転勤を機に生まれた“新潟愛”。「新潟をもっとメジャーに」の思いで転職
株式会社アイ・シー・オー 代表取締役社長 糸満 盛人さん
那須 由枝
2018/08/30 (木) - 17:00

「新潟に住む人をもっと増やしたい!」「新潟をもっとメジャーにしたい!」「その為の機会拡大に命を使いたい!」。支社長として新潟に赴任し、新潟の土地柄、人柄にほれ込んだ糸満盛人さん。「新潟の為に働きたい」という思いを叶えるため、経営幹部候補として広告代理業を営む株式会社アイ・シー・オーに転職しました。翌年には代表取締役に就任。「教育」「スポーツ」「文化」の視点から地域活性化事業に取り組んでいます。

お客様のため、メンバーのため。「人の役に立つ」がキーワード

新卒で株式会社リクルートに入社しました。働く人がみんな魅力的で、短期間で成長できる会社だと思いましたね。前年にリクルート事件が起きて「こんなにいい会社なのにあることないこと言われてもったいない。悔しい」「自分が入社してエクセレントカンパニーに変えてやる!」ってね、鼻息の荒い新入社員でした(笑)。
人に関わる仕事がしたいと考え、求人事業部門に配属されました。採用成功した時の手ごたえ、お客様の役に立つ喜び。採用を通じてその会社が変わっていくのを見ると、やりがいを感じましたね。販促事業部門に移り、熊谷支社の支社長に就任した際、地場の社長たちにかわいがられ、とても良くしてもらいました。この時ですね、自分は地方に強いんじゃないか、地方でならもっとお役にたてるんじゃないかと思ったのは。地方の中核都市で働きたいと考えるようになりました。

転職のきっかけは転勤。新潟の土地柄、人柄に魅了されて。

新潟支社の支社長として赴任した際、「新潟ってなんて良い所なんだろう」と魅了されてしまって。初めは単身赴任でしたが、2年後に横浜のマンションを整理して新潟に家を建て、妻と愛犬を連れて移住しました。
空気がきれいで水がきれいで、遠くの山並みや日本海に沈む夕日など景色も素晴らしい。豊かな感受性をはぐくむためには地方で生活するべきだと思いました。地方の人口が増えないと日本の優位性がなくなるのではと危機感を覚えるほどでしたね。生まれ育った湘南も風光明媚ないいところですが、新潟は四季のメリハリがあってもっといい。この土地の良さを知ってもらいたい、ここで人口を増やす仕事がしたい、と思いました。
学生時代から「公のために自分の力を尽くしたい」という思いがあったんです。警察官や自衛官、教師、新聞記者など。自分を捨てて人の役に立ちたいという志向が強かったんですね。リクルートでの仕事もお客様に喜んでもらえるやりがいあるものでした。しかし社会貢献度・影響力という点では物足りなさを感じていたのも事実です。

東京に近いのに知られていない魅力が沢山ある。なのにアピールしない。謙虚で目立つことを好まないのが新潟の人たちでした。ブレークスルーに関しては、外から来た自分の得意な分野だし、自分の仕事だと考えました。東京は俺がいなくても大丈夫だけど、新潟には、俺が必要だと(笑)。新潟のために働きたいと転職を決めました。

ハウスエージェンシーの強みを活かしつつ、新サービス開発に注力

現在は広告代理業を営む株式会社アイ・シー・オーの代表取締役です。当社は新潟を中心に展開する企業グループ、NSGグループの一員。ハウスエージェンシーという位置づけなので、グループ各社の仕事を中心に取り扱っています。しかし、それだけでは継続的な成長は難しい。グループ外取引拡大、新規開拓に注力し、ここ2年で100社以上の新規顧客を獲得しました。
さらなる成長のためには、グループのハウスエージェンシーというポジションを最大限活用しつつ、NSGグループの経営資源を源にした「新商品・新サービス」を創り出し、世の中に提供。グループはもちろん、外部クライアントへ価値提供をすることで圧倒的な成長を目指す。これが引き続き注力していくコミットです。

あとはWeb領域ですね。早々に体制を整えて拡大したいのですが、優秀なエンジニアやデザイナーは東京に集中しています。新潟に呼び寄せるのはなかなか難しいと実感しています。ここは課題ですね。

難航した転職活動。そんな時、意中の企業からのオファーが

収入面に関してはちょっと心配でしたね。前職が“人材輩出企業”の誉れ高きリクルートとはいえ、50歳直前の転職活動は結構きつかったです。当初は経営者のサポート役、社長室長などのポストを考えていたのですが、そんな案件はなかなか市場に出てきませんでしたね。
そんな時、ある方からNSGグループで経営幹部候補を探していると聞いたんです。NSGグループは新潟に若者がとどまれるようにと、学びの場、働く場を数多く提供しています。新会社立ち上げ、資本参加、M&Aなどで今では全体で1万名を超える一大企業グループを形成しています。グループ代表の池田はまち・ひと・しごと創生会議のメンバーも務めるほど、日本の地方創生における第一人者です。自分の志向にもピッタリで、ここで働くことができたらいいだろうなと前々から少し考えてもいたんです。
その後、自分の能力を棚卸し、プレゼンテーション資料を作成しました。自分は何のプロなのか、そのプロ性を担保するのはどんな能力かを言語化。企業分析と合わせて、どうしたら会社がより発展するか、そこに対して自分がどう貢献できるか、まとめて提出したんです。自分を見つめなおすいい機会にもなりました。
転職に関する不安ではないですが、いまこの立場になってみると、地方に埋没していてはだめだ、と感じています。溶け込んで一体化してしまっては何も変えられない。時々東京の仲間と会って情報交換するなど、何か担保しておく必要があるな、と思います。

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愛犬が走り回る庭付き一戸建て。仕事のストレスを癒す土地の力

意外だったのは公共料金がかかること。暑いのは東京と一緒、冬は寒いので光熱費は上がりました。他には自動車の維持費が必要でした。地方の生活に自動車は必需品です。
しかし、地価の違いは驚くほどです。移住を決めて家を建てたのですが、土地が安いので庭も作れ、上物にお金をかけられました。犬が走り回れるだけの一戸建てです。横浜では1億円は軽く超えるような物件を、4000万円以下で建てることができました。
また、食べ物のおいしさは格別です。とにかく魚がおいしい。米がおいしい。水がいいせいですよね。地元の人はコンビニで水を買わないんですよ。
水、人、空気、景色がキレイ。また女性がキレイ(笑)。色白で肌がきれいなんですよね。しかも気立てがいい。「新潟は杉と男は育たない」という言葉があるほどなんです。杉は寒くて育たない。男のほうは女性が男性を立てるので育たないというんですね(笑)。
私の妻は佐渡出身ですが「新潟ってこんないい所だとは知らなかった」と喜んでくれています。犬たちもですね(笑)。友人たちにも「新潟はいいところだ」とことあるごとにアピールし、勧誘しています。経営者はストレスの多い仕事ですが、土地の魅力に癒され力をもらっています。

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株式会社アイ・シー・オー 代表取締役社長

糸満 盛人さん

神奈川県出身、慶應義塾大学卒。1989年に株式会社リクルートに入社し、人材系ビジネス、販促系ビジネスを担当、マネージャー、支社長などを歴任。新潟支社への赴任をきっかけにこの土地に魅了され移住する。新潟の為に自分の力を尽くしたいと転職を決意する。

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