業革命)によって、日本型雇用システムそのものが大きな変革を迫られている。こうした状況に対応するため、政府は2016年度から「働き方改革」を推進している。

経済産業省で人材政策を担当する伊藤禎則参事官は、「働き方改革は、長時間労働是正という第1ステージから、それを前提として、生産性・エンゲージメント・モチベーションを高めるという第2ステージに入っています」と説明する。

第2ステージにおける政府の取り組みのポイントは3つ。第一に、企業に対しては人事評価と報酬体系の抜本的改革、すなわち労働時間や勤続年数ではなく、成果とスキルによる評価を働きかけていく。第二に、働く人のニーズや価値観の多様化に対応し、兼業・ 副業やフリーランス、テレワークなど 多様な働き方の選択肢を普及させていく。そして第三に、「一億総学び時代」 に対応する教育システムや社会保障の検討・整備である。

「これまで人生のステージは、教育 (学校)、仕事(会社)、引退という3つで構成されるのが一般的でした。それが今後は、個人の状況や意欲に応じ、3つのステージを行ったり来たりすることが普通になる。つまり、『働くこと』と『学ぶこと』が一体化していくのです」

社会人には、自身のキャリアの棚卸しや体験のリフレクション(振り返り)を行い、教育機関だけでなく、出向や副業、プロボノなどの実践を組み合わせたリカレント教育に取り組む姿勢が求められるようになる。

「ライフ・シフトの著者であり、人生100年時代構想会議の有識者委員でもあるリンダ・グラットンさん(ロンドンビジネススクール教授)は、100年時代を充実して生きるためには“変身資産”が重要だと指摘します。自分についてよく知り、多様性に富んだ人的ネットワークを持ち、新しい経験に開かれた姿勢を持つことが大切です」

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高まる地方の存在感

また伊藤氏は、「働き方の選択肢の拡大とともに、地方の存在感は高まっている」と指摘する。『働くこと』と 『生きること』が一体化していく時代には、職住近接の環境があり、個人の価値観やライフスタイルを実現しやすい地方は、魅力的なフィールドだ。

すでにテレワークや兼業・副業で地方に関わる社会人は増えているが、地方では経営幹部人材のニーズも拡大している。背景には中小企業・小規模事業者の承継問題がある。日本では今後10年間に約245万人の中小企業経営者が70歳を超えるが、その約半数に後継者がいない状況だ。この問題に対して、政府は2018年度税制改正大綱で事業承継税制の抜本的拡充を実施。

事業承継が円滑化されれば、若い中小企業経営者を支える経営幹部人材が、全国、特に地方で必要とされるようになる。

「地方には『リープフロッグ型発展』(社会インフラ等の整備が遅れた国や地域において、むしろ新サービス・新技術が一気に広まること)の余地が多く残されています。働き方改革によっ て、日本の地方はまだまだ成長できると確信しています」と伊藤氏は力強く語った。

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