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持続可能な地域循環型共通ポイントシステムの展開/地域活性機構 リレーコラム
亀和田 俊明
2019/01/04 (金) - 08:00

わが国では今、人口減少や少子高齢化という大きな問題に直面するなか、電車やバスなど交通インフラの危機、空き店舗が顕在化する商店街、空き家が増える街並み、後継者不足などから生じる耕作放棄地、地域に根付いた伝統産業の衰退、失われていく祭事などローカルのさまざまな課題をいかに解決し、持続可能なまちづくりをどう推進していくかが問われています。新しい年の初めに、こうしたことに触れてみたいと思います。

従来の地域活性化の問題点解決の地域循環型共生システム

地域活性機構では、さまざまな地域の活性化、持続可能な社会とまちづくりの推進、SDGsの目標の一つ「住み続けられるまちづくりを」サポートするために、これまでにない新たな地域イノベーションの創出を目指していますが、その一つが全国共通ポイントシステムを活用することによる「持続可能な地域循環型共生システム」の構築で、従来の問題点(注釈)を解決すると同時に、地域が自主的に活動するマインドを育んでいくことができるものです。

住民が生き生きと活動でき、健康で元気な地域社会づくりを行うために、「地域循環型共生システム」を構築します。全国共通ポイントシステムを活用することで、市民生活における消費動向や行動動態がデータベース化され、実態を見える化できます。この見える化したデータベースを活用することで、「地域循環型共生システム」が構築できることになります。併せて、店舗側での利用実績が把握でき、さらに地域全体での利用実績の把握も可能になります。

【注釈】従来の地域活性化の取り組みにおける問題点

●ほとんどの取り組みや活動が一過性のもので、データベース化されていないため、同じことの繰り返しになり、持続可能な取り組みにならず、実施するごとに常に同様の費用がかかる。
●顧客データや利用データがないため、実績を分析することができず、リピーター化することやタイムリーな販促情報が提供できないなどデータベース・マーケティングができていない。
●地域活性化の取り組みにかかる費用を自治体に依存しているのが実情で、市民が自主的に活動する意欲を醸成することができず、継続的にお金を生むことができていない。

特に地方では、人口減少及び高齢化率の高い社会を維持するために持続性のある地域循環型社会システムの構築が必須です。また、近隣地域を含めた広域連携や首都圏との交流を促進させることも重要になるほか、観光資源を活用することでインバウンド需要を取り込む必要もあります。外貨獲得(外部からの収入確保)の促進なしには、地域の活性化は難しくなります。そのための地域データベースの構造として、地域全体で観光客情報を把握することは重要です。

地域内の店舗、或いは企業単位での顧客情報の収集や活用といえば、ある意味では 「点」での取り組みに過ぎませんが、これを地域全体に広げますと「面」からの取り組みに変貌していきます。地域を大きな「面」として捉え、「面」としてのブランディングやマーケティングの展開を図ることが、これからの地域の戦略にとっては大きなアドバンテージになるといえるでしょう。

官民あげてクルーカードで地域活性化へー宮城県・気仙沼市

地域活性機構が取り組む具体的な実施事例には、宮城県の気仙沼市役所などと提携して地域データベースを活用したマーケティングとして取り組んでいる 「気仙沼クルーカード」があります。東日本大震災から復興へ進む人口約6万4千人の気仙沼市では、官民あげて地域活性化に取り組んでおり、市役所、商工会議所及び観光コンベンション協会で構成する気仙沼版DMOを推進する気仙沼観光推進機構が主体となって、地域及び観光振興を図っています。

「気仙沼クルーカード」は海と生きる街・気仙沼を一つの大きな船になぞらえ、「気仙沼とつながるすべての人たちへ贈る乗組員証」という考えのもとに発行されるポイントカードです。地元の店を応援するこの取り組みは市内の飲食店や土産物店、宿泊施設などの加盟店で使えるほか、ネットショッピングでもポイントがためられ、ポイントを使わずに失効してもポイントは全額、気仙沼市に寄付されるものです。

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「気仙沼クルーカード」

このカードの最も大きな特徴は、日本で初めて加盟店グループ全体で市民のデータベースを活用する構造になっていることです。従来型の入会店舗に会員が紐づくだけではなく、気仙沼観光推進機構(加盟店グループ全体)と会員が紐づく構造にしているため、各加盟店を利用した会員全員をターゲティングできるようになっており、この「観光データベース」を活用することで、観光による地域づくりを戦略的に推進していくことが可能になります。

現在約1万6千人のクルー(乗組員)がいますが、約70の施設で使用することができます。入会金、年会費ともに無料で、さまざまなクルー限定の特典も用意されています。市内のみならず、市外の方の申し込みも受け付けており、東京や北海道、九州など遠方より復興支援で訪れた方々からの申し込みも増えていますので、今後ますますクルーも増えるでしょうし、カードを使用できる施設も増えることで、気仙沼の活性化に寄与することが期待されています。

総務省の自治体ポイントとの連携―山梨県・小菅村

また、2017年9月25日から総務省主管で自治体ポイントサービスがスタートしています。マイナンバーカードを活用して公共施設などのさまざまな利用者カードを1枚にするとともに、各自治体の健康ポイントなどをクラウド化することに併せ、クレジットカードなどのポイントやマイレージを地域経済応援ポイントとして全国各地に導入・合算し、さまざまな住民の公益的活動の支援と地域の消費拡大につなげることを目的としたものです。

地域活性機構では、2018年 2月に山梨県小菅村と提携し、このような自治体ポイントが利用できる新しい「地域循環型ポイントサービス」を5月から展開しています。日本航空、全日本空輸、NTTドコモ、ジェーシービーカード、関西電力、サイモンズ等の企業ポイントを利用者のID等を格納するマイキープラットフォームに合算して、全国の地域で利用できるという汎用性に富んだ仕組みになります。

小菅村では、自治体ポイントが加算され、村内の道の駅等で利用できる村民が持つ『こすげ村人ポイントカード1/1』と村民外の方が持つカードで、提携している村外の加盟店でも利用ができる『こすげ村人ポイントカード1/2』の2種類のカードがあります。村民の方々には自治体ポイントをためて利用できるようにし、村民外の方々には村外でのポイントをためて、村内で利用できるようにしたりすることで村の活性化に取り組んでいます。

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村民が持つ「こすげ村人ポイントカード1/1」

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村民でない方が持つ「こすげ村人ポイントカード1/2」

人口718人の小菅村ですが、2015年度に策定した地方創生総合戦略の「分数住民」の概念を掲げたことことから過去3年間は、毎年人口が増えているといいます。「こすげ村ポイントカード」は、この流れを加速させるために導入されており、マイナンバーカードの地域ポイントとも連携されているほか、有効期限が切れて失効したポイントは小菅村に寄付され、多摩川源流域の自然保全や村内外の方に向けたサービス向上に役立てられます。

ローカルならではの課題を抱える地域をサポートへ

前述の気仙沼市や小菅村の事例では、地域活性機構はサイモンズのシステムを利用しています。同社は、既に北海道の伊達市や鷹栖町、当麻町、青森県の七戸町、鹿児島県の垂水市、沖縄県の竹富町などの地方自治体で実績のある共通ポイントシステムを活用して地域活性化に貢献している企業です。

地域活性機構ではローカルならではの課題を抱える地域の活動をお手伝いするために、サイモンズのシステムを利用し全国共通ポイントシステムを活用した持続可能な「地域循環型共生システム」構築に取り組んでいます。また、地域ビッグデータを積極的に活用した地域分析をベースに、地域の課題を定量的に明らかにし、活性化施策のプライオリティーを提示するとともに地域ステークホルダー参加型の問題構造の具体的な解決を図っていきます。

共通ポイントサービスの展開により地域社会のデータベース構築が容易になりますし、地域ポイントの循環網の活用で持続可能な地域社会の構築ができるばかりか、地域経済の活性化を促進するとともに、失効ポイントが新しい社会活動の原資にもなります。今まで失効ポイントが社会貢献につながることはありませんでしたが、この「地域循環型共生システム」により意義のある活動を下支えすることができます。

地域活性機構では、内閣府など国の機関をはじめ、地方自治体や地域の大学、団体、企業などと有機的な連携を深めながら個々の具体的な地域課題の解決をサポートしていくことを目的としていますので、地域循環型ポイントイントシステムばかりでなく、地域でのさまざまなお悩みの解決、活性化策の具体的な方法についてご検討されている自治体や団体などの皆さま、是非、当財団へアクセスいただくとともにご活用ください。

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