街と人をつなぐ、「関係人口」という関わりしろ。(後編) ~プロジェクトがもたらした変化と新潟市の未来図~
新潟市 経済部雇用・新潟暮らし推進課 井部智さん/地域おこし協力隊 MJさん
GLOCAL MISSION Times 編集部
2026/03/27 (金) - 11:46

行政・民間・地域おこし協力隊という三者体制で動き出した「副業カンケイ人口プロジェクト」。前編では、人口減少という課題に立ち向かう新潟市の戦略と、その「橋渡し役」を担う協力隊の想いに迫りました。 

>前編の記事はこちら

後編では、プロジェクトを通じて起きた市内企業の変化や、外部人材がもたらした意外な効果、そしてこの先に描く新潟市の未来図についてお話を伺います


「よそ者の視点」が地域の価値を照らし出す

―3年間の歩みの中で、参加した市内企業にはどのような変化がありましたか?

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井部さん:最初は「市の事業だし、少し試してみるか」という半信半疑の企業さんも少なくありませんでした。しかし、副業人材の方がプロの視点で真摯に向き合う姿を見て、オーナー企業の皆さんがどんどん前のめりになっていく。「ここまでやってくれるなら、自分たちも本気で変わらなきゃ」と相乗効果が生まれていく様子を、毎年目の当たりにしています。

MJさん:事業の認知も広がりましたね。他県から問い合わせが来ることもあります。でも、実際は、副業人材を受け入れることへの不安を感じている企業さんがまだ多いのも事実です。

井部さん:成功事例をしっかり発信して不安を取り除いていきたいですね。

MJさん:新潟の魅力は、食の豊かさはもちろんですが、何より大きいのは“人”。観光資源が「人」だと言える街は実際にあって、新潟市はまさにそういう街だと感じます。だからこそ、新潟市民の方々にぜひ会ってほしいですね。でも、新潟市の方々自身がその良さに気づききれていない場面もあると思います。日々の豊かさが当たり前になっていて、つい文句が先に出てしまう。でも外から見ると、その“当たり前”がとても魅力的に映るんです。

井部さん:そういった目線は地域の人や地域のオーナー企業の盲点ですよね。このプロジェクトが面白いのは、行政や地域の視点だけでなく、外部人材や地域おこし協力隊といった「よそ者の目線」が加わるところです。外の目が入ることで、見慣れた風景や文化が新鮮に捉え直され、「そういう価値があったのか」と気づかされることが多いんですよ。ですから、副業人材から外部の客観的な目線で助言してもらいながら、課題解決まで伴走していただけるのは、この事業の大きな強みです。

過去のプロジェクト詳細>https://niigatashi-kankeijinkou.jp/

―参加した「副業人材(関係人口)」の方々には、新潟市に関わることでどのような変化が見られましたか?

井部さん:事後のアンケートでは、参加者の9割以上が「新潟市への印象が良くなった」と答え、全員が「今後も関わり続けたい」と回答しています。プロジェクトオーナーである市内企業の皆さんからも、「大変なこともあったけど、やってよかった」と言っていただけました。SNS発信の支援などプロジェクト終了後も業務委託として契約を継続してくれるケースも生まれています。

MJさん: プライベートで家族を連れて新潟へ遊びに来てくれたりする方もいます。仕事の枠を超えて、新潟が「自分の気になる場所」になっているのは嬉しいですね。

<新潟市の「関係人口」となった過去のプロジェクトメンバーたち>
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このプロジェクトの先にある未来

―3年間にわたる試行錯誤を経て、副業人材の活用は単なる「施策」から、地域を動かす「確かな手応え」へと変わりつつありますね。この事業が描くその先の未来、そして新潟市をどのような街にしていきたいと考えていますか? 

井部さん:副業人材の活用が、新潟市の企業にとって「当たり前の選択肢」になってほしいです。人手が限られる中でも事業を継続する手段のひとつとして、副業人材の活用がすぐに頭に浮かぶくらい定着してほしい。そうなれば、いろいろな地域から新潟のために力を貸してくれる人が増え、関わる人や訪れる回数も増えていきます。結果として経済が回り、地域が元気になる。ゆくゆくは「新潟っていいな」と感じてもらい、UターンやIターン移住につながれば最高ですね。

―関係人口から始まり、滞在時間を延ばし、やがてファンになってもらう。その仕掛け作りが次なるステップですね。

井部さん:この3年間で築いた実績や人とのつながりは、大きな財産です。この経験を無駄にしたくありません。来年度以降は、マッチングの仕組みをより自走できる形にしながら、成功事例やメリットを市内事業者に広く伝え、活用への意識を高めていきたい。取り組みを市内外に発信し、「副業人材を歓迎する新潟市」というイメージを定着させることで、市内事業者と副業人材が直接つながる流れをつくりたいと思っています。

市内企業が外部人材を多様な人材活用の一つとして取り入れ、自社の成長につなげる。その積み重ねが、関係人口の創出・拡大、そして将来的な移住につながっていく。そんな未来を目指しています。


地域の課題解決が自身の成長につながる

―最後に、これから一歩踏み出そうとしている都市部の副業人材の方々、そして変革を模索している市内企業の皆さんへメッセージをお願いします。

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井部さん:まずは、都市部のビジネスパーソンの方々へ。単なる観光ではなく、一歩踏み込んで「地域の課題解決」に関わることで、新潟市をより深く知り、人とのつながりも濃いものになると思います。実際、参加した方からは「専門分野が異なる多様な副業人材同士との関わりを通じて、自分自身も非常に勉強になった」という声が多く聞かれました。地域との関わりを単なる社会貢献にとどまらず、ご自身のスキルを試し、成長を感じる場として活用していただきたい。それは、新しい気づきや自身の変化、成長を感じていただける機会になるのではないかと思います。

また、市内企業の皆さんへ。「副業人材」という言葉にハードルを感じるかもしれませんが、外部の知見を取り入れることは、今や有効な成長戦略の一つです。新しい風を取り入れることが、会社の、そして地域の成長につながります。私たちはそのハードルを少しでも下げるために尽力してまいります。

MJさん:本業のスキルを地域のために使い、現場で「ありがとう」と直接感謝される喜びは、何物にも代えがたい経験になります。私自身、新潟に来てから強みも弱みも発見でき、キャリアを見つめ直す素晴らしい機会になりました。私自身、関係人口から始まり、今新潟市民としてここにいて感じるのは、新潟は本当に温かく魅力的な街だということです。もし迷っている方がいたら、まずは一度、新潟市へお越しください。私がツアーを組んでご案内しますよ(笑)!

新潟市と外部人材、そしてその間をつなぐ地域おこし協力隊。三者の情熱が重なり合うことで生まれた「副業カンケイ人口プロジェクト」は、単なる仕事のマッチングを超え、新しい街の形を築こうとしています。
移住でも観光でもない、第三の関わり。そこには、まだ見ぬ自分の可能性や、かけがえのない絆が待っています。この「交差点」から、どんな新しい物語が動き出すのか。新潟市の挑戦は、これからも続いていきます。


事業概要はこちら:https://niigatashi-kankeijinkou.jp/
事業の様子はこちら:https://www.instagram.com/niigata_kankei_pjt/

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