お客様を驚かせたい、楽しませたい。食を通じて、幸せの輪を広げる「食産業」をめざして(後編)
GLOCAL MISSION Times 編集部
2022/01/24 (月) - 14:00

「ハンバーグレストラン びっくりドンキー」を中心に、全国に店舗を展開している、株式会社アレフ。同社がめざすのは、単なる外食産業ではなく、人を良くする「食産業」。後編では、生産者と社員の交流や多店舗展開を成功させた秘密、今後のビジョンなどについて、びっくりドンキー店舗運営部 関東ゾーン 第1・第3エリアリーダー*堀 雅徳さんにお話をうかがいました。

*2019年5月当時

社長の想いを反映した「Good Job 手ぬぐい」

株式会社アレフには、ボイス・オブ・カスタマーという仕組みがあります。びっくりドンキーのお客様の声を経営に反映させるために導入したもので、実際に本部で考えたことが現場に落ちているか、お客様に本当に喜ばれているのか、「声を聞こう」という会社の姿勢から生まれています。

「お客様の声は、ネガティブな意見が集まりやすいのですが、わざわざお電話をくださって、お褒めの言葉を届けてくださるお客様もいらっしゃいます。お客様の嬉しい声は会社のモチベーションになっているのは確かです。これを評価できるカタチはないか、という社長の想いから生まれたのが「Good Job 手ぬぐい」です。

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社長の想いをデザインに反映した「Good Job手ぬぐい」

同社の社長は、「人と違うことをしていく」を学んできた人だと、堀さんはいいます。例えば人がエレベーターに乗るところを、階段を使ってみる。人が右へ行くときは左に行く。

「そうすると、人と違う景色が見え、違う考え方ができ、人と違う発想ができる、という話を聞いたことがあります。非常にストイックで、一緒に山に登っても、社長は頑固。決めたことはやる。こう行くと言ったら、黙々と行くのです。」

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今回お話を伺った、びっくりドンキー店舗運営部 関東ゾーン 第1・第3エリアリーダーの堀 雅徳さん

多店舗展開を成功させた2つのエンジン

びっくりドンキーには東北・北海道を起点に展開していくなか、2つの成長エンジンがあったのだといいます。

その1つが居抜き戦略。他社が不振となって撤退したところに、びっくりドンキーが入って再生していく。その実績を活かして、また次に居抜きで入っていく。「この手法は出店のコストを抑えられるメリットがあります。びっくりドンキーに手作り感があるのは、居抜きだからこそ。画一的な形ではなく、マイナスをプラスに変えて、工夫を凝らして経営していったのです。」

もう1つのエンジンがフランチャイズ化です。

「当社の理念に共感してくれた加盟社さんが各地にいて、それぞれが地方の名士です。フランチャイズしたことも、多店舗展開の成長の柱だと思います。都心や郊外、フードコート内、ビルインなど、必要に応じて、お客様が欲しいと思ってくださるところに出店をしていくのです。」

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生産者と消費者の架け橋になる

同社は、食材の栽培や飼育において基準を作り、基準を満たした食材を仕入れ、調理して、お客様に提供しています。安く仕入れてマージンをとるのではなく、生産者に無理な負担をかけず、正当な価格で仕入れ、店舗でもその原材料に合った価格で提供し、お客様にも開示する。しっかり浸透させ賛同してもらうことで、生産者と消費者の架け橋になるのだと考えているのです。

「生産現場を見ると、それをお客様に提供する社員の気持ちも変わってくるため、工場に研修に行くこともあります。製造する過程を理解してお店に戻ると違うのです。作り手の顔が見えてくる、名前が見えてくる。ポテトサラダを見た時に、“船越さんだ!”と。すると、食材を大事に扱うようになり、正の連鎖が生まれます。社員は、生産から、製造、販売、調理、接客まで、一通り経験した方が、より付加価値のある仕事をしてくれると思います。」

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基準を設けるためには、当然、生産者の賛同を得ないと実現しません。同社が契約しているお米の生産者は約700名。

「果たしてその700名の方が満足してくれる出荷量を自分たちがつくり出せているかを考えると、もっと店を増やさなければならないと思っています。社会的使命を果たすためには店数が必要なのです。人口が減少し原材料も人件費も高くなっているなか、どのように店数を増やすかが課題です。」

人材育成に本気で投資

地方の企業は人材採用の面で苦戦することが多いなか、同社の社員数は約700名。新卒採用に力を入れてはいるものの、会社の成長とともに中途入社のスカウトが不可欠だと感じている、と堀さんはいいます。「当社が成長するために必要なノウハウと知識と経験がある方ならば、ぜひスカウトしていきたいと考えています。」

しかし、いくら良い人材を採用しても、人材育成の仕組みがなければ意味がありません。その点、同社は新入社員には1年間のカリキュラムを1週間ごとに細かく決めて伝えています。これは、右も左もわからない新入社員にとって、安心感を与える効果があるといいます。

「2、3年で店長になった場合、大きな失敗をしがちです。昔は許されましたが、今は企業として、失敗が許されない時代になってきています。だからこそしっかりと教育をして、一定の期間修行を積んで、権威を持った店長になってもらいたいのです。多くの企業は、業績不振に陥ると、教育への投資をおさえがちですが、当社は人材育成を本気でやると決めていますから、投資を続けており、そういったことも大きいのではないかと思います。」

働きやすい職場づくりが成長を促す

「月平均9~10日、社員はしっかり公休を取っています。上期下期で5連休も取れますし、年間では117日も公休があります。いい仕事をするためには、リフレッシュが大切です。納期があるから仕事をしたくても公休はしっかり休む。それは、仕事の仕方を考える良いきっかけにもなります。」

同社の正社員には4つの区分があります。全国に行く「ナショナル社員」、地域限定での「地域正社員」、子供がいるなどの理由から勤務時間を短縮する必要のある「短時間正社員」、定年後、独自で契約した「グランド正社員」といったように、それぞれの事情に合わせて区分を変えているのだそう。

女性にとっても、子どもが生まれた後も、安心して戻ることができる制度があることで、働き方の選択肢が広がったといいます。「社員の平均年齢が41.4歳。介護問題を抱える社員はこれから増えてくると思いますから、そのときにサポートできる会社でありたいと思います。」

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第2の創業期。次は600店が目標

株式会社アレフは、現在、第2の創業期を迎えています。会社に足りていない仕組みや組織を整えることで、次の600店という目標に向かって走り出しています。

「びっくりドンキーに関係する皆さんがハッピーになるためには、600店はマスト。第1の創業期は、先輩方が事業を大きく展開してくれました。」

一方で、店のレイアウトが統一できていないなどの課題も残されています。レイアウトの標準化や道具・設備の見直しを図り、多店舗化するための次の準備をしているという、同社。「これからが本当の勝負であり、自分たちのペースで目標に向かって丁寧に登っていきたいと思います。」

「私たちは社会の不足と不満を解決するためにある。当社の存在意義はそこにあり、その役割を果たしていく。それがすなわち、周りの皆さんから必要とされる存在になる、ということだと思っています。」

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