時代の変化に対応し、マーケティングのプロと共に指宿の魅力を伝えたい 鹿児島県指宿市観光協会 会長 中村 勝信さん
鹿児島県指宿市観光協会 会長 中村 勝信さん
2023/03/01 (水) - 17:00
かつてのハネムーンブームで「東洋のハワイ」と称され、知られるようになった指宿市。時代が変わり減少した若者を誘客するためには、リアルタイムのマーケティングが重要だと言います。指宿の魅力や観光に関する課題、対策などについて、指宿市観光協会の中村さんにお話をうかがいました。
指宿市の魅力を教えてください。
指宿の食は、農産物、畜産物、水産物と豊富です。もともと鹿児島は「黒の文化」といって、黒砂糖や黒酢のほか、鹿児島黒牛、かごしま黒豚、さつま黒鶏など、黒にまつわる食文化で知られています。温暖な気候のため、年間通していろいろな野菜が収穫でき、特にオクラ、ソラマメの生産量は日本一を誇ります。錦江湾では、マダイ、アジ、キビナゴなどが水揚げされますし、ありとあらゆる食材に恵まれているのです。
温たまらん丼 © K．P．V．B
食以外ではどのような魅力がありますか？
何と言っても温泉です。なかでも世界唯一の「砂むし温泉」は有名で、鹿児島大学医学部による研究でも、さまざまな健康効果が報告されています。
加えて、風光明媚な眺め、人のあたたかさを感じられる場所です。ホテルの関係者の話では、指宿に癒しを求めて、一人旅される方が増えているそうですよ。
コロナ禍で心が弱ってしまっている方も多いと聞きます。指宿は心身の癒しスポットとしてぴったりの場所ですから、ぜひ、来ていただきたいですね。
指宿天然砂むし温泉 © K．P．V．B
今後、指宿の観光が復活していくためにお考えのことはありますか？
アフターコロナで、日本全体が観光復活の兆しを見せています。おそらく地域間競争が激しくなるでしょう。それに打ち勝つには、指宿の強みや弱みをしっかりと把握して、ターゲット層にPRしていくことが重要だと思います。そのためには、観光マーケティングが必要です。
数年前にマーケティング調査をしたのですが、指宿は温泉があって「シニア層に喜ばれるまち」という印象が強いことがわかりました。1960年代の新婚旅行ブーム時に「東洋のハワイ」と呼ばれ、砂むし温泉のイメージができあがっています。
一方で、20代、30代にはインパクトが薄いことがわかりました。若者が好きなシーカヤックや釣りなど、アウトドアを楽しめる場所もたくさんあるのですが、そういった指宿の魅力が伝わっていないようです。
今後、必要なのは、デジタル含めたリアルタイムのマーケティング調査だと思います。そのためには、マーケッターと呼ばれる、専門家や副業人材などの活用が必要です。マーケットを把握して、PDCAサイクルを回しながらやっていきたいですね。
観光協会でどのような取り組みをされているのですか？
会員さんの多くが観光業に関わる方で、一人でも多くの観光客を指宿にお連れするのが目的です。誘致事業、また関係人口や流動人口を作るのがメインの取り組みです。例えば、いぶすき菜の花マラソンやマーチ、いぶすきフラフェスティバルなどのイベントを通して、指宿の認知度を高めたいと考えています。
菜の花マラソン © K．P．V．B
どのような課題がありますか？
昔は団体旅行が主流で、その当時に建設されたホテルが多いため、シングル・ユースに対応できていません。4～5人が泊まる和室タイプの部屋が多く、食事も大勢が集まる宴会場。最近はホテルも努力して改善してきていますが、個人旅行者向けの対策が不十分です。
外部の力を借りようと考えている理由や背景を教えてください。
情報発信の方法、特にSNSを中心としたデジタルマーケティングが重要になってきています。そうなると、我々ではお手上げです。経験のある方やプロの力を借りて、色々な角度で指宿を分析してほしいのですが、常勤での雇用は条件的に難しい。その点、副業人材が適していると思います。
最近はいろいろな分野でDX化が進んでいますから、観光に限らず知識を持っている方に期待するところが大きいですね。
指宿に転職したい方、副業したい方に一言メッセージをお願いします。
デジタル社会になったことで、アナログの部分が欠けてきた印象があります。副業人材の方とは、仕事だけでなく一人の人間として交流していきたいと思っています。いっしょに指宿の魅力を伝えていけたら嬉しいですね。
