自分の働き方を見直そう 燃え尽き症候群の兆候と予防とは
浅賀 桃子
2018/11/28 (水) - 08:00

晴れて独立したものの、しばらくしてやる気が出なくなってしまう、新たな問題に立ち向かうエネルギーが生まれなくなってしまうといった話を、筆者の職業柄よく耳にします。起業家に限らず、会社勤めの方などにも多かれ少なかれ「なんとなく最近やる気が出なくなってきた」という状態になることは十分あり得ることです。
昨日まで頑張っていた人が突然無気力になり、まさに「燃え尽きた」ようになってしまう状態を「燃え尽き症候群(バーンアウトシンドローム)」と呼びます。うつ病みたいだなと思われた方もいらっしゃるかもしれませんがその通り、医学的にはうつ病の一種と考えられています。ここでは「燃え尽き症候群」にならない働き方を考えてみましょう。

燃え尽き症候群の主な症状

まさに「燃え尽きた」と先ほど書きましたが、主に燃え尽きてしまうのは精神的なエネルギーであることが多いです。アメリカの社会心理学者が考案したMBI(Maslach Burnout Inventory)というチェックツールが世界的に使われており、「感情の消耗」「脱人格化」「達成感の低下」の3つの観点から燃え尽き症候群のセルフチェックができるようになっています。すなわち、この3つが燃え尽き症候群の主な症状ということができるわけです。以下でもう少し詳しくみていきましょう。

・感情の消耗
特に対人サービスの職種の方に多いといわれています。サービスを受ける側の立場を思いやり、相手の気持ちに寄り添おうとしすぎるあまり、自身の感情的なエネルギーが枯渇してしまう症状です。この症状は少しずつ現れることも、突然現れることもあります。

・脱人格化
感情的なエネルギーが消耗するにつれ、相手とのやり取りにおいてパターン化された事務的、紋切り型の対応になってしまうことがあります。この症状が進行すると人に対して冷たい態度を取ったり、相手に何が起こっても何も感じなくなったりという変化がみられるようになります。「心がこれ以上燃え尽きないように」という防御が知らず知らずのうちに働いているといえます。

・達成感の低下
上記2つの症状が進行することで、仕事のパフォーマンスが低下することは容易に想像できるでしょう。パフォーマンスが低下してしまうことで、自分の働き方に自信がなくなってしまい、「自分はこんなこともできないのか」と絶望感にさいなまれることもあります。

以上3症状が代表的なものですが、そのほかにも人によっては引きこもり気味になったり、自律神経のバランスが崩れることによる身体の異常(不眠、下痢、疲労感が抜けない、食欲不振が続くなど)が生じたりと、高いパフォーマンスで働き続けるうえで支障が出るような症状となって表れることもでてくるのです。

燃え尽き症候群の主な兆候

燃え尽き症候群はじわじわ症状が現れることも、突然来ることもあると先述しましたが、もちろん事前に兆候がないわけではありません。代表的な兆候としては、「仕事をしているとき以外も仕事のことが頭から離れない」ことがあげられます。
もちろん、フリータイムに今後の仕事の進め方などについて頭を巡らすことはあるでしょう。ただ、ポジティブに考えられるのであればよいですが、ネガティブな感情を伴ったり、時には恐怖感を覚えたりする状況であれば要注意です。

そのほか、
・普段イライラすることが増えた
・感情のコントロールがうまくいかなくなった
・職場や家庭での人間関係が悪化した
・憂うつな気分が続く
・慢性的な身体のだるさ(激しい運動をしたり、睡眠が極端に不足したりというわけではないのに疲れやだるさが消えないなど)
・仕事の欠勤や遅刻が増えた
・普段楽しめていたことも楽しめなくなっている
といった兆候が続くようでしたら、燃え尽き症候群になる可能性が高いといえます。ぜひ、これらの代表的な兆候が現時点で表れていないかをチェックしてみてください。

燃え尽き症候群を予防するための方法

燃え尽き症候群になりやすい人としては、完璧主義や理想が高い人、責任感が強い人が挙げられます。そして、理想と現実の間のギャップがあればあるほど「頑張らなければ」と過剰に自分を追い込みやすくなります。「こんな自分はダメだ」と落ち込みすぎてしまうと、余計に燃え尽き症候群から抜け出せなくなってしまいます。

仕事上で相手のために良いサービスを提供したいと考えることはもちろん大切なことですが、良いサービスを生み出せるかどうかは自分自身が心身ともに健康に過ごせているかに比例することを忘れないでいただきたいと思います。

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