会社設立の方法、「合同会社」のメリットとは?
渡部 幸
2017/08/24 (木) - 08:00

最近、少人数で会社を運営している人と名刺交換をすると「合同会社」という名称を目にすることが増えてきました。あなたは「合同会社」とは何か、ご存じでしたか?今回は、これから起業しようと考えている人にとっての1つの選択肢である、合同会社についてそのメリットをご紹介しましょう。

「合同会社」とは何?

合同会社とは、2006年の会社法改正によって、有限会社の代わりに新しく設けられた法人の形態で、株式会社と違って、出資者全員が会社に対して有限責任社員となる会社のことを言います。株式会社は、出資する人である株主は経営責任を負いませんが、合同会社では、出資する人が同時に経営も行っていきます。まだ新しい法人の形ですが、合同会社の設立は年々増えており、2006年には3,000社ほどだったのに対し、2014年には19,000社以上が設立されています。

合同会社のメリット

では、なぜこの形態の会社設立が増えているのでしょうか?これから会社を設立しよう、と考えている人にとって、どのかようなメリットがあるのでしょうか?

まず第一に、株式会社に比べると設立費用が安くすみ、かかる期間が速い、ということがあげられます。登録免許税が、株式会社では最低21万円はかかるのに対し、合同会社は、6万円の費用で抑えられます。また、公証役場での定款認証は必要ないため、認証費用約5万円や定款に貼る収入印紙代4万円もかかりませんし、認証が不要なので、設立の手続きにかかる期間が短く、すぐに設立が可能です。また、資本金は1円から設立可能です。

次に、決算公告がない、という点があります。合同会社では、株式会社と違って決算公告が義務づけられていませんので、決算を公表したくない、という会社にとっては助かりますし、何より株式会社では必要な決算公告の費用が要りません。また、株式会社では2年に一度役員変更登記が必要ですが、合同会社ではその必要もありませんので、変更登記の際の登録免許税もなし、となります。

さらに、社員は全員出資の範囲内で責任を負う、有限責任社員となりますが、これは、株式会社と同じように、出資金以上の債務を負わずにすみます。個人事業主や、合名会社、合資会社の場合は、事業破綻や倒産で無制限に責任を負う必要がありますが、そういったリスクを回避できるのです。それに加えて、出資者全員が社員なので、意思決定が速く、柔軟にできるというメリットもあります。

デメリットとは?

では、逆にデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

1つには、意思決定に社員全員の合意が必要だという点があります。そのため、意見が分かれる場合は、スムーズな事業内容の決定ができない可能性があり、出資の割合で意思決定ができる株式会社との大きな違いと言えるでしょう。

また、まだできて間もない新しい法人の形態なので、あまり認知されていない、という点があります。「合同会社」って何?と思われることもあるかもしれない、ということです。さらに、社長の名前は「代表社員」となり、「代表取締役」と名乗ることはできません。株式会社と違って決算が非公開で、株主総会も設置しないという閉鎖的な形態のため、取引先によっては取引の制限がかかる場合があるでしょう。認知度がまだ低いために、人材を採用しようと思ったときに、不安に思われ、よい人が入社してくれない、というデメリットも考えられます。

どんな会社に向いている?

では、合同会社は、どのような会社や事業に向いているのでしょうか?もともと、合同会社という法人の形態は、少人数の社員で設立し、事業を行うことを想定して作られています。1人で設立ももちろんできますので、個人~数人で運営する会社に向いていると言えるでしょう。そういった意味では、設立コストも低い合同会社で最初は法人を立ち上げ、軌道に乗ってきたところで株式会社へ変更する、という方法を取る会社も出てきています。

また、起業をしようと思ったときに「個人事業主として始めるか、法人として始めるか」を考える人もいるでしょう。行う事業によっては、法人格が必要な業種もありますし、法人にしておいたほうが、取引先の信用度がアップする、取引の制限がかかりにくい場合もあります。そのような場合、コストが低い合同会社にしよう、というのも1つの方法です。

具体的には、企業との取引に法人格が必要な医療関連、許認可要件に法人格が必要な介護事業、1人で事業を行う人も多いコンサルタント、ITビジネス関係などコストを少なく法人格が欲しい会社にも向いていると言えます。

数も多くなり、以前よりも認知度は高まってきています。法人格である、という点から、それほど株式会社より信用度が劣っているとは考えなくてよいでしょう。「個人事業主ではなく、やはり会社で行きたい」と思うなら、合同会社も選択肢に入れてはいかがでしょうか。

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