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次世代に繋ぐ街をデザインする
YAMAGATA DESIGN株式会社
荒木 三香
2018/03/19 (月) - 08:00

2018年秋OPENのコミュニティホテル「SUIDEN TERRASSE(スイデンテラス)」や、子育て支援施設「KIDS DOME SORAI(キッズドーム ソライ)」を手がける、まちづくり会社「ヤマガタ デザイン株式会社」。資本金10万円で創業し、3年間で地域から23億円もの投資を集めた「完全地域主導型・まちづくりプロジェクト」を推進しています。

未整備の広大な土地に、ハイスピードで新たな風を

バイオベンチャー企業などが集積する、山形県鶴岡市のサイエンスパーク。21ヘクタール中、未整備だった14ヘクタールについて民間企業であるヤマガタデザイン(以下YD)が開発を担い、複数の事業が同時進行で展開されています。2017年9月、同パークから3キロ離れた水田地帯に、地元食材を使った農村カフェ「IRODORI(イロドリ)」をOPEN。このカフェや、今秋OPENするホテルで提供する野菜の自前生産も見込み、農業分野の展開も計画。また「パークサイド・ヴィレッジ」というシェアリビング付きの賃貸マンションも建設。UIJターンが半数を占める社員が、社宅としても入居するこの施設では、週末の孤独を感じさせない場として、シェアリビングの存在は喜ばれているそうです。

32名のスペシャリスト集団であるYDが進める「完全地域主導型・まちづくりプロジェクト」。最も驚くべきことは、中央資本でもなく、行政主導でもなく すべて地元の投資で運営する“完全地域主導”であり、すべてを民間企業が開発する全国初の巨大プロジェクトである、ということ。NPOなどが得意とする、経済の伴わないコミュニティデザイン重視の手法でもありません。当初まだ無名の民間企業が、ハードとソフトをすべて同時に行うという前代未門のプロジェクトに対し、なぜ ここまで地域の方々が賛同してくれたのでしょうか? その背景と、この企業の魅力、そして誰もが惹きつけられる代表、山中大介氏の求心力について迫ってみました。

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最初から、このためにIターンしたわけではなかった

大学卒業後、三井不動産株式会社に入社し、郊外型大規模商業施設の開発・運営業務をしてきた山中氏。次々に全国に拡がるショッピングセンターを手掛けるなか、地元の商店が疲弊していく現実に、「自分のやっていることは何なのか?」と疑問を持ち始めました。
そんな折、親友の父親でもある、慶應義塾大学先端生命科学研究所所長の冨田勝さんからの「鶴岡が熱いから、一度見に行かないか」との声掛けにより、山形県庄内エリアにあるサイエンスパークを見学することになります。その後、東京からこの地域の「Spiber(スパイバー)株式会社」というバイオベンチャー企業に転職することになるのですが、来て早々知ったことは、行政主導で開発が進められ、地元の希望の光でもあったサイエンスパークの、約6割もの土地が手付かずであるという現実。県と市が今まで以上のスピード感で投資することが難しく、誰も答えを出せずにいました。そんななか、東京からIターンで来たばかりの、不動産会社での開発経験を持つ山中氏に声が掛かり、そこから瞬く間にYDが設立され、次々と多角的なプロジェクトが展開されることになります。

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「まちづくり」「人づくり」という言葉は嫌いだった

今ではすっかり「まちづくり会社です、といっていますが、もともとは僕、まちづくりって言葉が嫌いだったんです。まちづくりとか、人づくりとかって、なんか胡散くさいじゃないですか(笑)」。そんなことを爽やかな笑顔でユーモアたっぷりに話す山中氏の言葉の裏には、利益だけを求める一部の企業のハード中心のまちづくりも、理想だけを追うソフト中心のまちづくりも「どちらかだけでは、決して成り立たない」という、前職時代に痛感していた、彼自身の確固たる想いがあったのではないでしょうか。

YDの手掛けるプロジェクトは、ここではすべて紹介しきれないほど魅力的な複数の事業が、同時進行で進められていますが、この会社のメンバーも実に多種多様な人材ばかり。年齢層も幅広く、ホテル会社、マスコミ、NPO、海外からのUターンその他、全国からのUIJターン者と、地元の人で構成された専門家集団です。共通しているのは「地域や未来」に対し、希望と責任を感じている人ばかりということ。

この企業が掲げるミッションは「山形庄内で次世代に繋ぐ街をデザインすること」。そして、大切にするポリシーは「地域の投資、地域の人財、地域の魅力で街をつくること」。まさに、山中氏のこだわる理念に賛同する者だけが仲間になっている、まちづくり会社です。

この日の説明会に居合わせたメンバーの、「この会社に入って良かった」「鶴岡に住んで良かった」「この選択に家族も大満足」「以前より間違いなく働きやすくなった」という、本心からの言葉。その声を直接聞いた参加者たちは、この企業のもつ“本当の魅力”を感じずにはいられなかったはずです。

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地域の期待を背負った、次世代に残す幸せな街づくり

地元の課題を、市からバトンタッチされ、大きな目的に向かって走り出した山中氏。
当初は「誰も本当に出来るとは思っていなかった」と、振り返ります。
半信半疑のなか、投資してくれた地元企業も多かったといいます。
ここに至るまでには、どんな想いで進んできたのでしょうか。

――このプロジェクトを立ち上げたキッカケは何だったのでしょう?

この地域の課題が行政だけでは立ち行かなくなったとき、不動産会社での実務経験を持つ山中さんなら何かできるんじゃない?みたいな話になり、じゃあ民間でやりましょうか!
って。
期待をかけられると、思わず…やります!と言ってしまうんですよね(笑)
僕はたまたまIターンでこの土地に来ただけだから、一生ここに居なくてはならない理由は一つもないかもしれないけど、地元の人はこの場所から逃げられないし、この場所で次の世代に残すための「まち」をつくっていかなければならない。僕は応援してくれれば、この場所を良くしていく自信はあったし、それを使命と感じたことが、最後の後押しになったんだと思います。それがきっと銀行をはじめ、地元の企業が応援してくれることに繋がったんでしょうね。

――「完全地域主導」ということですが、どういうことでしょうか?

はい、やっぱり「当事者意識」が大事だと思っていて、まちづくりってハードとソフトの両方が必要なんです。一時的に来て帰ってしまう中央資本の人ではなく、自分たちの住んでる場所は、自分たちがやるしかない、そのほうがいい街ができるはずなんです。だから僕たちの会社は、全員に山形庄内に住民票を移してもらってます(笑)

――YDさんのような手法で、全国で成功している地域ってあるのですか?

いや、ないですね。中央資本か、行政主導、NPO、そのどれかしかないですね。

――当初、この未知数の企業に、これだけ投資してくださったのは何故でしょう?
よほどの魅力、説得力がないと地元企業でも、なかなか応援できないと思うのですが…

どさくさにまぎれて、既成事実をつくりまくり、やるしかない状況に追い込んだんですよ(笑)
21ヘクタールあるサイエンスパークの敷地のうち、これまで16年かかった7ヘクタールの開発を、うちはわずか3年で終わらせようとしている。もう “やらねばならぬ” という思い込みです。
使命感、責任感、そして “思い込み” がベースにあると、やれるんですよ(笑)

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「挑戦」から始まった、本気の使命感と責任感

2018年秋には、星野リゾートで、あらゆるノウハウをもって活躍されていた市川弘行氏が総支配人を務めるコミュニティホテル「SUIDEN TERRASSE」、そして地元の親子らも待望の子育て支援施設「KIDS DOME SORAI」がOPENします。世界的建築家の坂茂(ばんしげる)氏がデザイン、設計した各施設。説明会のプレゼンテーションを聞いても、山中氏のお話を伺っていても、とにかく誰もがワクワクするような施設と、まちづくりデザイン。
この日の進行役を務めた、広報部門長であり元NHK報道記者の長岡太郎氏が、前職中に取材で来た際に山中氏の話と人柄に感動し、3日でこの会社に転職することを決めた、というエピソードがうなずけます。

山中氏は「挑戦」について、こういいます。
「自分のためだけじゃできないが、“やらねばならぬ”という想いがあると、人はできる」
それは、使命感、責任感、そういうことから、はじめてチャレンジする勇気が沸く、と。

『ノブレス・オブリージュ』。直訳すると「責任あるものが、負うべき義務」
「完全地域主導の街づくりは、一つの手段。今を生きる私たちが、未来を考え行動する。
それが、すべての始まりです」これらはすべて、山中氏が大事にされていることです。

ユーモアと説得力を備えた、山中氏自身の人間性。そして何より、次の世代に幸せな街、すなわち、地域の人と人、人と自然をつなぐ未来の街づくりを本気で成し遂げようとする揺るぎない使命感と探求力。そこに掛け合わされる、この企業ならではのスピード感と柔軟性が大きなパワーとなり、“信頼感”を生むのではないでしょうか。
「SUIDEN TERRASSE」や、子育て支援施設「KIDS DOME SORAI」のOPENに伴い、YDでは、一緒に働く仲間を募集しています。このプロジェクトに興味のある方、UIターンを検討中の方、ぜひ一度、この企業の説明会などに参加してみてはいかがでしょうか。

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山中 大介(やまなか だいすけ)さん

1985年生まれ、東京都出身。2008年3月に慶應義塾大学環境情報学部を卒業。同年4月、三井不動産株式会社へ入社。郊外型大規模商業施設の開発・運営業務に従事した後、「社会のために生きたい」という信念の下、山形県庄内地方へ移住。2014年8月不動産開発・運営会社YAMAGATA DESIGN株式会社を設立し、代表取締役に就任。現在は庄内サイエンスパーク開発事業を推進中。地域経済から街づくりをデザインする全く新しい都市モデルにより、真に豊かな社会の創出を目指す。

YAMAGATA DESIGN株式会社

「山形庄内で、次の世代に繋ぐ街をデザインする」ことをミッションに、50年後、100年後を見据えた完全地域主導の街づくりを推進。2014年8月に会社を設立してから現在に至るまで、描いたビジョンの実現に向け、一つ一つ歩みを進めている。

住所
山形県鶴岡市覚岸寺字水上246-2
設立
2014年8月6日
企業HP
https://www.yamagata-design.com/

Couleuve  -クルーヴ-  代表
NPO にじ色キャンパス  代表
キャリアコンサルタント

東証一部上場オフィス構築専門商社にて、オフィスデザイナーとして「働く空間」を提案。東京・札幌・千葉・神奈川で複数の職種・雇用形態を経験したのち、夫の転職で山形へ移住。色彩心理学を元にしたセラピーや、心理カウンセリングを行う為、起業。同時期に東日本大震災復興支援のためのNPOを設立、行政や中間支援団体等と協働した支援活動にも取り組む。日本ストレスチェック協会のファシリテーターとして、ストレスマネジメント、メンタルヘルス講座等の開催、キャリアコンサルタントとしての活動も開始。その他 数種の教室運営など自らが、地方移住で複業とパラレルキャリアで活動中。

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