こんなはずじゃなかった!田舎移住で後悔した自然災害編
GLOCAL MISSION Times 編集部
2022/08/25 (木) - 20:00

ここ数年、ゲリラ豪雨や台風による自然災害が多く報道されるようになりました。もちろん昔も雨や風による自然災害は発生していましたが、特に近年の雨量は年を追うごとに多くなり、昔に比べて河川の氾濫や土砂災害が起きやすくなっているようにも思えます。地方に移住するということは、自然の近くに暮らすということです。河川の近くや山間部で多く発生している自然災害に、より注意が必要になります。今回は近年増えている自然災害と、田舎に暮らしながら自然災害に遭わないための工夫について考えてみました。

近年増えている自然災害

自然災害というとその範囲は広く、地震や津波、火山の噴火、竜巻、豪雪なども含まれます。ですが、近年よく耳にするようになった自然災害は、大雨や台風に関係するものが多いのではないでしょうか。大雨や台風が引き起こす災害といえば土砂災害や河川の氾濫ですが、ここではそれらを中心に取り上げます。

国土交通省が2021年に発表した「令和3年の土砂災害 」というレポートによれば、1982年から2021年に日本国内で起きた土砂災害は、年を追うごとに増えていることがわかります。このレポートで報告されている土砂災害の発生件数は、1982年から1991年が年平均897件、1992年から2001年が930件、2002年から2011年が1,150件、2012年から2021年にいたっては1,450件となっています。このレポートでは10年ごとの土砂災害の平均件数を統計しているのですが、直近10年の土砂災害の平均件数は40年前の1.6倍以上となっているのです。このように土砂災害の発生件数が増えている要因は、大雨の降る頻度と一度に降る雨量であるといわれています。具体的には、台風と線状降水帯やゲリラ豪雨といった大雨が、土砂災害の要因(誘因)となっているのです。

土砂災害の種類は大きく土石流、地滑り、崖崩れに分かれます。また土砂災害とは分けて考えられますが、河川の氾濫による洪水なども大雨が誘因となった災害です。冒頭で申し上げたように、地方に移住するということは自然の近くに暮らすということです。地方に移住する場合、このような自然災害からどのように自身や家族の安全を守っていけば良いのでしょうか?

自然災害(土砂災害)に遭わないためには

地方移住で土砂災害に遭わないためには、大きく3つの方法があります。

・自治体が発行するハザードマップを参考に移住する
ハザードマップとは、自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図のことです。ハザードマップは、国土交通省の国土地理院が作成したものや、地方自治体が独自に作成した防災マップ、被害予測図、アボイド(回避)マップ、リスクマップなどと呼ばれているものもあります。

ハザードマップには、もともとここは災害の危険性があると地元の人たちが予測している地域が掲載されています。これらのマップを参考に、土砂災害や洪水の危険性が少ない場所を移住地に選べば、高い確度で災害を避けて移住することができるでしょう。

・山間部を避け平地に近い場所に移住する
国土交通省が発表している2015年から2020年の土砂災害の内訳 を見てみると、土砂災害は、崖崩れ、土石流、地滑りの順に多いことがわかります。先出のハザードマップは確度の高い災害情報ではありますが、100%災害を予測できるものではありません。特に崖崩れや土石流、地滑りなどは、土中に含まれる水の量と事象の発生が密接に関係していて、なかなか予測しにくいものとして知られています。自然の多い場所で暮らしたいという地方移住の考え方とは相反することかもしれませんが、土砂災害を避けるのであればなるべく山間部を避け、平地に近い場所で暮らすことも必要です。

・台風や大雨で警報が発令されたら早めに避難する
最後は移住後、災害に遭わないための注意点です。近年は台風や大雨による土砂災害が増えていることが影響し、2021年から避難情報に関するガイドライン(内閣府 中央防災会議)が改定されています。2021年5月からは従来の避難勧告が廃止され、警戒レベル4の避難指示が出たら必ず避難しなければなりません。現在の警戒レベルは5段階で、レベル1は「早期注意情報(気象庁発表)」の発表、レベル2が「大雨・洪水・高潮注意報(気象庁発表)」、レベル3になると「高齢者等避難(注意報ではなく行動が促される)」になり、レベル4では「避難指示」となり、ここまでに必ず避難しなければならないと定められています。※レベル5は「緊急安全確保」で、さらに避難のレベルが上がります。

もし小さいお子さんを含む家族で移住しているのであれば、レベル3の「高齢者等避難」で避難を開始することが求められます。災害の発生が予想される状況では、自分で安易な判断をするのではなく、情報に従って早めに避難するのが一番大切なのです。

まとめ

心理学の用語で「正常性バイアス」という言葉があります。これは日常と違う異常なことが起きたときに、自分を落ち着かせる安定機能のようなもので、誰にも備わっている心の動きです。ただしこの正常性バイアスは、災害発生時に避難を遅らせてしまうという報告があります。地震や台風が来たときでも、自分だけは大丈夫だと思ってしまうのです。災害は誰にも起こりうることです。気象庁や自治体などからの情報を甘く見ず、指示が出たときにはすぐに命を守る行動を起こしましょう。

<参考>

田舎生活ねっと~暮らしの全てを教えます~
https://inaka-seikatu.aiz-web.net/demerit/181

必読! 自然災害と物件選びで知っておくべきこと
https://inaka.tkj.jp/archives/5333/

ハザードマップ(国土地理院)
https://www.gsi.go.jp/hokkaido/bousai-hazard-hazard.htm

災害情報のページ(内閣府)
https://www.bousai.go.jp/oukyu/hinanjouhou/r3_hinanjouhou_guideline/

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