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桑名市ブランド戦略にみる市民全員参加のまちづくり
GLOCAL MISSION Times 編集部
2019/03/25 (月) - 08:00

人口約14万2000人、面積136.68㎢。木曽三川の河口に位置し、古くから交通の要衝として栄えてきた三重県桑名市。「地方創生」が叫ばれるなか同市では、『本物力こそ、桑名力。』をキャッチフレーズに、桑名をまちごと「ブランド」にしようと独自の取り組みを展開。中心となってプロジェクトを推進する桑名市長・伊藤徳宇さんにお話を伺いました。

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三重県桑名市長

伊藤 徳宇(いとう なるたか)さん

1976年、三重県桑名市生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、2000年(株)フジテレビジョン入社。プロデューサーとして番組制作に携わったのち、2005年退社。2006年桑名市議会議員選挙に立候補し、当選。2010年11月桑名市議会議員選挙に再選。2012年11月桑名市長選に立候補し、当選。2012年12月桑名市長に就任し、現在2期目。

全員参加の市政で「桑名をまちごと『ブランド』に!」

少子高齢化や生産年齢人口の減少、駅前が寂れ活力を失っていくなど、桑名市もまた市民生活に密着する多くの課題に直面しています。これらの課題に向き合い、桑名にかかわる全ての人が桑名に誇りを持ち、全員でまちづくりを進めていくために桑名市総合計画を策定し、7つのビジョンを掲げました。そのなかのひとつが、桑名をまちごと「ブランド」にしようと取り組む桑名市ブランド戦略です。桑名にある素晴らしい素材を見つけ出し、磨き上げ、発信することで価値を高め、誇りを持てるまちにするため、市民全員参加で取り組んでいます。

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ブランドコンセプト『本物力こそ、桑名力。』に込めた想い

桑名市には、豊かな自然、おいしい食材、今に受け継がれる歴史や伝統文化、全国有数のレジャー施設、快適な住環境など日本はおろか世界に向けて誇れるたくさんの魅力と資源があります。たとえば、戦国時代最強の武将として熱烈なファンを持つ本多忠勝は、伊勢国桑名の初代藩主です。同じ時代に名をはせた「妖刀村正」は桑名の刀工がつくったもので、市内にはその銘が刻まれた刀剣類が数多く遺されています。これらの歴史的なエピソードに限らず、まちの人にとっては当たり前すぎて発信していない面白い「本物」が、まだまだたくさんあります。そのように、ただあるだけになっている「本物」を、桑名が持つ力としてとらえ、「本物」として生かしていこう。桑名らしく、より誇りを持てるまちにしていこう。その思いを『本物力こそ、桑名力。』という言葉の、とくに「力」という文字に込めました。

「本物力」アップの鍵を握るブランド戦略3つのポイント

ブランド化を進めるにあたって、力点を置いているのが「魅力発信による地域イメージの向上」「観光客の誘致促進」「首都圏における桑名市の魅力発信」の3つです。どのような方法で桑名の魅力を発信し、イメージアップにつなげるか。昔ながらの商店街があり田舎の雰囲気も楽しめること、名古屋に近く交通の利便性に恵まれていることなど、まちとしての暮らしやすさは桑名の魅力です。全国2位の動員数を誇るテーマパークがある一方で、古くからの伝統文化が残されているなど、観光面での魅力もあります。とにかくいろんな価値を総動員して人に来てもらえる場所、住んでもらえる場所にしていこうと考えています。このとき重要なのが発信の仕方。SNSで細かく発信していますが、それだけではもったいない。より感度の高い人に向けて情報発信することが大切ではないかと、首都圏からの発信を項目に加えました。
観光にとって一番大事なことは、まず一度来てもらうことです。どこに行こうか考えたときに、1800近くある市町村の中から選ばれるには最初の1歩が肝心。感度の高い人たちに「あそこいいね」と思ってもらえると、一気に広まるのではないかと期待し発信しています。今回、大河ドラマ「いだてん」のロケ地として使われたことは、観光誘致につながる魅力発信として、とても大きな1歩になりました。

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従来の自治体PRとは一線を画すポニーキャニオンとの提携

今回、桑名市のPR事業に関しては、名乗りを上げてくれた事業者の中から、ポニーキャニオンの提案を採用しています。自治体PRを民間業者に委託するのは珍しくないことですが、テレビ局にいた人間からすると、その多くが無難な提案という印象でした。そんななか、ポニーキャニオンは、その発信方法を含め従来のものとは全く異なる内容で、衝撃的に面白くクオリティの高さを感じました。今回の提携は桑名市のブランド戦略においても大きな起爆剤になってくれると期待しています。

「食・物産」「歴史」「祭」の3つをテーマに桑名の魅力を発信

ポニーキャニオンに委託し展開しているのが首都圏におけるPR事業です。2018年10月25日にマスコミや旅行関係者に向けて概要を発表したのですが、2018年度は「食・物産」、2019年度は「歴史」、2020年度は「祭」をテーマに桑名市の魅力を発信していきます。
「食・物産」「歴史」「祭」のテーマで桑名の魅力を発信するにあたって、キーパーソンとなる3名の方に「魅力みつけびと」に就任いただきました。「食・物産」は京都を舞台にした「鴨川食堂」などの作品で知られる小説家の柏井壽さん。「歴史」はRHYMESTERのラッパーでプロデューサー、俳優でもあるMummy-D(マミーディー)さん。「祭」は白洲次郎・正子夫妻と小林秀雄の孫で、文筆家・美術評論家の白洲信哉さんにお願いしました。

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(左)柏井 壽さん (中央)Mummy-Dさん (左)白洲 信哉さん

「魅力みつけびと」の3氏には、実際に桑名で体験取材をしていただき、感じたことをリアルに発信していただく予定です。柏井さんは既に何回もいらしていて、朝市の「三八市」で私もびっくりするぐらい買い物をしていました。ハマグリは最初に鍋をおすすめしたのですが、「フライが美味しい。これはすごいよ、カキフライとはレベルが違う」と絶賛。地元の人間がハマグリを食べるときは、酒蒸しや鍋、焼きが一般的で、フライにすることはあまりないので、感度の高い人が桑名の魅力を見つけて、「これ、最高だ!」と熱く語るのを聞けたのは嬉しかったですね。柏井さんは、桑名へ訪れたことがきっかけで、代表作「鴨川食堂」を連載する月刊文芸誌「STORY BOX 3月号」(小学館)で桑名のはまぐりをテーマに執筆してくれました。予想外の展開に我々も驚いています。
Mummy-Dさんと白洲さんも、体験を通じて色んな形で発信してくれることを期待しています。まずは「魅力みつけびと」の方々に桑名の熱狂的なファンになっていただいて、感度の高い読者やリスナーの方々が反応して、桑名に行ってみようと興味をもってもらう。3人の熱が伝わり人を動かす、そんな3年になるのではないでしょうか。

理想の桑名市像を追求。全人口14万2000人がプロデューサーに

「本物力こそ、桑名力。」と、自信をもって発信できることを全市民で創りあげていく。壮大な構想ですが市民一人ひとりが桑名の魅力に気づいて、その魅力を高めるためにアクションを起こす。一人ひとりが桑名を良くするために、動いていけるようになることが目標です。
抽象的で分かりにくいかもしれませんが、私たちが追究するのは「より理想の桑名市像」。「みんなが思う桑名を、みんなでつくっていこう!」ということがテーマなので、どこかと比較して一番を目指すのではなく、桑名がより理想へと近づくために足りないことはなにか、必要なことはなにかを市民みんなで考え、ともにつくっていく。桑名を“プロデューサーが14万2000人いるまち”にできたら最高ですね。それだけプロデューサーがいれば、私がいなくてもまちはどんどん元気になるでしょう。みんなが動いて頑張って、楽しくしようと思える。桑名をそういうまちにしたいですね。

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桑名市の『本物力』を体験できるおすすめスポット6選

名産のはまぐりをはじめ、上げ馬神事で知られる多度祭など、桑名の本物力を体験できる6つのおすすめスポットをご紹介します。

(1)三八市(桑名寺町通り商店街)
昭和30年から60年以上続く歴史ある商店街。南寺町・北寺町にわたって続くアーケードの通りに、和菓子店や衣料品店、惣菜店など36店舗が軒を連ねます。毎月3と8のつく日は、近隣の農家や地元の商店も加わり出張販売を行う人気の朝市「三八市」を開催。商店主との会話を楽しみながら“モノを買う”、商店街ならではの人情味あふれるふれあいを求め、遠方からもファンが訪れ賑わいます。ここでは、「十楽市」や「寺町マルシェ」なども開かれます。

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(左上・右上)江戸の元禄時代から続く昔ながらの製法を守りながら、次々と新商品も生み出す「貝新フーズ」。深炊き濃口のあさりのしぐれ煮は商店街でも大人気の一品 (左下・右下)はまぐりのむき身とじゃがいもをカレー味で仕上げた「桑名コロッケ」のはまぐりカレーコロッケは絶品。他にもなばなや黒のりしじみなど、桑名の名産を使ったこだわりのコロッケが味わえる

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「市民のみなさんの憩いの場、そしてまちのシンボルとして、これからも商店街を盛り上げていきます」と語る、寺町通り商店街振興組合 理事長の佐藤博之さん

【住所】桑名市南寺町、北寺町 ほか
【URL】http://teramachi38.html.xdomain.jp/
※商店街についての詳しい情報はホームページを参照

(2)六華苑
六華苑は大正2年(1913年)に建てられた二代目諸戸清六の邸宅です。設計は鹿鳴館を手がけたイギリス人建築家ジョサイア・コンドル。揖斐・長良川を望む1万8000㎡に及ぶ広大な敷地には、4層の塔屋をもつ洋館と和館、蔵に離れ屋、池泉回遊式庭園が広がり、明治・大正期を代表する貴重な遺構として、国の重要文化財に指定。施設は一般公開されているほか、現在放送中の大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」のロケ地にも使用されています。

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【住所】桑名市大字桑名663-5
【TEL】0594-24-4466
【利用時間】9:00 ~ 17:00 ※最終入苑16:00まで
【休苑日】月曜※月曜が祝祭日の場合その翌日
【料金】一般(高校生以上)460円、中学生150円
※団体(20人以上)の場合/一般 390円、中学生 70円 ※小学生以下は要付き添い
【URL】http://www.intsurf.ne.jp/~rokkam/

(3)多度大社
5世紀後半に創建された歴史ある古社。「お伊勢参らば お多度もかけよ お多度かけねば 片まいり」と謡われ、北伊勢地方の総鎮守として崇められています。農作物の豊凶を占う「上げ馬神事」で知られる「多度祭」や秋の「流鏑馬祭」、神の使者である白馬が幸せを運ぶ「白馬伝説」などもあり、馬との関わりが深いことでも有名。伊勢国の一宮であり、その信仰は伊勢国に限らず美濃国・尾張国・志摩国にも広がっていました。

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【住所】桑名市多度町多度1681
【TEL】0594-48-2037
【URL】http://www.tadotaisya.or.jp

(4)和風ステーキ&洋食の店 いまい
良質な国産牛をお値打ち価格で味わえる和風ステーキと洋食のお店。厳選した良質な国産牛を炭火で焼き上げたステーキやハンバーグはもちろん、牛脂で揚げたはまぐりフライも絶品。店内はカウンターやテーブル席のほか、お座敷や掘りごたつも用意。おひとり様から小さな子ども連れのファミリーまで、落ち着いた雰囲気のなか、くつろいで食事を楽しめます。

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(左)国産牛のステーキは、噛み締めるたびに牛の旨味が溢れる逸品 (右)殻を剥いてすぐに牛脂で揚げたはまぐりならではの、柔らかな食感と旨味が口いっぱいに広がる

【住所】三重県桑名市東方船着町1064-18
【TEL】0594-22-3177
【営業時間】11:00〜14:00(LO 13:45)/17:00〜21:00(L.O 20:30)(毎週火曜定休)
【URL】https://www.steak-imai.com/

(5)歌行燈(うたあんどん)本店
明治10年、うどん屋「志満や」として創業。文豪・泉鏡花が、明治末期の伊勢路・桑名を舞台に描いた小説「歌行燈」に登場したことから、屋号を「歌行燈」に改め当時の風情を大切に守り伝えています。地元・桑名から東海や関東、さらに海外へと店舗を拡大。現在、国内外で54店舗を展開。本店では桑名名物の地蛤をふんだんに使った料理を提供。「忘れられない味」と全国各地からファンが訪れます。

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(左)目の前で丁寧に焼かれた肉厚のはまぐりは、ぷりぷりで箸が止まらない美味しさ (右)はまぐりのエキスがしっかり滲み出た旨みたっぷりのお出汁は、最後の一滴まで飲み干したくなる深い味わい

【住所】桑名市江戸町10番地(本店)
【TEL】0594-22-1118
【営業時間】11:00〜21:30(LO 21:00)
【URL】http://www.utaandon.jp/

(6)はまぐりプラザ(桑名市城東地区複合施設)
桑名駅から車で約10分。揖斐・長良川河口に面した複合施設です。施設内には桑名の漁業を展示紹介する漁業交流センターのほか、趣味の講座やサークル活動の場である「桑名市城東まちづくり拠点施設」を併設。展望デッキからは揖斐・長良川河口の絶景を一望できます。また、館内の「食堂はまかぜ」では、目の前の港で水揚げされた新鮮な魚介をお手頃価格で味わえます。

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(左上)揖斐・長良川河口が一望できる絶好のロケーション (右上)施設内に併設された漁業交流センターには昔のはまぐり漁道具や延縄船の模型なども展示されており、はまぐり漁業の歴史や文化を楽しく学ぶことができる (左下)食堂はまかぜでは、焼きはまぐりをはじめ具だくさんのしじみ汁やはまぐり磯辺揚げ、はまぐりフライ、はまぐりエキスたっぷりの酒蒸し、あさりの炊き込みご飯など、新鮮魚介のフルコースが味わる (右下)「市民の皆さんの漁業を通したふれあいの場として様々なニースにお応えしていきたい」と語る、はまぐりプラザ事務局の水谷博之さん

【住所】三重県桑名市赤須賀86-21
【TEL】0594-22-6010
【営業時間】食堂はまかぜ/11:30〜13:30(毎週火曜定休)
【URL】http://hamaguri-plaza.com/

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